疾患解説

学校健診でよく指摘される「無害性雑音」「生理的雑音」とは?

学校健診で、

「心雑音があります」
「一度、医療機関で相談してください」
「循環器で確認してもらってください」

と言われると、お子さん本人よりも、保護者の方がびっくりされることが多いかもしれません。

「心臓に病気があるの?」
「運動をしても大丈夫?」
「部活動は続けていいの?」

と心配になるのは、とても自然なことです。

ただし、学校健診で指摘される心雑音の中には、心臓に大きな異常がなくても聞こえる**「無害性雑音」「生理的雑音」**と呼ばれるものがあります。

この記事では、学校健診でよく指摘される心雑音について、保護者の方にもわかりやすく解説します。


心雑音とは?

心雑音とは、聴診器で心臓の音を聞いたときに、本来の「ドックン、ドックン」という音に加えて聞こえる音のことです。

心臓の中では、血液が一定の方向に流れています。
その血液の流れが少し速くなったり、乱れたりすると、「ザー」「シュー」といった音として聞こえることがあります。

これが心雑音です。


「心雑音=心臓病」ではありません

ここが一番大切です。

学校健診で心雑音を指摘されたからといって、必ずしも心臓に病気があるわけではありません。

心雑音には大きく分けて、

  • 心臓に異常がないのに聞こえる雑音
  • 弁膜症や先天性心疾患など、病気が原因で聞こえる雑音

があります。

前者が、いわゆる無害性雑音生理的雑音機能性雑音と呼ばれるものです。

小児や成長期のお子さんでは、心臓や血管に明らかな異常がなくても、血液の流れる音が聴診器で聞こえることがあります。


無害性雑音・生理的雑音とは?

無害性雑音とは、心臓の構造や働きに大きな異常がないにもかかわらず、血液の流れる音が聞こえる状態です。

たとえるなら、川の流れが少し速くなったときに「サラサラ」と音が聞こえるようなものです。
川そのものが壊れているわけではなく、流れ方によって音が聞こえている、というイメージです。

子どもは大人に比べて胸の壁が薄く、心臓の音や血液の流れる音が聴診器で聞こえやすいことがあります。

そのため、学校健診で初めて心雑音を指摘されることも珍しくありません。


どんなときに生理的雑音が聞こえやすい?

心臓に病気がなくても、血流が速くなる状態では心雑音が聞こえやすくなります。

代表的には、次のような場合です。

状態なぜ雑音が聞こえやすい?
成長期胸壁が薄く、血流音が聞こえやすい
運動後心拍数が上がり、血流が速くなる
発熱時全身の血流が増える
貧血血液の流れが速くなりやすい
緊張している時脈が速くなり、音が聞こえやすくなる
やせ型のお子さん心臓の音が聴診器で伝わりやすい

学校健診は、緊張していたり、検査前後で少し心拍数が上がっていたりすることもあります。
そのため、普段は目立たない雑音が、その時だけ聞こえることもあります。


無害性雑音の特徴

診察で「無害性雑音の可能性が高そう」と判断される場合には、いくつかの特徴があります。

たとえば、

  • 症状がない
  • 雑音が比較的小さい
  • 運動時の胸痛や失神がない
  • チアノーゼがない
  • 成長や体重増加に問題がない
  • 心電図に明らかな異常がない
  • 心エコーで心臓の構造に異常がない

といった場合です。

ただし、聴診だけで完全に判断するのは難しいこともあります。
学校健診で指摘された場合は、一度医療機関で確認しておくと安心です。


注意が必要な心雑音もあります

一方で、心雑音の中には、先天性心疾患、弁膜症、心筋症、不整脈などが関係していることもあります。

特に、次のような症状がある場合は、早めに循環器内科や小児循環器での確認をおすすめします。

  • 運動中に胸が痛くなる
  • 運動中に失神したことがある
  • 走ると極端に息切れする
  • 動悸を繰り返す
  • 顔色が悪い、唇が紫っぽくなる
  • 成長や体重増加が悪い
  • 家族に若年突然死や重い心臓病の方がいる
  • 心電図異常も一緒に指摘された
  • 以前は言われなかった心雑音を新しく指摘された

とくに運動中の失神、胸痛、強い動悸がある場合は、「念のため」ではなく、しっかり確認が必要です。


検査は何をするの?

学校健診で心雑音を指摘された場合、医療機関では必要に応じて次のような検査を行います。

1. 聴診

まずは、どの場所で、どのタイミングで、どのような音が聞こえるかを確認します。

心雑音は、音の大きさだけでなく、聞こえるタイミングや場所も重要です。

2. 心電図

不整脈や心臓への負担がないかを確認します。

学校健診で心雑音と心電図異常を同時に指摘されている場合は、より丁寧な確認が必要です。

3. 胸部レントゲン

必要に応じて、心臓の大きさや肺の状態を確認します。

4. 血液検査

貧血や甲状腺機能など、心雑音が聞こえやすくなる原因を調べることがあります。

5. 心エコー検査

心雑音の原因を確認するうえで、とても重要な検査です。

心エコーでは、心臓の壁、弁の動き、血液の逆流や狭窄の有無、先天的な異常がないかなどを確認できます。

痛みはなく、体への負担も少ない検査です。


「無害性雑音」と言われたら、運動してもいい?

心エコーなどで異常がなく、無害性雑音・生理的雑音と判断された場合、多くは特別な治療は不要です。

運動や体育、部活動も通常通り可能なことがほとんどです。

ただし、

  • 症状がある
  • 心電図異常もある
  • 医師から運動制限を指示された
  • 精密検査がまだ終わっていない

という場合は、検査結果がはっきりするまで、無理な運動は控えた方がよいこともあります。


まとめ

学校健診で「心雑音があります」と言われると、保護者の方はとても心配になると思います。

しかし、子どもや成長期のお子さんでは、心臓に大きな異常がなくても聞こえる無害性雑音・生理的雑音が少なくありません。

一方で、まれに先天性心疾患や弁膜症、不整脈などが隠れていることもあります。

大切なのは、
「心雑音=すぐに危険」と考えすぎないこと
そして、
「本当に問題のない雑音かどうかを一度確認すること」
です。

当院では、学校健診で心雑音を指摘されたお子さんに対して、聴診、心電図、胸部レントゲン、血液検査、心エコー検査などを組み合わせて確認しています。

学校健診で心雑音を指摘された場合は、過度に心配しすぎず、まずは一度ご相談ください。

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