治療薬

薬を飲んでも血圧が下がらない人へ──アルドステロンを狙う新しい飲み薬が米国で承認

ニュース概要

2026年5月18日、アメリカのFDA(米食品医薬品局)が、他の降圧薬を使っても血圧が十分に下がらない成人の高血圧に対し、新しい飲み薬バクスドロスタット(baxdrostat、商品名Baxfendy、アストラゼネカ社)を承認しました。既存のお薬に上乗せして使う、1日1回の内服薬です。

このお薬の注目点は、血圧を上げるホルモン「アルドステロン」が体の中で作られること自体を抑える、初めてのタイプ(アルドステロン合成酵素阻害薬)だという点です。臨床試験(第3相BaxHTN試験、NEJM掲載)では、2剤以上のお薬でも下がらなかった患者さんで、12週後の上の血圧(収縮期血圧)がプラセボと比べて約9.8mmHg多く低下し、コントロール不良の人でも治療抵抗性の人でも一貫した効果がみられました。

「お薬を飲んでいるのに血圧が下がらない」という悩みは身近なものです。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアで高血圧・生活習慣病の相談を受ける当院にとっても、大切なテーマです。

医学的背景

血圧のお薬は種類が多く、多くの方は1〜2種類で十分にコントロールできます。一方で、利尿薬を含む3種類以上のお薬を使ってもなお血圧が高いままの状態を「治療抵抗性高血圧」と呼びます。その背景には、塩分のとりすぎ、睡眠時無呼吸、痛み止めなど他のお薬の影響、そして「アルドステロン」というホルモンの過剰などが隠れていることがあります。

アルドステロンは腎臓に働きかけて体に塩分と水分をため込ませ、血圧を上げるホルモンです。今回のバクスドロスタットは、このアルドステロンが作られる過程(合成酵素CYP11B2)を抑えることで血圧を下げる、従来とは異なる仕組みのお薬です。ただしこれはアメリカで承認されたもので、日本で誰でもすぐ使えるわけではありません。また既存の降圧薬に上乗せして使うもので、今のお薬を自己判断でやめて置きかえるものではありません。アルドステロンに関わるお薬は血液中のカリウムやナトリウムの値に影響することがあり、定期的な血液検査が必要です。お薬の開始・変更・中止は必ず主治医にご相談ください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 塩分を控えめにする(1日6g未満が一つの目安。汁物・麺類の汁・加工食品に注意)。
  2. 野菜・果物・海藻などカリウムを含む食品を適度にとる(腎臓の悪い方は主治医に相談を)。
  3. こまめに体を動かし、適正な体重を目指す。
  4. お酒は控えめにし、たばこは避ける。
  5. 朝と夜、家庭で血圧を測って記録し、受診時に持参する。

受診の目安

  • お薬を飲んでいるのに、家庭血圧が目標(多くの方で135/85mmHg未満)まで下がらない。
  • 3種類以上の降圧薬を使っても血圧が高いままだと言われた。
  • 若い頃から血圧が高い、家族に若くして高血圧の人がいる、低カリウムを指摘されたことがある(アルドステロンの過剰が隠れている可能性)。
  • 血圧が非常に高く(例:180/110mmHg以上)、強い頭痛・胸痛・息切れ・視力の異常・ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、我慢せず早めに医療機関へ。突然の激しい症状は救急要請も検討してください。

まとめ

「お薬を飲んでいるのに血圧が下がらない」という悩みの背景には、塩分やお薬の飲み合わせ、アルドステロンなどホルモンの影響が隠れていることがあります。今回、そのアルドステロンを狙う新しい仕組みのお薬が海外で承認されたことは、「血圧が下がりにくい人にも、着実に新しい手立てが増えている」という前向きな知らせです。血圧は、上手につきあえば着実に味方につけられる数字です。

※本記事は一般的な情報提供であり、診断や特定の治療を推奨するものではありません。お薬の開始・変更・中止は必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

京都市西京区の桂川さいとう内科循環器クリニックでは、家庭血圧の見方から、下がりにくい高血圧(治療抵抗性高血圧)の原因検索、生活習慣病の管理まで、一人ひとりに合わせてご相談をお受けしています。阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口・桂川エリアからお越しいただけます(所在地:京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2F)。

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引用文献・参考サイト


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