ニュース解説

卵は1日何個まで?――コレステロールの“ぬれぎぬ”と本当の犯人

ニュース概要

「卵はコレステロールが高いから、1日1個までにしている」という方は多いのではないでしょうか。この“常識”を見直す研究が、2025年に発表されました。

南オーストラリア大学の研究チームは、食事に含まれる「コレステロール」と「飽和脂肪酸」のどちらがLDL(悪玉)コレステロールを上げるのかを切り分けて調べ、栄養学の専門誌『The American Journal of Clinical Nutrition』2025年7月号に報告しました。LDLコレステロールが高すぎない成人61人が、5週間ずつ内容の違う3種類の食事((1)卵は多め=1日2個だが飽和脂肪酸は少なめ、(2)卵はほぼ食べず飽和脂肪酸が多め、(3)両方多め)を順番に試すランダム化クロスオーバー試験です。

その結果、卵を1日2個食べても、飽和脂肪酸を減らした食事にしていた人はLDLコレステロールがむしろ低めでした。LDLコレステロールと強く関係していたのは「飽和脂肪酸の量」であり、「食事のコレステロールの量」ではなかったのです。

京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアでも、健診で「コレステロールが高め」と言われて卵を我慢している方は少なくありません。しかし本当に見直すべきは、卵の数ではないのかもしれません。

医学的背景

コレステロールには、増えすぎると動脈の壁にたまって動脈硬化を進める「LDL(悪玉)コレステロール」と、余分なコレステロールを回収する「HDL(善玉)コレステロール」があります。LDLが高い状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。

かつては「コレステロールの多い食品を食べると血液のコレステロールが上がる」と考えられていました。しかし、体は食事から入るコレステロールが増えると自前でつくる量を減らして調整するため、食事のコレステロールが血中のLDLに与える影響は、多くの人で思ったほど大きくないことが分かってきました。代わりに注目されているのが飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸は肝臓でのLDLの処理を妨げ、血中のLDLを上げやすいと考えられています。今回の研究は、この「犯人は飽和脂肪酸のほう」という考えを、卵を使ってきれいに示したものといえます。

ただし、家族性高コレステロール血症のように体質的にコレステロールが非常に高い方や、糖尿病のある方では、食事コレステロールへの反応に個人差があることも知られています。自己判断で食事や薬を大きく変えず、血液検査の数字を見ながら主治医と相談することが大切です。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 卵の数を数えるより、飽和脂肪酸を減らす:健康な方なら卵は1日1〜2個を心配しすぎなくて大丈夫。それより、飽和脂肪酸の多い食品を見直すほうが効果的です。
  2. 飽和脂肪酸の多い食品に注意:脂身の多い肉、ベーコン・ソーセージなどの加工肉、バター、生クリーム、ラード、パーム油、洋菓子・スナック菓子などが代表格です。
  3. 卵の“食べ方”を工夫する:ゆで卵やポーチドエッグなど油を足さない調理に。ベーコンエッグより「ゆで卵+野菜」のほうが心臓にはやさしい朝食です。
  4. 不飽和脂肪酸を味方に:青魚(EPA・DHA)、オリーブ油、ナッツなどの油は、LDLの管理にプラスに働きます。
  5. 数値を定期的に確認する:反応には個人差があります。食生活を変えたら、健診や外来の血液検査で自分の数字がどう動くか確認しましょう。

受診の目安

  • 健診で「LDLコレステロールが高い」「脂質異常症の疑い」と指摘された → 一度、内科・循環器内科でご相談ください。
  • 家族に若くして心筋梗塞・狭心症になった人がいる、または自分のLDLが極端に高い → 家族性高コレステロール血症の可能性もあり、専門的な評価をおすすめします。
  • すでにコレステロールの薬を飲んでいて、食事を変えた → 自己判断で薬を調整せず、次の受診で相談を。

まとめ

「卵は1日1個まで」という長年の常識は、今では“ぬれぎぬ”の部分が大きいことが分かってきました。LDLコレステロールを本当に上げているのは、卵よりも飽和脂肪酸。卵を目のかたきにするより、加工肉やバター、洋菓子などの脂を見直すほうが、ずっと近道です。とはいえ反応には個人差があり、数値や体質によって最適な付き合い方は変わります。前向きに、まずは自分の数字を知ることから始めましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。診断・治療、食事や服薬の変更は自己判断せず、主治医・かかりつけ医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地(リペアス下津林2F)にあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口・桂川エリアからご来院いただけます。健診の「コレステロールが高め」を入口に、血液検査(LDL・HDL・中性脂肪など)で脂質のバランスを確認し、食事のアドバイスから、必要な場合の治療まで、その人に合わせて一緒に考えます。卵やコレステロールのことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。

当院の関連記事もあわせてどうぞ

引用文献・参考サイト


関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。