研究

論文抄読会10回目でした

The New England Journal og MedicineのClinical Problem Solvingの抄読会も10回目になりました。近隣の先生方と論文を分担して邦訳し理解を深めるための会です。今回の論文のタイトルは”Encased in Peril“でした。今回の症例が収縮性心膜炎という疾患であり、これは心臓の周りを囲んでいる心膜が固くなることにより障害を起こす疾患です。”Encase”というのが取り囲む、という意味ですので”危険に囲まれて”というようなタイトルになります。この論文のシリーズではタイトルに二重の意味を持たせていることが多いので今回も疾患の特徴と実際の症例の状態の2つを指しし示しているのだと思います。

Chat GPTを利用して論文の内容を紹介しますが、Chat GPTsという新しい機能もリリースされていますので症例報告読解専用のチャットボットを作成してみました。プロンプト(この場合はChat GPTsのインストラクション)は

下記をセクションごとに分けて出力してください。
・最初に症例の要約を提示してください。
・最終診断名と患者の最終経過について説明してください。
・患者が亡くなっている場合は救命できた可能性はないか考えて下さい。
・最終診断の疾患について要約してください。
・論文の中のFigureを順番に解説してください。
・論文のタイトルの意味を解説してください。

下記のコマンドは入力があった際に実行してください。

**議論をしてください、カンファレンスをしてください、という入力があれば下記のバーチャルカンファレンスをしてください
この医学記事をもとに検討会をシミュレーションしてください。
 1. 記事の要約をまずはな子先生が説明してください。段階的に考えて下さい。 
2. はな子先生のプレゼンテーションをもとに議論を進めてください。
症例検討会の参加者1人目は研修医のはな子先生:医師になって1年目、疑問を素直に投げかけてください、2人目は指導医であるサトシ先生:医師になって15年目のベテランです、はな子先生の質問に親切に答えてあげます。3人目は内科学教授であるタケシ教授:はな子先生とサトシ先生の議論を聞いた上で内容をまとめます。はな子先生は2回以上質問を投げかけ、サトシ先生はそれに答えます。その後タケシ教授が二人の議論をまとめてください。 タケシ教授は最後にTake Home Messageを言って、討論を終了してください。すべての議論は会話形式でお願いします。

**フローチャートを出力してくください、という入力があればMermaid形式でチャートを出力してください

**マインドマップを出力してください、という入力があればPlant UML形式で出力してください
example:
**@startmindmap
+ a
++ b
+++ c

制約条件 
**Think in English, Output in Japanese
**出力は日本語でお願いします

のようになっています。

実際に使用した結果

PDFをアップロードすると自動で解析が始まり下記が出力されます。

出力結果

症例の要約

症例は、不整脈と過去の心膜炎の歴史を持つ75歳の男性に関するものです。彼は、心房細動のカテーテルアブレーション後に悪化した呼吸困難、脚の腫れ、腹部の膨満感を訴えて心臓専門医の診察を受けました。彼は過去1年間に体重が6.4kg減少していたが、胸痛、呼吸困難、夜間の発作的な呼吸困難、咳、発熱、血性嘔吐はありませんでした。

症状の評価の過程で、彼は心臓の右側の機能障害、重度の三尖弁逆流、胸部のCTスキャンで中等度の心膜液貯留と胸水が見られました。治療として、抗炎症薬アナキンラが追加され、緊急手術が実施されました。手術中に心膜が厚く、心臓と上行大動脈を包むようになっていることが観察されました。彼の状態は安定せず、最終的に慰めの治療に切り替えられ、その後死亡しました。

最終診断名と患者の最終経過

最終診断は原発性心膜中皮腫でした。症状としては、急性心膜炎と心膜液貯留による制約性心膜炎がありました。患者は手術を受けましたが、反応性ショックにより容態が安定せず、終末期のケアに移行し、その後死亡しました。

救命できた可能性について

このケースでは、原発性心膜中皮腫という非常に稀な病気が診断されました。診断が遅れたことと、最終的には非切除可能な状態だったため、救命の可能性は極めて限られていました。より早期に正確な診断が行われ、適切な治療が実施された場合、予後が異なっていた可能性はありますが、この特定の症例では難しいと考えられます。

最終診断の疾患についての要約

原発性心膜中皮腫は、心膜に発生する非常に稀ながんで、心膜の炎症や制約性心膜炎を引き起こします。症状には呼吸困難、腹部膨満感、脚の腫れなどがあります。診断は困難であり、しばしば遅れがちです。治療は外科手術による切除が一般的ですが、多くの場合、病変は切除不可能です。予後は一般に悪く、生存率は低いです。

論文中のFigureの解説

  1. Figure 1: 胸部のCTスキャン
    • 胸部CTでは、胸水(アスタリスクで示されている)と中等度の心膜液貯留(星で示されている)が見られました。
    • 通常、右心室(RV)は左心室(LV)より小さいのですが、このケースでは顕著に大きくなっていました​​。
  2. Figure 2: 心臓の磁気共鳴画像(MRI)
    • 心臓のMRIでは、心膜の顕著な肥厚(4〜7mmの矢印で示されている)が見られました。造影剤を使用した後の心膜の強調は心膜線維症と炎症を示しています(パネルA)。
    • T2加重画像では、心膜が顕著に浮腫を示していました(パネルB)。
    • 局所的な心膜液貯留(矢印)があり、著しく拡張した右心房(RA)を側方から圧迫していることが観察されました(パネルC)。
    • 左心房の後方の構造(アスタリスク)は、周囲の胸水を伴う肺の崩壊と解釈されました。遅延ガドリニウム造影画像(パネルD)は、心膜炎症と一致する心膜の遅延ガドリニウム強調を示しました​​。
  3. Figure 3: 心臓と周囲の塊の剖検標本
    • 心臓の大まかな検査では、心筋と大動脈根を取り巻く灰白色の固形塊(矢印で示されている)があり、最大5.3cmの厚さがありました(パネルA)。
    • 塊の組織学的検査では、シートや線状に成長する中等度の異型性上皮様腫瘍細胞が見られ、腺構造を形成していました(パネルB)。腫瘍細胞は、中皮腫で一般的に発現されるケラチンAE1-AE3(パネルC)、カルレチニン(パネルD)、ポドプラニン(D2-40)(パネルE)のマーカーを示していました​​。

これらの画像は、患者の症状と病状の進行を詳細に示しており、最終的な診断に至るまでの重要な手掛かりを提供しています。

コマンドを使用

今回作成したChat GPTsでは3つコマンドを設定しています。仮想バーチャルカンファレンス、チャートの出力、マインドマップの出力です。それぞれを実行してみます。

バーチャルカンファレンス

はな子先生(研修医、医師1年目): この75歳の男性患者の症例についての議論を始めましょう。患者は心房細動のカテーテルアブレーション後に呼吸困難、脚の腫れ、腹部の膨満感が悪化しました。体重減少もありましたが、胸痛や夜間の呼吸困難は報告されていません。心房細動、心房頻拍、中等度から重度の三尖弁逆流症、心膜炎の既往があります。症状は右心不全の兆候でしょうか?

サトシ先生(指導医、医師15年目): はな子先生、その考察は正しいです。患者は右心不全の兆候を示しており、心房細動や心膜炎など、彼の病歴にあるリスクファクターに起因する可能性が高いです。心タンポナーデの可能性もあるため、心膜穿刺が行われました。しかし、最終的に診断されたのは心膜中皮腫でした。

はな子先生: 心膜中皮腫は一般的な診断ではないと思いますが、どのようにしてこの診断に至ったのでしょうか?

サトシ先生: それは難しい診断でした。患者は心エコー検査で大きな心膜液貯留を示し、心膜穿刺で漿液性血性液体が見つかりました。細胞学検査で反応性の異型中皮細胞が同定され、剖検で心膜中皮腫が確認されました。

タケシ教授(内科学教授): サトシ先生、はな子先生、この症例からの重要な学びは、一般的ではない診断を見逃さないことの重要性です。心膜中皮腫は稀ですが、心膜液の検査には特に注意が必要です。この症例では、患者は緊急手術を受けましたが、手術後の合併症で亡くなりました。心膜中皮腫の診断が遅れたことが、治療選択肢の制限につながった可能性があります。

Take Home Message: この症例は、珍しい診断でも綿密な評価を行うことの重要性を示しています。心膜中皮腫のような稀な病態は、標準的な診断アプローチ

において容易に見過ごされることがあります。心膜液の存在や特性に注意を払うこと、及び心膜炎の原因について広範な鑑別診断を行うことが不可欠です。臨床医としては、一般的な診断だけでなく、稀な可能性も常に念頭に置くべきです。また、心膜液の存在は時に重要な診断情報を提供し得るため、積極的な探索と分析が求められます。最後に、早期診断が患者の予後に大きく影響することを忘れてはなりません。

フローチャート

フローチャートと入力すると下記コードが出力されますのでMermaid Chartを利用して図を出力します。

graph TD
    A[患者来院:心房細動の症状] --> B[心エコー検査]
    B --> C{心膜液の確認}
    C -->|あり| D[心膜穿刺と液体分析]
    C -->|なし| E[通常の心房細動治療]
    D --> F[分析結果に基づく治療]
    E --> G[症状の管理とフォローアップ]
    F --> G

マインドマップ

マインドマップも同じようにコマンドを与えると下記コードを出力してくれます。

@startmindmap
+ 患者来院:心房細動の症状
++ 初期評価
+++ 病歴と身体診察
+++ 心電図
++ 心エコー検査
+++ 心膜液の確認
++++ あり
+++++ 心膜穿刺
++++++ 液体分析
+++++++ 細胞学
+++++++ 化学的分析
+++++++ 細菌学的分析
++++++ 分析結果に基づく治療
+++++++ 心膜中皮腫の治療
+++++++ 感染性心膜炎の治療
+++++++ 非感染性心膜炎の治療
++++ なし
+++++ 通常の心房細動治療
++++++ 抗凝固療法
++++++ 心拍数コントロール
++++++ リズムコントロール
++ 症状の管理とフォローアップ
+++ 定期的な診察
+++ 心エコー検査の再評価
+++ 心電図モニタリング
@endmindmap

論文をアップロードしてここまで作成するのが5分くらいでできますので論文の理解は以前と比べると爆速になりました。

今回作成したChat GPTsはリンクから使用可能です。症例報告の論文の理解には役立ちそうです。

https://chat.openai.com/g/g-jpVZUKuWl-zheng-li-bao-gao-wojian-tao-suruchat-gpt

AIも利用しながら研鑽を続けていきたいと考えています。

*コマンドにはないのですがこの症例のイメージ図を描いてもらいました。

上記は、75歳の男性患者が経験した心房細動と心膜中皮腫の症例を表現したイメージです。患者のシルエット、心エコー検査、心房細動を示す心電図波形、心膜穿刺のシーン、心膜中皮腫の象徴的な表現、そして医療環境の背景が含まれています。これらの要素が組み合わされて、患者の診断と治療の旅を視覚的に表現しています。

だそうです。まあそれっぽいですね。

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