疾患解説

「歩くと胸が苦しい・階段でふらつく・失神」──見逃せない弁膜症『大動脈弁狭窄症』とは?循環器内科がやさしく解説

ニュース概要

心臓の出口にある大動脈弁が硬く開きにくくなる弁膜症が、大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)です。国立循環器病研究センターなどの解説によると、65歳以上のおよそ3%が持つとされ、高齢化にともなって増えている病気です。長いあいだ無症状で進みますが、労作時の息切れ・胸痛・失神といった症状が出はじめると経過が大きく変わるため、症状の気づき方を知っておくことが大切です。

治療面では、従来の開胸手術に加え、胸を切らずにカテーテルで弁を留置するTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)が普及し、ご高齢の方や手術リスクの高い方にも適応が広がっています。

京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアでも、健診で「心雑音」を指摘された方や、「動くと息が切れる・胸が苦しい」という方は身近にいらっしゃいます。猛暑が続く夏は脱水や労作で症状が表面化しやすく、自分ごととして知っておきたいテーマです。

※以下は、公的機関・医療機関の一般向け情報にもとづく解説です。診断や治療方針は、お一人おひとりの状態によって異なります。

医学的背景

大動脈弁狭窄症の仕組み

心臓には血液を一方向へ流す弁が4つあり、そのうち心臓から全身への出口にあるのが大動脈弁です。加齢にともなう動脈硬化のような変化で弁が硬くなり開きが悪くなると、心臓は狭い出口から無理に血液を押し出すことになり、負担が積み重なっていきます。生まれつき弁が2枚しかない二尖弁の方では、より若い年代で進むことがあります。

循環器内科の視点:3つの症状と「心雑音」

大動脈弁狭窄症で特に重視されるのが、労作時の「息切れ・胸痛・失神」という3つの症状です。いずれも体を動かしたときに出やすく、とくに失神は見過ごせないサインです。見つかるきっかけは、健診や外来の聴診で指摘される心雑音が多いのも特徴です。「心雑音」と言われても慌てる必要はありませんが、放置せず心臓の検査を受けておくことが大切です。自己判断で「歳のせい」と決めつけないようにしましょう。

診断の中心は「心エコー(心臓超音波検査)」

くわしく調べるには、痛みのない心臓超音波検査(心エコー)が中心になります。弁の開き具合・狭窄の重症度・心臓のポンプ機能を評価でき、経過観察や治療方針の判断材料になります。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 労作時の変化に気づく:坂道・階段・急ぎ足での息切れ、動いたときの胸の痛みや気の遠くなる感じは、放置せず記録して受診時に伝える。
  2. 健診の「心雑音」を放置しない:指摘されたら、一度は心エコーで確認を。無症状でも評価しておくと安心です。
  3. 夏は脱水に注意:暑い時期は脱水や労作で症状が出やすくなります。こまめな水分補給を心がけ、無理な運動は避ける。
  4. 急に激しい運動をしない:重い狭窄が疑われる段階では、主治医に運動の可否を相談する。
  5. 持病の管理を続ける:高血圧・脂質異常症・糖尿病など動脈硬化の危険因子の管理は、弁を含む心臓の健康にも大切です。自己判断で薬をやめない。

受診の目安

できるだけ早めに受診・相談を

  • 坂道・階段で以前より息が切れる、動くと胸が苦しい・痛い
  • 健診などで心雑音を指摘された
  • 動作の途中でフラッとする・目の前が暗くなることがある

ただちに救急要請(119番)を

  • 意識を失った・失神した(とくに動作中に倒れた)
  • 強い胸の痛みが続く、冷や汗をともなう
  • 突然の強い息苦しさで横になれない

まとめ

  • 大動脈弁狭窄症は心臓の出口の弁が硬くなる弁膜症で、高齢化とともに増えています
  • 気をつけたいのは労作時の「息切れ・胸痛・失神」の3つのサイン
  • 見つかるきっかけは健診などの心雑音が多く、心エコーで重症度を評価します
  • 重症でもTAVIなど低侵襲な治療が広がり、選択肢は増えています

無症状のうちは気づきにくい病気ですが、症状のサインと受診のきっかけを知っておけば、早めの対応につなげられます。「動くと苦しい」「心雑音を指摘された」ときは、様子を見すぎず相談していきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。服薬の変更・中止や運動の可否は、必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口駅からお越しいただけるエリアで、一般内科・循環器内科・生活習慣病の診療を行っています。

大動脈弁狭窄症をはじめとする弁膜症・心臓の症状について、次のようなご相談に対応しています。

  • 心雑音のチェック:聴診と心電図で、まず心臓の状態を確認します
  • 心臓超音波(心エコー)検査:弁の開き具合や狭窄の重症度、心臓のポンプ機能を、痛みのない検査で評価します
  • 労作時の息切れ・胸痛・失神の見きわめ:心臓が原因かどうかを調べ、必要な検査を組み立てます
  • 専門医療機関との連携:手術やTAVIなど、さらに詳しい検査・治療が必要な場合の紹介・連携

大動脈弁狭窄症は、当院院長が専門としてきた領域です。 院長・齋藤成達(さいとう なりたつ)は、京都大学医学部附属病院 循環器内科で助教・講師・病棟医長・ハートチーム責任者を務め、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)をはじめとする弁膜症・心臓カテーテル治療の診療と研究に長く携わってきました。重症大動脈弁狭窄症を対象とした国内の大規模多施設共同研究(CURRENT AS レジストリ/K-TAVI レジストリ)などに参加し、筆頭著者・責任著者を含めて多数の論文を国際誌に発表しています(PubMedで公開。主な論文は末尾の引用文献に掲載)。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアで、専門的な視点から心雑音や弁膜症のご相談に対応できることは、当院の強みのひとつです。

「歩くと息が切れる」「動くと胸が苦しい」「心雑音を指摘された」という方は、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。

当院の関連記事もあわせてどうぞ

引用文献・参考サイト

当院院長(齋藤成達)の主な関連論文(PubMed ほか)


関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

最近の記事

  1. 「歩くと胸が苦しい・階段でふらつく・失神」──見逃せない弁膜症『大動脈弁狭窄症』とは?循環器内科がやさしく解説

  2. 「不整脈だからコーヒーは我慢」は本当?──1日1杯が心房細動の再発をむしろ減らした、2025年の最新試験

  3. 手足口病とヘルパンギーナ、どう違う?──夏に流行する2つの「夏風邪」の見分け方