治療薬

中性脂肪が高すぎると「急性膵炎」の危険も──膵炎を防ぐ新しい注射薬が米国で承認

ニュース概要

2026年6月下旬、アメリカのFDA(米食品医薬品局)が、中性脂肪(トリグリセライド)が非常に高い成人を対象に、新しい注射薬オレザルセン(olezarsen、商品名Tryngolza)を承認しました。対象は「重症高中性脂肪血症(sHTG)」と呼ばれる、一般に空腹時の中性脂肪が500mg/dL以上という高い状態の方です。

このお薬の注目点は、食事療法に上乗せして中性脂肪を下げ、命にかかわることもある「急性膵炎(きゅうせいすいえん)」の発症リスクを減らすことを目的として承認された初めての薬だという点です。臨床試験では中性脂肪が約半分〜7割ほど下がり、多くの人が500mg/dL未満まで改善し、急性膵炎の発症も大きく減ったと報告されています。使い方は月1回の自己注射(皮下)です。

健診で「中性脂肪が高い」と指摘されたことのある方は少なくありません。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアで生活習慣病の相談を受ける当院にとっても、身近で大切なテーマです。

医学的背景

中性脂肪は体を動かすエネルギー源になる大切な脂質ですが、極端に高くなると二つの問題が生じます。一つは動脈硬化を通じた心筋梗塞・脳梗塞のリスク、もう一つが今回のテーマである急性膵炎です。特に中性脂肪が500〜1,000mg/dLを超えるような高値では、膵臓に強い炎症が起こりやすくなることが知られています。

今回のオレザルセンは、中性脂肪の分解を妨げるタンパク質(APOC3)の働きを抑えることで中性脂肪を下げる、新しいタイプのお薬です。ただしこれはアメリカで承認されたもので、日本で誰でもすぐ使えるわけではありません。また対象は”中性脂肪がとても高い一部の方”であり、健診で少し高めだった多くの方にすぐ注射が必要という話ではありません。中性脂肪が軽度〜中等度に高い場合は、まず生活習慣の見直しと、必要に応じた飲み薬が基本になります。自己判断でお薬を始めたり中断したりせず、必ず主治医にご相談ください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. お酒を控えめにする(アルコールは中性脂肪を上げやすいです)。
  2. 甘いもの・砂糖の入った飲み物・果物のとりすぎに注意する。
  3. 揚げ物や脂っこい食事を控え、青魚などの良い脂を取り入れる。
  4. こまめに体を動かし、適正な体重を目指す。
  5. 健診結果は「LDLコレステロール」だけでなく「中性脂肪」の欄も毎回チェックする。

受診の目安

  • 健診で中性脂肪が高い(特に300mg/dL以上、500mg/dLを大きく超える)と指摘された。
  • 中性脂肪が高いと言われたが、生活習慣を見直しても数値が下がらない。
  • 糖尿病・肥満・脂肪肝などを合併しており、脂質の管理に不安がある。
  • (急性膵炎のサインとして)みぞおち〜背中に強い持続的な腹痛、吐き気・嘔吐がある場合は、我慢せず早めに医療機関へ。突然の激しい腹痛は救急要請も検討してください。

まとめ

中性脂肪が極端に高い状態は、動脈硬化だけでなく急性膵炎の原因にもなりうるため、これまで治療が難しい領域でした。今回、膵炎予防を目的とした新しいお薬が海外で承認されたことは、「中性脂肪の高さは軽く見てはいけない、でも手立ては着実に増えている」という前向きな知らせです。中性脂肪は生活の工夫で味方につけられる数字でもあります。

※本記事は一般的な情報提供であり、診断や特定の治療を推奨するものではありません。お薬の開始・変更・中止は必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

京都市西京区の桂川さいとう内科循環器クリニックでは、健診結果の見方から中性脂肪・コレステロールなどの脂質異常症、生活習慣病の管理まで、一人ひとりに合わせてご相談をお受けしています。阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口・桂川エリアからお越しいただけます(所在地:京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2F)。

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引用文献・参考サイト


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