疾患解説

「脳梗塞」とは?──前ぶれ『FAST』と、循環器から見た予防のポイントを解説

ニュース概要

2026年7月、元大相撲・関脇の貴闘力さん(本名・鎌苅忠茂さん、58歳)が、自身のYouTubeで、5月に脳梗塞で倒れて入院していたことを報告しました。報道によれば、ゴールデンウイーク明けごろにあごの辺りのしびれを感じ、その後倒れて入院。飲食店の開業準備で睡眠時間を削るなど多忙が続いていたといい、現在は回復が進み「やっとちょっと、しゃべれるようになった」と語る一方、まだ発話に支障が残るとのことです(東スポWEB、2026年7月15日)。

脳梗塞は、命が助かっても後遺症が残ることのある病気ですが、前ぶれに早く気づくことと、高血圧・心房細動などの危険因子を日々管理することで、防いだり軽くしたりできる病気でもあります。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアで高血圧や不整脈の治療を続けておられる方にこそ、知っておいていただきたいテーマです。

※以下は、ご本人が公表された内容を出発点にした、病気そのものの一般的な解説です。特定の方の診療内容を推測するものではありません。

医学的背景

脳梗塞は「脳の血管が詰まる」病気

脳の血管が細くなったり、血のかたまり(血栓)で詰まったりすると、その先の脳細胞に血液が届かず傷んでしまいます。これが脳梗塞です。傷んだ部位に応じて、手足の麻痺・言葉の障害・感覚の異常などが現れます。

詰まり方には、アテローム血栓性(動脈硬化で太い血管が細くなる)、ラクナ(脳の細い血管が詰まる。高血圧と関係が深い)、そして心原性脳塞栓(心臓でできた血栓が脳に飛ぶ)の大きく3タイプがあります。

循環器内科の視点:心房細動と心原性脳塞栓

このうち循環器内科と最も関わりが深いのが心原性脳塞栓です。心房細動という不整脈があると、心臓の中(左心房)に血栓ができやすくなり、それが脳の太い血管まで流れて一気にふさぎます。心房細動がある人は、ない人に比べて脳梗塞のリスクが数倍高まるとされ、しかも太い血管が詰まるため重症になりやすいのが特徴です。

心房細動は、動悸や「脈が飛ぶ」感覚で気づかれることもあれば、無症状で健診の心電図で偶然見つかることもあります。見つけて適切に評価し、必要に応じて血栓を防ぐお薬(抗凝固薬)を用いることで、脳梗塞の多くを防ぐことができます。「脈の乱れ」は、脳を守るための大切なサインなのです。

なお、脳梗塞の予防や治療に使われるお薬は、自己判断で始めたり中止したりしないことがとても重要です。血液をサラサラにする薬は、効果と出血のリスクのバランスを一人ひとり見極めて使います。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 前ぶれ『FAST』を家族で共有する。F=顔のゆがみ、A=片腕の脱力、S=ろれつが回らない、T=ひとつでもあればすぐ119番。冷蔵庫に貼っておくのもおすすめです。
  2. 血圧を家庭で測る習慣をつける。高血圧は脳梗塞・脳出血の最大の危険因子。朝晩の家庭血圧が管理の土台になります。
  3. 脈の乱れに気づいたらメモする。「脈が飛ぶ・バラバラ」を感じたら、日時をメモして受診時に伝えてください。スマートウォッチの記録も手がかりになります。
  4. コレステロール・血糖の数値を放置しない。動脈硬化を進める危険因子です。健診結果は必ずフォローを。
  5. 禁煙・節酒・十分な睡眠。喫煙・多量飲酒・睡眠不足や過労はリスクを高めます。「休む・眠る」も立派な予防です。
  6. 水分をこまめに。とくに夏場や発汗時は脱水で血液が固まりやすくなります。

受診の目安

ただちに救急要請(119番)を

  • 顔の片側がゆがむ/笑うと片方の口角が下がる(Face
  • 片方の腕・脚に力が入らない、しびれる(Arm
  • ろれつが回らない、言葉が出ない、話が通じない(Speech
  • 突然の激しいめまい・ふらつき、片方の目が見えにくい・ものが二重に見える
  • 経験したことのない激しい頭痛

これらは、症状が軽くても・ひとつだけでもすぐに119番を。脳梗塞の治療は時間との勝負です。

その日のうちに受診を

  • 上記の症状が出たが、数分〜数十分で消えた(=TIA・一過性脳虚血発作の可能性。本格的な脳梗塞の“最終警告”です)
  • 健診で心房細動・不整脈を指摘された
  • 「脈が飛ぶ・バラバラ」を繰り返し感じる
  • 血圧・コレステロール・血糖が高めで管理できていない

まとめ

  • 脳梗塞は脳の血管が詰まる病気で、最初の数時間の対応がその後を大きく左右します
  • 前ぶれの合言葉は「FAST」。ひとつでもあれば、迷わず119番
  • 症状がいったん消えても油断は禁物(TIA)。その日のうちに必ず受診を
  • 危険因子は高血圧・脂質異常症・糖尿病・心房細動・喫煙・過労。多くは日々の管理で下げられます
  • とくに心房細動は、循環器内科で見つけて備えられる、脳を守る重要なカギです

脳梗塞は怖い病気ですが、前ぶれに気づいてすぐ動くこと、そして危険因子をコツコツ管理することで、防げる・軽くできる病気です。血圧・コレステロール・脈の乱れは、その一つひとつが「脳を守る手がかり」です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。服薬の変更・中止は、必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口駅からお越しいただけるエリアで、一般内科・循環器内科・生活習慣病の診療を行っています。

脳梗塞の予防に関しては、次のようなご相談に対応しています。

  • 心房細動のチェック:心電図検査による不整脈の評価。必要に応じて脳梗塞リスク(CHADS₂・CHA₂DS₂-VAScなど)を評価し、抗凝固薬による予防を検討します
  • 高血圧・脂質異常症・糖尿病の管理:脳梗塞の土台となる生活習慣病を、家庭血圧や検査値をもとに継続的にコントロール
  • 再発予防の通院管理:一度発症した方の、危険因子管理と服薬継続のサポート
  • 専門医療機関との連携:急性期治療や専門的な検査が必要な場合のご紹介

「血圧が高めで気になる」「健診で不整脈を指摘された」「脈が飛ぶ感じがある」という方は、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。

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引用文献・参考サイト


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