ニュース概要
2026年7月、歌手・タレントの辺見マリさん(75歳)が、雑誌『婦人公論』のインタビューで、ご自身の心臓の治療について語りました。記事によると、辺見さんは2020年に心不全で入院し、2022年(72歳のとき)に心房細動に対するカテーテルアブレーション手術を受けたとのこと。「頑張りすぎて不整脈に気づかず」という言葉とともに、手術は以前とは違う場所でも不整脈が起きていたことがわかり4時間ほどかかったこと、今も体調に波があり坂道で動悸や息切れが出る日もあるけれど、休みながら歩くことをリハビリと考えて前を向いている、と率直に語られています(婦人公論.jp、2026年7月21日)。
心房細動は、自分では気づきにくいのに、放っておくと心不全や脳梗塞につながることのある不整脈です。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアで高血圧や生活習慣病の治療を続けておられる方、健診で不整脈を指摘された方にこそ、知っておいていただきたいテーマです。
※以下は、ご本人が公表された内容を出発点にした、病気・治療そのものの一般的な解説です。特定の方の診療内容を推測するものではありません。
医学的背景
心房細動は「心房が小刻みに震える」不整脈
心臓は、上の部屋(心房)と下の部屋(心室)が規則正しく動いて全身に血液を送っています。心房細動になると、上の部屋(心房)が規則正しく縮まず、小刻みにブルブルと震えるような状態になり、脈がバラバラに不規則になります。動悸・脈が飛ぶ・胸のザワつきとして自覚されることもあれば、まったく無症状で健診の心電図で偶然見つかることもあります。加齢とともに増え、高血圧・糖尿病・肥満・睡眠時無呼吸・過度の飲酒などとも関係します。
循環器内科の視点:心不全と脳梗塞
心房細動が長く続くと、二つの問題につながります。ひとつは心不全で、速く不規則な状態が続くと心臓のポンプの力がだんだん弱ることがあります。もうひとつは脳梗塞(心原性脳塞栓)で、心房が十分に縮まないと左心房に血液がよどんで血栓ができ、それが脳に飛ぶと太い血管を一気にふさぐ重症の脳梗塞を起こすことがあります。心房細動を「見つけて備える」ことに大きな意味があるのは、このためです。
カテーテルアブレーションという治療
心房細動の多くは、心臓に戻ってくる血管(肺静脈)のつけ根あたりから出る乱れた電気信号が引き金になります。カテーテルアブレーションは、足の付け根の血管から細い管(カテーテル)を心臓まで入れ、この引き金となる部分を焼く(または凍らせる)ことで電気的に切り離し、心房細動が起こりにくいようにする治療です(肺静脈隔離)。主に症状で困っている方やお薬が効きにくい方などが対象ですが、全員に一律に有効なわけではなく、心臓の状態や心房細動のタイプを踏まえて専門の医療機関で相談して決めます。
なお、脈を整えるお薬や血液を固まりにくくするお薬(抗凝固薬)は、効果と注意点のバランスを一人ひとり見極めて使います。自己判断で始めたり中止したりしないことがとても重要です。
日常生活で気をつけたいポイント
- 「検脈」を習慣に。手首の脈に指で15〜30秒ほど触れ、リズムがバラバラ・飛ぶ・強さがまちまちでないか確かめてみましょう。異常を感じたらメモを。
- 家庭血圧計の「脈の乱れ」マークを見逃さない。測定時に不規則脈を知らせてくれる機種があります。表示が出たら受診時に伝えてください。
- スマートウォッチ・活動量計の記録を活用。脈の乱れの通知や記録は、受診時の有力な手がかりになります。
- 高血圧・糖尿病・肥満・飲酒・睡眠を整える。心房細動の背景になる生活習慣病の管理が、発症・再発の予防につながります。
- 「坂道で息切れ」「疲れやすさ」を年のせいにしない。心不全のサインのこともあります。変化に気づいたら相談を。
- 処方された薬は自己判断でやめない。とくに抗凝固薬の自己中断は脳梗塞のリスクを高めます。
受診の目安
できるだけ早めに受診を
- 動悸・脈が飛ぶ・胸のザワつきを繰り返し感じる
- 手首の検脈でリズムがバラバラ、または家庭血圧計で「脈の乱れ」表示が出る
- 健診の心電図で心房細動・不整脈を指摘された
- 以前より坂道や階段で息が切れる、疲れやすい、足がむくむ(心不全のサインのことがあります)
ただちに救急要請(119番)を
- 強い動悸とともに、胸の強い痛み・冷や汗・意識が遠のく・失神がある
- 顔のゆがみ・片方の手足の脱力・ろれつが回らない(脳梗塞のサイン。ひとつでもあればすぐ119番)
まとめ
- 心房細動は、心房が小刻みに震え、脈がバラバラになる不整脈です
- いちばんの落とし穴は「気づきにくいこと」。検脈・家庭血圧計・スマートウォッチが手がかりになります
- 放っておくと心不全や脳梗塞(心原性脳塞栓)につながることがあります
- 治療は「血栓を防ぐ(抗凝固薬)」と「不整脈への対処」の二本柱。原因に手を打つ治療がカテーテルアブレーション(肺静脈隔離)です
- お薬の開始・中止は自己判断せず、必ず主治医に相談を
心房細動は気づきにくい不整脈ですが、見つけてしまえば備える手立てのある病気です。「脈が飛ぶ気がする」「坂道で息が切れる」「健診で不整脈を指摘された」──その小さな気づきが、心臓と脳を守る第一歩になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。服薬の変更・中止は、必ず主治医にご相談ください。
当院で相談できること
医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口駅からお越しいただけるエリアで、一般内科・循環器内科・生活習慣病の診療を行っています。
心房細動に関しては、次のようなご相談に対応しています。
- 不整脈のチェック:心電図・ホルター(24時間)心電図による評価で、気づきにくい心房細動を見つけます
- 脳梗塞リスクの評価と予防:CHADS₂・CHA₂DS₂-VAScなどでリスクを評価し、必要に応じて抗凝固薬による予防を検討します
- 心不全・生活習慣病の管理:高血圧・糖尿病・脂質異常症など、心房細動の背景となる病気を継続的にコントロール
- 専門医療機関との連携:カテーテルアブレーションなど専門的な治療が必要な場合の紹介・連携
「脈が飛ぶ感じがある」「健診で不整脈を指摘された」「坂道で息が切れるようになった」という方は、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。
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引用文献・参考サイト
- 辺見マリ75歳「72歳で心臓のカテーテル手術。……」頑張りすぎて不整脈に気づかず<後編>(婦人公論.jp、2026年7月21日)
- 心房細動に対するカテーテルアブレーション/東京大学医学部附属病院 循環器内科
- 心房細動インフォメーション(患者様・ご家族の皆様向け)
- なかやまきんに君が「検脈」による心房細動の早期発見の重要性を伝える/日本心臓財団

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