疾患解説

その足のむくみ・胸の息切れ、大丈夫? ── 世界初の『肺塞栓症ガイドライン』と“夏の血栓”に注意

ニュース概要

2026年、米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)が、9つの学会と合同で、初の『急性肺塞栓症(acute pulmonary embolism)ガイドライン』を発表しました(医学誌 Circulation・JACC 掲載)。世界的に影響力の大きい両学会がこのテーマ単独のガイドラインを出すのは初めてで、「早期の診断と治療開始が予後を左右する」ことが中心的なメッセージです。

最大の変更点は、肺塞栓症を重症度に応じた新しい5段階の臨床カテゴリー(A〜E)に整理し直したこと。従来の「血栓の量(解剖学的な大きさ)」中心の見方から、臨床的な重症度・血液検査(バイオマーカー)・心臓(右室)の状態・血圧や呼吸の状態を組み合わせて評価する考え方へと重心が移りました。軽症のカテゴリー(A・B)では、条件が整えば入院せず飲み薬(抗凝固薬)で外来・在宅管理も妥当とされ、重症のカテゴリー(C〜E)ではカテーテル治療などの高度な治療も検討されます。

京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアにお住まいの方にとっても、これは決して遠い話ではありません。肺塞栓症の多くは、長時間の移動や座りっぱなし、そして夏の脱水で脚にできる血のかたまりが引き金になるからです。

医学的背景

肺塞栓症の多くは、脚の深い静脈にできた血のかたまり(深部静脈血栓症)が、はがれて血流に乗り、肺の動脈を詰まらせて発症します。長時間同じ姿勢でいて起こる「エコノミークラス症候群」は、まさにこの深部静脈血栓症・肺塞栓症のことです。飛行機に限らず、長距離の車・バス移動、災害時の車中泊、長時間のデスクワークでも起こりえます。

肺の血管が詰まると、急な息切れ・胸の痛み・失神などが現れ、詰まる範囲が大きいと命に関わることもあります。一方で、早く見つかれば飲み薬で治療できるケースも多く、「危険な病気だが、早期発見で救える病気」でもあります。

なお、抗凝固薬などを服用中の方が、自己判断でお薬の量を変えたり中止したりするのは大変危険です。気になることがあれば、必ず主治医にご相談ください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. こまめに水分をとる:夏は汗で脱水になり、血液が濃く固まりやすくなります。水や麦茶などで補給を。ビール・コーヒー・お茶など利尿作用のある飲み物は“水分補給”としては不十分です。
  2. 長時間同じ姿勢を避ける:移動や仕事の合間に立ち上がり、歩く・足首を上下に動かす・ふくらはぎをさするだけでも予防になります。
  3. ゆったりした服装で足を締めつけない:長距離移動のときは特に意識しましょう。
  4. 片脚のむくみ・痛み・赤みに気づく:左右差のあるむくみは、脚の血栓のサインかもしれません。
  5. リスクの高い時期を知る:手術後・骨折後・長期の安静・妊娠中・がん治療中などは血栓ができやすく、注意が必要です。

受診の目安

  • 片方の脚だけが腫れて痛む・赤くなる・熱を持つ
  • 歩いたり動いたりすると急に息切れがする、胸が痛い
  • 原因のはっきりしない動悸・失神・冷や汗がある
  • 手術後・長期安静後・長距離移動後などに、上のような症状が出た

強い息苦しさ・激しい胸痛・意識が遠のくといった症状は、一刻を争うことがあります。ためらわず 119番(救急要請) をしてください。急を要さない範囲で気になる症状がある場合は、早めに循環器内科・一般内科へご相談ください。

まとめ

2026年の初の急性肺塞栓症ガイドラインは、「肺塞栓症は早く見つけて早く治療する。重症度を見極めれば、軽症なら外来・自宅での治療も可能」という前向きな内容でした。そして日本の夏は、脱水と長時間の同じ姿勢という“血栓ができやすい条件”がそろいやすい季節です。こまめな水分補給と足を動かす習慣で、血管をいたわりましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。お薬の変更・中止を含め、診断・治療の判断は必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2F(阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口・桂川エリア)にある一般内科・循環器内科です。脚のむくみ・痛みの評価、息切れや動悸の原因検索、超音波検査(下肢静脈・心臓)や血液検査、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)の管理を通じて、「この症状、血栓は大丈夫?」というご相談にお応えします。

「片脚だけむくんで痛い」「歩くと息が切れる」「長距離移動が多くて心配」――そんなときは、WEB予約からお気軽にご相談ください。

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引用文献・参考サイト


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