疾患解説

お盆の深酒に注意──『ホリデーハート症候群』とは?お酒のあとの動悸・脈の乱れを循環器内科がやさしく解説

ニュース概要

普段はほどほどでも、休暇や宴会で急にお酒を飲みすぎたあと、動悸や脈の乱れが起こることがあります。これをホリデーハート症候群(Holiday Heart Syndrome)と呼びます。1978年に医師のEttingerらが「休日に大量飲酒したあと不整脈で受診する人が多い」ことに気づき、”Holiday Heart”として最初に報告した概念です。

その後の研究で、お酒と心房細動(しんぼうさいどう)という不整脈の関係が明らかになってきました。米国の研究チーム(Marcusら、2021年)は腕時計型の心電計などを用いて、「1杯の飲酒でもそのあと数時間以内に心房細動の発作が起こりやすくなる」ことを実データで示し、飲酒者の心房細動患者を対象にした無作為化試験(Voskoboinikら、2020年)では、お酒を控えると心房細動の再発が有意に減ったと報告されています。

2026年の夏も猛暑が続き、総務省消防庁によると7月上旬の熱中症救急搬送は前週の約3.3倍に急増しました。汗による脱水お盆・夏休みの飲酒機会の増加が重なるこの時期は、京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアにお住まいの方にとっても、ホリデーハート症候群を”自分ごと”として知っておきたいタイミングです。

※以下は、専門誌の論文や公的機関の情報にもとづく一般向けの解説です。診断や治療方針は、お一人おひとりの状態によって異なります。

医学的背景

お酒が脈を乱す仕組み

アルコールが不整脈を起こしやすくする理由は複数あります。まず、アルコールには利尿作用があり、水分とともに脈のリズムに関わるナトリウム・カリウム・マグネシウムなどのミネラルを失わせます。夏はもともと汗で脱水しやすいため、影響が強く出やすくなります。加えて、脱水や飲酒後は交感神経が高ぶり、心臓を刺激するアドレナリンなどが増えて、心房細動の引き金になります。宴会続きの睡眠不足・疲労も脈を乱れやすくします。

循環器内科の視点:心房細動を軽視しない

心房細動は、心臓の上のお部屋(心房)が細かく震え、脈がバラバラに・しばしば速くなる不整脈です。一度の深酒で起きた発作が自然におさまることもありますが、くり返すようになると心不全や脳梗塞(心原性脳塞栓)につながることがあるため、軽く考えないことが大切です。「お酒のあとだけだから」と自己判断で放置せず、くり返すときは一度評価を受けましょう。服薬中の方は、飲酒の可否を自己判断で決めず主治医に相談してください。

診断のポイント:出たり消えたりを捕まえる

心房細動は出たり消えたりすることが多く、受診時にはおさまっていてその場の心電図では見つからないことがよくあります。そこで役立つのが、24時間記録する「ホルター心電図」や長期間の記録ができる検査です。「あのときの動悸の正体」を確かめる有力な手段になります。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 深酒を避ける:とくに「一気にまとめて飲む」飲み方を控える。研究でも節酒で心房細動が減ることが示されています。
  2. お酒と一緒に水分をとる:飲酒中・飲酒後の水分補給で脱水をやわらげる。
  3. 暑い日はこまめに水分・塩分補給:夏の脱水対策は不整脈・熱中症の両方に有効です。
  4. 睡眠と休養をとる:寝不足・疲労をためない。
  5. 持病の管理を続ける:高血圧・糖尿病・脂質異常症など動脈硬化の危険因子の管理も、心房細動の予防・悪化防止に大切です。自己判断で薬をやめない。

受診の目安

できるだけ早めに受診・相談を

  • お酒のあとに動悸・脈の乱れが数時間続く、またはくり返す
  • ドキドキとともに息切れ・胸の痛み・強いだるさがある
  • 以前より軽い飲酒でも脈が乱れるようになった

ただちに救急要請(119番)を

  • 意識が遠のく・失神した
  • 強い胸の痛みが続く、冷や汗をともなう
  • 突然の強い息苦しさで横になれない

まとめ

  • ホリデーハート症候群は、いつもより多いお酒のあとに起こる動悸・心房細動などの不整脈です
  • 脱水・自律神経の興奮・睡眠不足が重なる夏は、とくに起こりやすくなります
  • お酒のあとの動悸がくり返す・長引くときや、軽い飲酒でも脈が乱れるときは受診を
  • 予防のカギは節酒・こまめな水分補給・十分な休養です

楽しい夏を、心臓にもやさしく過ごすために、「お酒のあとのドキドキ」を見逃さないでいただければと思います。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療に代わるものではありません。服薬中の方の飲酒の可否や、服薬の変更・中止は、必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口駅からお越しいただけるエリアで、一般内科・循環器内科・生活習慣病の診療を行っています。

お酒のあとの動悸や脈の乱れ、心房細動をはじめとする不整脈について、次のようなご相談に対応しています。

  • 動悸・脈の乱れの評価:問診と心電図で、まず脈の状態を確認します
  • ホルター心電図(24時間心電図):出たり消えたりする不整脈を、日常生活のなかで記録して確認します
  • 心臓超音波(心エコー)検査:心臓の構造やポンプ機能を、痛みのない検査で評価します
  • 心房細動の管理・脳梗塞予防のご相談:必要に応じて抗凝固療法の検討や専門医療機関との連携を行います

不整脈の精査は当院が力を入れている領域のひとつです。「お酒のあとにドキドキする」「脈がバラバラになる感じがある」という方は、どうぞお気軽にご相談・ご予約ください。

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引用文献・参考サイト


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