ブルガダ症候群とは


12誘導心電図の胸部V1-V3誘導におけるコブド型(1型)またはサドルバック型(2型)のST上昇を特徴とし、心室細動による突然死を引き起こす可能性のある病気です。健診で見つかりしばしば当院のほうにも受診される患者さんがいらっしゃいます。

一般的に、心停止蘇生、心室細動、失神などの既往がある患者群を症候性ブルガダ症候群、全く症状のない患者群を無症候性ブルガダ症候群と呼ばれます。典型的なブルガダ症候群(1型)は、全人口の約0.05~0.2%を占めると報告されており、日本人を含めたアジア人に多く、成人男性に圧倒的に多い(男女比9:1)とされています。ブルガダ症候群の患者さんの多くは無症候性とされています。無症候性ブルガダ症候群の年間イベント発生率は0.3~4%であるのに対し、心停止や心室細動の既往がある症候性ブルガダ症候群の年間イベント発生率は10~15%とされています。

健康診断で見つかった無症候性ブルガダ症候群はどうするか?


まずは心電図を再検、その際に右側胸部誘導を1肋間上げた場所で記録したものを施行します。2型(サドルバック型)であれば経過観察可能ですが、より危険度の高い1型(コブド型)のブルガダ波形を認める場合は心臓超音波検査、ホルター心電図、運動負荷検査を施行しています。また失神、意識消失などを起こしたことがないか、家族に若くして亡くなった方がいないかなどをチェックします。それらのいずも問題なければ経過観察とすることが多いですが、異常所見を認めた場合は電気生理学的検査(入院して行うカテーテル検査)のため専門施設を紹介することになります。ブルガダ症候群はまだわからない点も多く専門施設では遺伝子解析なども含めていろいろな研究が行われています。