はじめに
「コレステロールも血圧も悪くないのに、心筋梗塞になってしまった」――このようなお話を耳にしたことはないでしょうか。実は、心筋梗塞や脳卒中で入院される患者さんのおよそ4人に1人は、いわゆる典型的なリスク因子(高血圧・高コレステロール・糖尿病・喫煙など)が当てはまらないと言われています。今回は、その「説明のつかない部分」を埋めるかもしれない最新トピックをご紹介します。
今日のニュース
慢性炎症が心臓病の「隠れた火種」かもしれない
科学雑誌『Scientific American』の2026年5月号では、表紙特集として「Your Heart In Flames(炎に包まれる心臓)」というテーマが取り上げられました。心臓病の引き金として、長年にわたって体内でくすぶり続ける慢性炎症の役割が、改めてクローズアップされています。
血管の壁にコレステロールがたまっていく「動脈硬化」は、単なる脂の沈着ではなく、血管が長期間にわたり“炎症”を起こしている状態であることが分かってきました。風邪をひいたときの一時的な発熱や腫れとは違い、慢性炎症は症状が表に出にくく、何年もかけて静かに血管を傷めていきます。
特集では、こうした慢性炎症をおさえる薬として、もともと痛風発作の治療に使われてきたコルヒチンなどの抗炎症薬が、心筋梗塞や脳卒中の再発予防に役立つ可能性についても紹介されています。比較的安価で歴史のある薬が、循環器の世界で新しい役割を持ちはじめている、というニュースです。
ただし、これは「コルヒチンを自己判断で飲めばよい」という意味では決してありません。腎臓や消化器への影響、他の薬との飲み合わせなど注意点も多く、必ず医師の判断のもとで使うべき薬です。
患者さんへのポイント:
- 動脈硬化は「血管の慢性炎症」という視点でも捉えられるようになってきています。
- 炎症をおさえる生活習慣(後述)は、薬の有無にかかわらず誰にとっても大切です。
- 「数値はそこまで悪くないはず」という方ほど、定期的なチェックをおすすめします。
今日からできる「炎症を減らす」生活習慣
- 野菜・魚・全粒穀物を中心とした食事:地中海食パターンは慢性炎症をおさえる代表例です。
- 歯と歯ぐきのケア:歯周病は全身の慢性炎症の原因となり、心血管リスクと関連が示されています。
- 質のよい睡眠:睡眠不足や睡眠時無呼吸も炎症マーカーを上げる一因です。
- 適度な有酸素運動:早歩きを1日20〜30分続けるだけでも炎症は下がります。
- 禁煙と節度ある飲酒:たばこの煙は強力な炎症刺激です。
まとめ・当院からのメッセージ
血圧やコレステロールの管理に加えて、これからの循環器予防では「慢性炎症をいかに減らすか」がもう一つの軸になっていきそうです。当院では、採血結果や生活背景から一人ひとりに合った形で「炎症の火種」を見つけ、ご一緒に生活習慣の整え方をご提案しています。胸の症状や数値が気になる方はもちろん、「数値は悪くないけど不安」という方もどうぞお気軽にご相談ください。
参考・引用元

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