夏本番を迎え、熱中症予防のための「こまめな水分補給」が改めて呼びかけられています。一方で見落とされがちなのが、水やお茶“だけ”を飲みすぎると起こる「水中毒」(低ナトリウム血症)です。
日本高血圧学会も「酷暑を乗り切るための減塩と水分・塩分補給」を発信しており、大量に汗をかく場面では塩分・電解質も一緒に補うことが大切とされています。
要点は次のとおりです。
- 熱中症予防に水分補給は必須。ただし「水だけを大量に」は逆効果になることがある。
- 塩分を含まない水分をとりすぎると、血液中のナトリウムが薄まり、頭痛・めまい・意識障害が出ることがある。
- 大量発汗時は、経口補水液や薄い食塩水で塩分・電解質も補う。
京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアでも連日の猛暑が続きます。屋外作業や畑仕事、スポーツをされる方はもちろん、のどの渇きを感じにくい高齢の方にも、ぜひ知っておいていただきたい話題です。
医学的背景
私たちの体液には、ナトリウム(塩分の主成分)をはじめとする電解質が一定濃度で溶けており、水分バランスや神経・筋肉のはたらきを支えています。汗をかくと水分と一緒にナトリウムも失われます。
ここで塩分を含まない水分だけを大量に補うと、血液中のナトリウム濃度が薄まり「低ナトリウム血症」になります。軽症では頭痛・吐き気・だるさ・足のつり、進行すると嘔吐・錯乱・意識障害と、熱中症と見分けにくい症状が出ることもあります。
とくに短時間に一気に大量の水を飲むとリスクが高まります。目安として1時間に1リットルを超える連続摂取は避けたいところです。
なお、心不全や腎臓の病気で水分・塩分の制限を受けている方、利尿薬など血圧・心臓のお薬を飲んでいる方は、適切な量が一人ひとり異なります。自己判断で水分や塩分を増減せず、必ず主治医に相談してください。
日常生活で気をつけたいポイント
- 一気飲みをしない。 少量をこまめに。20〜30分ごとにコップ1〜2杯を目安に。
- 大量に汗をかく場面では塩分・電解質も一緒に。 0.1〜0.2%の食塩水、または経口補水液・スポーツドリンクを活用する。
- 高齢の方は「時間を決めて」補給。 のどの渇きを感じにくいため、渇きを待たずに定期的に。
- ふだんの食事は減塩が基本。 大量発汗時だけ塩分をやや意識する、という場面ごとのバランスを。
- 持病・服薬がある方は主治医の指示を優先。 心不全・腎臓病・降圧薬・利尿薬などがある方はとくに。
夏の水分・塩分の摂り方に不安がある方、血圧やお薬との兼ね合いが気になる方は、我慢せず一度当院へご相談・ご予約ください。
熱中症におすすめの飲み物(エビデンスから飲み分ける)
「何を飲めばいい?」の答えは、飲み物ごとの塩分(ナトリウム)と糖分(ブドウ糖)のバランスで決まります。まずは一覧でご覧ください。
| 飲み物 | 塩分 | 糖分 | カフェイン | こんなときに | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 💧 経口補水液 | 多い | 約2% | なし | 大量発汗・熱中症の初期・脱水気味 | ◎ |
| 🥤 スポーツドリンク | 控えめ | 4〜6% | なし | 運動中〜運動後 | ○ |
| 🍵 麦茶 | なし | なし | なし | 日常の水分補給 | ○ |
| 🚰 水 | なし | なし | なし | 軽く汗ばむ日常 | ○ |
| ☕ 緑茶・コーヒー等 | なし | なし | あり | 嗜好品として少量 | △ |
| 🍺 アルコール | なし | — | — | 水分補給には使えない | ✕ |
各飲み物のポイントは次のとおりです。
- 経口補水液(OS-1など):塩分がスポーツドリンクの2倍以上、ブドウ糖は約2%。「糖分1〜2%+塩分」の比率で水分・電解質が最も速く吸収されます。大量発汗・熱中症の初期症状・嘔吐や下痢で脱水気味のときの補給に最適。塩分・糖分が多く、日常のがぶ飲みには不向き。
- スポーツドリンク:塩分控えめ、糖分4〜6%とやや多め。運動中〜運動後に向く。日常の常用は糖分の摂りすぎ(ペットボトル症候群)に注意。糖尿病・血糖が気になる方は要相談。
- 麦茶:ノンカフェインでミネラルを含み日常の水分補給に◎。子ども・高齢の方にも飲みやすい。ただし塩分ゼロなので、大量発汗時は食事や梅干し・塩あめで塩分を補う。
- 緑茶・ウーロン茶・コーヒー等(カフェイン飲料):軽い利尿作用あり。少量なら可だが、大量発汗時の主役には不向き。
- 水:電解質は含まない。軽く汗ばむ日常なら十分。しっかり汗をかく場面では塩分を添えて。
- アルコール:利尿作用で脱水を悪化。「ビールで水分補給」はできない。
飲み分けの目安:日常・軽い汗=水/麦茶、しっかり運動・屋外作業・大量発汗=スポーツドリンク+塩分または経口補水液、熱中症の初期症状・脱水気味=経口補水液。高血圧・心臓・腎臓・糖尿病で通院中の方は、塩分・糖分の多い飲料の可否を主治医に確認しておくと安心です。飲み物と持病・お薬との兼ね合いが気になる方は、当院までお気軽にご相談・ご予約ください。
受診の目安
- 水分をとっているのに、頭痛・吐き気・めまい・強いだるさ・足のつりが続く。
- ぼんやりする、受け答えがおかしい、ふらつきが強い。
- こうした症状に加え、高温多湿の環境にいた・大量に汗をかいた心当たりがある。
- 意識がもうろうとする・呼びかけへの反応が鈍いときは、すぐに救急要請(119番)を。
熱中症と水中毒は症状が似ており、ご自身での区別は困難です。気になるときは早めに医療機関を受診してください。
まとめ
熱中症予防に水分補給は欠かせませんが、「水だけをたくさん」ではかえって体調を崩すことがあります。塩分・電解質を意識して、こまめに、少量ずつ。持病や服薬のある方は、水分・塩分の量を自己判断で変えず主治医に相談しましょう。
本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療にかわるものではありません。服薬や水分・塩分の量の変更は、必ず主治医にご相談ください。
当院で相談できること
医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都市西京区で一般内科・循環器内科の診療を行っています。血圧・心臓・腎臓のお薬を飲んでいる方の夏の体調管理、生活習慣病の管理、動悸やむくみのご相談まで幅広く対応します。「水分はどれくらい摂ればいい?」といった素朴な疑問も、お気軽にお尋ねください。
循環器内科の詳しい診療内容はこちらをご覧ください。
当院の関連記事もあわせてどうぞ
引用文献・参考サイト
- 日本高血圧学会「減塩しながら酷暑を乗り切る!!熱中症を防ぐ6か条」
- 日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」水分・塩分補給のポイント
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「低ナトリウム血症」
- 味の素グループ「経口補水液とスポーツドリンクの違いとは?」
- あすなろ薬局「熱中症対策に最適な飲み物とは?水や麦茶、経口補水液を比較!」

コメント