ニュース概要
米国心臓病学会(ACC)・米国心臓協会(AHA)など計11学会が、コレステロール(脂質異常症)の管理ガイドラインを2018年以来8年ぶりに全面改訂しました(2026年3月13日発表、JACC・Circulation同時掲載)。当院でも改訂直後に概要をご紹介しましたが、今回はその中でも見落とされがちな「自分のリスクの“測り方”が新しくなった」という点に絞ってお伝えします。
合言葉は「earlier and lower for longer(より早く・より低く・より長く)」。なかでも実生活に関わるのが、(1) 30代からのリスク評価、(2) 新しいリスク計算式『PREVENT』、(3) リポ蛋白(a)〔Lp(a)〕を一生に一度測るという3つの新しい考え方です。
健診で「コレステロール、少し高め」と言われる方が多い京都市西京区・桂川・洛西口エリアでも、数字の高い低いだけでなく“自分の将来リスク”をどう見積もるかは、とても身近で“自分ごと”にしやすいテーマです。
医学的背景
新ガイドラインの執筆委員長(ジョンズ・ホプキンス大学のRoger Blumenthal医師)は、「心血管疾患の8割以上は予防できる」と述べています。その鍵が、いわゆる“悪玉”のLDLコレステロールです。
新しく一次予防に推奨されたのが、「PREVENT(プリベント)」という心血管リスク計算式です。これは30〜79歳(ASCVD既往なし・LDL 70〜189mg/dL)の方を対象に、健診で分かる情報(コレステロール・血圧・年齢・生活習慣など)から、今後10年・30年の心臓発作や脳卒中のリスクを見積もります。じつは従来の計算式はリスクを40〜50%も高めに見積もっていたことが分かっており、PREVENTでより一人ひとりに合った見立てができるようになりました。さらに、家族歴・慢性炎症(関節リウマチ等)・肥満・糖尿病・慢性腎臓病などの“リスクを底上げする要素”も加味します。
もうひとつが、リポ蛋白(a)〔Lp(a)〕を一生に一度は測るという推奨です。Lp(a)は生まれつき(遺伝)でほぼ決まり、生涯あまり変わらないため、高い人は早めに知っておくと対策を立てやすい、という考え方です。判断に迷うときには、心臓の血管の石灰化を調べる冠動脈カルシウム(CAC)スコアを選択的に活用することもすすめられています。
なお、これらは「すぐにお薬を増やしましょう」という意味ではありません。土台はあくまで生活習慣で、リスクに応じて主治医と相談しながら必要なときに早めに手を打つ、という考え方です。服用中のお薬を自己判断で減らしたり中止したりしないでください。
日常生活で気をつけたいポイント
- 生活習慣が第一歩。 バランスのよい食事・適度な運動・禁煙・十分な睡眠は、コレステロール対策のいちばんの基本です。
- 健診結果はLDLの数字だけで一喜一憂せず、年齢・血圧・家族歴を合わせた“全体のリスク”で考えましょう。
- 30代・40代でも“他人ごと”にしない。 早い時期から低めに保つほど、将来の動脈硬化を防ぎやすいことが分かっています。
- 家族に若くして心臓病・脳卒中の方がいる場合は、Lp(a)や家族性高コレステロール血症の可能性も含め、一度ご相談ください。
- すでにお薬を飲んでいる方は、「低い状態を長く保つ」ことに意味があるため、調子がよくても自己判断で中断しないことが大切です。
受診の目安
- 健康診断でLDLコレステロールや中性脂肪の高値を指摘されたとき
- 家族に若くして(男性55歳未満・女性65歳未満で)心筋梗塞・狭心症・脳卒中になった方がいるとき
- 肥満・糖尿病・高血圧・慢性腎臓病など、リスクを底上げする持病があるとき
- 自分の10年・30年の心血管リスクや、Lp(a)の測定について相談したいとき
※ 強い胸の痛み、冷や汗をともなう圧迫感、呼吸が苦しい、ろれつが回らない・手足が動かないなどの症状があるときは、ためらわず救急(119番)を検討してください。
まとめ
2026年改訂のコレステロール新ガイドラインの合言葉は「より早く・より低く・より長く」。目標値や治療薬だけでなく、「30代からのリスク評価」「新計算式PREVENT」「一生に一度のLp(a)測定」という“リスクの測り方”が新しくなったことが大きなポイントです。うれしいのは、心血管疾患の8割以上は予防できること。本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、服薬の変更や治療の判断は必ず主治医にご相談ください。
当院で相談できること
医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2F(阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口・桂川エリア)にあります。コレステロール(脂質異常症)の管理、心血管リスクの評価、家族性高コレステロール血症のご相談まで、循環器内科・内科の立場でお受けしています。「自分のコレステロールはどう考えればいい?」と気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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当院の関連記事もあわせてどうぞ
- 8年ぶり改訂:2026年版コレステロール管理ガイドラインのポイント(本記事の元になった改訂の概要・目標値・治療薬)
- 悪玉コレステロールはどこまで下げるべきか?(LDLの目標値の考え方)
- 家族性高コレステロール血症について(遺伝性に高い方・Lp(a)が気になる方へ)
- 中性脂肪は下げるべきか?(LDL以外の脂質の考え方)
引用文献・参考サイト
- American Heart Association Newsroom「ACC/AHA Issue Updated Guideline for Managing Lipids, Cholesterol」(2026年3月13日)
- American College of Cardiology「ACC, AHA Release New Clinical Guideline For Managing Dyslipidemia」(2026年3月13日)
- Johns Hopkins Medicine「The New Cholesterol Guideline: What to Know」(2026年3月)
- 原著:2026 ACC/AHA/Multisociety Guideline on the Management of Dyslipidemia(JACC・Circulation 2026年3月13日同時掲載)

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