治療薬

夏の『シックデイ』に注意──発熱・下痢・食欲不振の日、糖尿病の薬はどうする?SGLT2阻害薬の休薬ルールをやさしく解説

ニュース概要

シックデイ(sick day)とは、糖尿病の患者さんが感染症などで発熱・嘔吐・下痢・食欲不振になり、血糖値が乱れやすくなった状態のことです。日本糖尿病学会や日本糖尿病協会は「今一度シックデイ対策を」とくり返し呼びかけています。

2026年の夏も猛暑が続き、総務省消防庁によると7月上旬の熱中症救急搬送は前週の約3.3倍に急増しました。暑さによる脱水夏の胃腸炎(夏かぜ・食あたり)が重なる夏は、シックデイに陥りやすい季節です。京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアにお住まいで、糖尿病・高血圧・心不全などでお薬を飲んでいる方にとっても、”自分ごと”として知っておきたいテーマです。

※以下は、学会・公的機関の情報にもとづく一般向けの解説です。薬の増減・休薬は、お一人おひとりの状態によって異なります。

医学的背景

シックデイに血糖が乱れる理由

体が病気と戦うとき、ストレスホルモンの影響でインスリンの効きが悪くなり高血糖になることがあります。反対に、食事がとれないのにいつも通り薬を飲むと低血糖になることもあります。つまりシックデイは、高くも低くもぶれやすい不安定な状態です。

SGLT2阻害薬とメトホルミン──脱水時は休薬が基本

SGLT2阻害薬(ジャディアンス・フォシーガ・カナグルなど。糖尿病だけでなく心不全・慢性腎臓病にも使われます)は、尿に糖と水分を排出するお薬です。そのため、発熱・下痢・嘔吐で脱水しやすいときや、食事が半分もとれないときは、いったん休薬するのが一般的なルールとされています。メトホルミンも脱水時は休薬が勧められます。脱水下でSGLT2阻害薬を続けると、まれに正常血糖ケトアシドーシス(血糖値がそれほど高くないのに、強い吐き気・腹痛・深く速い呼吸・果物のような甘い口臭・強い倦怠感を来す危険な状態)や急性腎障害のリスクが高まります。日本腎臓病学会などもシックデイ・周術期の休薬に注意を促しています。

一方で、1型糖尿病の方はインスリンを完全に中断してはいけません。薬によって「休むもの」「続けるもの」が異なるため、自己判断でまとめて中止・継続しないことが重要です。数値の管理や休薬の判断は自己判断で行わず、必ず主治医に相談してください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 脱水を防ぐ:水・お茶・経口補水液をこまめにとる。夏は熱中症予防も兼ねて。
  2. 絶食しない:おかゆ・うどん・ゼリー飲料など、口にできるもので炭水化物を少しでも確保する。
  3. 休養をとる:無理をせず、体を休める。
  4. シックデイ・ルールを事前に決めておく:「体調が悪い日にどの薬をどうするか」を、平常時のうちに主治医と確認しておく。
  5. お薬手帳・かかりつけの連絡先を手元に:いざというときに相談しやすくしておく。

受診の目安

できるだけ早めに相談・受診を

  • 水分がとれない/嘔吐・下痢がくり返す
  • 高熱が続く/ぐったりして元気がない
  • 血糖が測れる方で、極端に高い・低い値が続く
  • どうすればよいか判断に迷うとき

ただちに医療機関へ・救急要請(119番)を

  • 意識がもうろうとする・呼びかけへの反応が鈍い
  • 強い腹痛・くり返す嘔吐に、深く速い呼吸や甘い口臭をともなう(正常血糖ケトアシドーシスのサイン)
  • けいれん、水分がまったくとれず尿が出ない

まとめ

  • シックデイは、発熱・下痢・食欲不振などで体調をくずし、血糖が乱れやすくなった日のこと
  • 基本は脱水を防ぐ・絶食しない・休む
  • SGLT2阻害薬・メトホルミンは脱水時に休薬が基本。まれに正常血糖ケトアシドーシスに注意
  • 1型糖尿病のインスリンは中断しない。薬ごとに対応が違う
  • 迷ったとき・水分がとれないときは、早めに受診を

夏本番の前に、「体調が悪い日のお薬の飲み方」を一度確認しておくと安心です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。薬の増減・休薬・再開は自己判断で行わず、必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口駅からお越しいただけるエリアで、一般内科・循環器内科・生活習慣病の診療を行っています。

糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病や、心不全・腎臓病でお薬を飲んでいる方に、次のようなご相談に対応しています。

  • その方に合った『シックデイ・ルール』の確認:体調不良時に休む薬・続ける薬を一緒に整理します
  • SGLT2阻害薬・糖尿病治療薬の使い方の見直し:夏の脱水を見据えた飲み方をご説明します
  • 血糖・腎機能・血圧のチェック:定期的なフォローで、安全にお薬を続けられるよう支援します
  • 必要時の連携:状態に応じて専門医療機関と連携します

夏の体調管理でお薬に不安がある方は、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。

当院の関連記事もあわせてどうぞ

引用文献・参考サイト


関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。