運動習慣や食生活、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣によって引き起こされる病気を「生活習慣病」と呼びます。以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防可能で、成人でなくても発症可能性があることから、1996年に当時の厚生省が「生活習慣病」と改称することを提唱しました。生活習慣病を放置しておくといずれは狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの動脈硬化性疾患につながります。

生活習慣病

高血圧

診察室血圧で140/90 mmHg以上、家庭血圧で135/85 mmHg以上から高血圧とされます。高血圧が長く続くと、脳、心臓、腎臓等の合併症がおこりやすくなります。

高脂血症

高脂血症は現在では脂質異常症と言われます。以前は中性脂肪値が高い、もしくはLDL(悪玉)コレステロール値が高い状態が「高脂血症」とされていましたが、HDL(善玉)コレステロール値が低い状態も同様に問題があるとして、2007年から、これら3つの状態を合わせて「脂質異常症」と呼ばれます。動脈硬化の原因となり放置しておくと狭心症、脳梗塞などを引き起こしますため早い段階から生活習慣の改善や内服での治療が必要です。

糖尿病

糖尿病は血液中の糖が高くなる病気です。糖尿病が本当に怖いのは放置しておくと血管や神経が障害され眼、腎臓、心臓、脳血管など全身にさまざまな合併症が起きることです。合併症には細い血管に生じる細血管障害と大きな血管におきる大血管障害があります。

高尿酸血症

尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が「高尿酸血症」です。高尿酸血症が長期化すると尿酸が結晶化し全身に悪影響を及ぼします。関節に溜まれば痛風発作を引き起こします。皮下組織や関節などに沈着すれば痛風結節というコブのようなものを作ることもあります。また腎臓のに沈着すると痛風腎を引き起こし腎臓の機能を低下させます。

喫煙

喫煙も現在はニコチン依存症という病気と考えられています。喫煙は動脈硬化を促進し、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症を引き起こします。ただちに禁煙することをお勧めいたします。

メタボリック症候群

メタボリック症候群は肥満、高血圧、耐糖能障害(糖尿病)、脂質異常症などの危険因子が、1人の患者さんに集積する状態のことをいいます。危険因子が集積することにより動脈硬化が進行し狭心症、脳梗塞などを発症します。

なぜ生活習慣病を治療する必要があるか

高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病は動脈硬化の進行を加速させます。動脈は全身に血液を送るパイプですので、動脈硬化≒パイプの壁についたゴミと考えることができます。写真のようにパイプにゴミがぎっしりとついてしまうと掃除をするのは容易ではないことは明らかです。パイプにゴミをつかないようにする、そのために生活習慣病の治療が必要です。脳梗塞、心筋梗塞になってから治療をするのではなくなる前に予防することが大事です。