ニュース概要
2025年12月、日本動脈硬化学会が、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を一度起こした人の再発予防(二次予防)のための脂質管理について、専門家の合意(コンセンサス・オピニオン)を公表しました(日経メディカルほかで報道、原典は同学会の科学的レポート)。
要点は、心筋梗塞・脳梗塞・末梢動脈疾患などをすでに起こした人の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の目標を、これまでより一段低くすることです。従来の日本のガイドライン(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022)では二次予防の目標は原則100mg/dL未満(高リスク病態では70mg/dL未満)でしたが、今回は病型に応じてLDLコレステロール55〜70mg/dL未満という、より厳しい目標が示されました。再発リスクが非常に高い方では55mg/dL未満も考慮されます。
当院ではこれまでも、悪玉コレステロールを下げることの大切さを何度かお伝えしてきました(記事末尾の「当院の関連記事」もあわせてご覧ください)。今回はその流れをふまえ、とくに「一度発作を起こした人の再発予防」に的をしぼった最新の話題です。
京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアでも、心筋梗塞や脳梗塞を経験され、コレステロールの薬を続けている方は少なくありません。「今の数値のままでいいのか」「薬はいつまで続けるのか」を考えるうえで、身近で大切なテーマです。
※以下は、専門学会・公的情報にもとづく一般向けの解説です。目標値や治療は一人ひとり異なります。薬の調整は自己判断せず、必ず主治医にご相談ください。
医学的背景
悪玉コレステロールと動脈硬化の関係
コレステロールは体に必要な脂ですが、増えすぎた悪玉コレステロール(LDL-C)は血管の壁にたまり、動脈硬化を進めます。動脈硬化が進むと、心臓の血管が詰まる心筋梗塞、脳の血管が詰まる脳梗塞、足の血管が細くなる末梢動脈疾患などにつながります。悪玉コレステロールは、動脈硬化の「材料そのもの」といえます。
「二次予防」で目標が一段低くなった理由
まだ発症していない人の予防を「一次予防」、一度起こした人の再発予防を「二次予防」と呼びます。一度発症した血管は全身の動脈硬化も進んでいることが多く、再発の危険度が高い状態です。近年、「悪玉コレステロールは下げれば下げるほど再発が減りやすい(Lower is better)」という研究結果が積み重なり、今回、日本の学会も二次予防の目標を病型別に55〜70mg/dL未満へと引き下げる提言を示しました。自己判断で薬の量を変えることは、再発リスクを高めるため避けてください。
どうやって目標まで下げるか
まず食事・運動・禁煙などの生活習慣の改善が土台です。そのうえで、必要に応じてスタチンを中心に、エゼチミブやPCSK9阻害薬などを組み合わせて目標達成をめざします。どの薬をどう使うかは、体質や副作用の出やすさ、他の持病を見ながら主治医が決めます。
副作用を恐れることが、かえって将来のリスクを高めることも
「スタチンは副作用が心配」という声は少なくありません。どんな薬にも副作用はあり、ゼロではありません(スタチンでは筋肉の痛み、まれに肝機能や血糖への影響などが知られています)。しかし重要なのは、副作用が起こる頻度は決して高くなく、多くの方では薬を続けるメリット(心筋梗塞・脳梗塞の再発予防)のほうが大きく上回ることです。副作用を恐れて自己判断で薬をやめたり治療を始めなかったりすると、悪玉コレステロールが下がらないまま動脈硬化が進み、気づかないうちに将来の心血管リスクが高まってしまうことがあります。気になる症状があるときは、我慢して飲み続けるのでも、勝手にやめるのでもなく、主治医に相談すれば量の調整や薬の変更など対応の選択肢があります。
日常生活で気をつけたいポイント
- 処方された薬を自己判断でやめない・減らさない:数値が下がっても、薬をやめると悪玉コレステロールは再び上がります。二次予防では「続けること」が再発予防です。
- 「低いほど良い」と自分で量を増やさない:量の調整は必ず主治医と相談を。
- 食事は動物性の脂を摂りすぎない:揚げ物・脂身・加工肉を控えめにし、野菜・魚・海藻・食物繊維を意識する。
- 禁煙・適度な運動・体重管理:動脈硬化の危険因子を全体で減らすことが、コレステロール対策と相乗効果になります。
- 定期的な採血で数値を確認する:目標に届いているかを主治医と一緒にチェックし、必要なら治療を調整する。
受診の目安
できるだけ早めに受診・相談を
- 心筋梗塞・狭心症・脳梗塞・末梢動脈疾患などを起こしたことがあり、今の脂質管理でよいか不安
- 健診などで悪玉コレステロールが高いと指摘された
- コレステロールの薬を飲んでいるが、副作用や飲み続けることが心配
ただちに救急要請(119番)を
- 強い胸の痛み・締めつけが続く、冷や汗をともなう(心筋梗塞のサイン)
- 顔や手足のまひ・ろれつが回らない・突然の激しい頭痛(脳梗塞・脳卒中のサイン)
まとめ
- 心筋梗塞・脳梗塞を起こした方の再発予防(二次予防)では、悪玉コレステロールをしっかり下げることが大切です
- 2025年12月、日本動脈硬化学会が病型に応じてLDL-C 55〜70mg/dL未満という、これまでより一段低い目標を提言しました
- 手段は生活習慣の改善+お薬。自己判断でやめない・増やさないことが何より重要です
数値の目標が変わっても、やることの本質は「続けること」です。不安なことは一人で抱えず、主治医と相談しながら、無理なく再発予防を続けていきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。服薬の変更・中止は、必ず主治医にご相談ください。
当院で相談できること
医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口駅からお越しいただけるエリアで、一般内科・循環器内科・生活習慣病の診療を行っています。
脂質異常症(高コレステロール)や動脈硬化のリスク管理について、次のようなご相談に対応しています。
- 血液検査による脂質評価:悪玉コレステロール(LDL)・中性脂肪・善玉コレステロール(HDL)などをチェックします
- 動脈硬化リスクの総合評価:心電図・心臓超音波(心エコー)・頸動脈エコーなどを組み合わせ、血管の状態を評価します
- 二次予防のフォロー:心筋梗塞・脳梗塞などを起こした方の再発予防を、生活習慣とお薬の両面で継続的にサポートします
- 薬の相談:スタチン・エゼチミブ・PCSK9阻害薬などについて、副作用や続け方の不安にも対応します
「今の脂質管理でよいか不安」「悪玉コレステロールが高いと言われた」という方は、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。
当院の関連記事もあわせてどうぞ
- 悪玉コレステロールはどこまで下げるべきか?(基本の考え方)
- 8年ぶり改訂:2026年版コレステロール管理ガイドライン(米国ACC/AHA)のポイント
- “隠れコレステロール”Lp(a)──NIH 2万人解析の最新報告
引用文献・参考サイト
- 心血管疾患二次予防、LDL-C<70mg/dLを提言(日経メディカル、2025年12月)
- ガイドライン・提言(日本動脈硬化学会)
- ACC/AHAガイドラインに対する日本動脈硬化学会の見解(日本動脈硬化学会)

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