疾患解説

健診の尿検査とeGFRで見つける慢性腎臓病(CKD) ─ 症状がなくても早期発見できます

ニュース概要

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、働きがかなり低下するまで自覚症状が出にくい臓器です。だからこそ、健康診断の尿検査と血液検査による早期発見が重要になります。この意義を裏づける研究が報告されました。オランダの SALINE研究(eClinicalMedicine, 2025)では、慢性腎臓病(CKD)の危険因子をもつ45〜80歳に、自宅でできる尿アルブミン(ACR)検査を郵送で実施。かかりつけ医経由の参加者の約8.7%で尿アルブミンの増加が確認され、精査まで進んだ人の約89%で、新たなCKDや心血管の危険因子、または治療目標に達していない既知のリスクが見つかりました。

つまり、「本人も気づいていない腎臓病やリスク」が地域に多く隠れており、尿検査で拾い上げられる可能性がある、ということです。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアで健診を受けている方にとっても、「尿蛋白(+)」「eGFR低下」を見過ごさないことの大切さを示すニュースです。

なお、このSALINE研究のような「自宅で郵送の尿検査をする」仕組みは日本には広くは整っていませんが、日本には別の強みがあります。学校健診・職場健診(定期健康診断)・特定健診(メタボ健診)などで尿検査が広く行われており、子どもの頃から大人まで、尿蛋白・尿潜血や腎機能を確認する機会が制度として用意されています。症状のない腎臓病を早く見つけるうえで、恵まれた環境だといえます。

早期発見・早期介入で透析になる人は減ってきている

早期発見・早期介入には確かな意義があります。日本透析医学会の統計調査によると、慢性透析を受けている患者さんの総数は近年減少に転じ、2024年末は約33.7万人(前年の約34.4万人から減少)。新たに透析を導入した人の数も2024年は約3.6万人で前年より約2,360人減少しました。導入時の平均年齢は約72歳と高齢化が進んでいるにもかかわらず、人数は減ってきています。背景には、高血圧・糖尿病の管理や腎保護治療(近年はSGLT2阻害薬など)といった早期からの予防・介入の広がりがあると考えられます。「早く見つけて早く手を打つ」ことが、将来の透析を避ける力になっているのです。

医学的背景

慢性腎臓病(CKD)は、「尿蛋白・尿アルブミンの増加」または「eGFR(推算糸球体濾過量=腎臓のろ過力の目安)60未満」が3か月以上続くことで診断されます(日本腎臓学会 CKD診療ガイドライン)。どちらも症状に頼らず、検査で客観的に評価できます。健診では、尿検査(尿蛋白・尿潜血、施設によっては尿アルブミン)と、血液のクレアチニンから計算するeGFRが手がかりになります。

とくに高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病がある方は、腎臓に負担がかかりやすく、CKDのリスクが高まります。CKDは心筋梗塞・脳卒中など心血管病とも深く関わるため(心腎連関)、腎臓を守ることは心臓を守ることにもつながります。なお、検査値の解釈やお薬は自己判断で変更せず、必ず主治医にご相談ください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 健診結果の「尿」と「eGFR」を必ず確認する:尿蛋白(+)・尿潜血・eGFR低下を指摘されたら、「症状がないから」と放置しないことが第一歩です。
  2. 高血圧・糖尿病のある方は尿検査を定期的に:これらはCKDの主要な原因。血圧・血糖のコントロールが腎臓を守ります。
  3. 血圧を家庭でも測る:腎臓保護には血圧管理が重要です。家庭血圧の記録があると、より適切に評価できます。
  4. 減塩と適正な水分・体重管理:塩分のとりすぎは血圧と腎臓に負担。極端な高蛋白食やサプリの乱用も避け、バランスの良い食事を。
  5. 市販薬・鎮痛薬の使いすぎに注意:一部の痛み止め(NSAIDs)などは腎臓に負担をかけることがあります。常用する場合は相談を。

受診の目安

  • 健診で「尿蛋白(+)」「尿潜血」「eGFRが低い(目安として60未満)」「腎機能要精密検査」と指摘された。
  • 高血圧・糖尿病があり、腎臓(尿)の検査を最近受けていない。
  • 尿が泡立つ、むくみ(足・まぶた)、夜間のトイレが増えた、など気になる変化がある。
  • 家族に腎臓病・透析の方がいる。
  • ※急に尿がほとんど出ない、強いむくみや息苦しさを伴う、といった場合は早めに医療機関へ(状況により救急要請も検討)。

まとめ

腎臓は静かに働くため、CKDは症状が出にくく、健診の尿検査とeGFRが早期発見のかぎになります。研究でも、症状のない人から尿検査で多くの隠れた腎臓病・リスクが見つかりました。早く見つければ、進行をゆるやかにし透析を避ける手立てにつなげられます。健診結果を「様子見」で終わらせず活かしましょう。本記事は一般的な情報提供であり、検査値の解釈や治療は必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあります(阪急京都線 桂駅・JR京都線 桂川駅・阪急 洛西口駅、桂川エリア)。一般内科・循環器内科に加え、慢性腎臓病(CKD)の評価・管理にも対応し、尿検査・血液検査(eGFR)・血圧・血糖を総合的にみながら、一人ひとりに合ったアドバイスと必要な治療のご相談を行っています。健診結果をお持ちいただくと、より具体的にお話しできます。

腎臓内科は毎週水曜日、副院長(齋藤陽子)が担当しています。健診で腎臓・尿の項目を指摘された方は、水曜日の受診もご検討ください(曜日・担当は変更となる場合があります。最新の診療体制はお電話・ホームページでご確認ください)。

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引用文献・参考サイト


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