研究

心臓病による死亡は減っても予防はまだ大切――高血圧とLDLコレステロールを見直そう

ニュース概要

2026年7月15日、医学ニュースサイトSTATは、米国における虚血性心疾患の死亡と危険因子を1990年から2023年まで分析した研究を報じました。研究は同日、医学誌JAMA Cardiologyにオンライン掲載されています。

虚血性心疾患とは、心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり詰まったりして起こる病気の総称で、狭心症や心筋梗塞が含まれます。

今回の米国データでは、年齢構成の違いを調整した虚血性心疾患の死亡率は1990年から2023年にかけて約60%低下しました。一方、2023年の虚血性心疾患による死亡の約88.7%は、研究モデル上、高血圧、食事、高LDLコレステロール、喫煙、血糖、体格などの「修正可能な危険因子」に関連すると推計されました。なかでも高い収縮期血圧、食事、高LDLコレステロールが上位でした。

これは「生活を変えれば誰でも心筋梗塞を完全に防げる」という意味ではありません。米国の集団データに基づく推計であり、遺伝、年齢、持病、医療へのアクセスなども個人のリスクに影響します。それでも、血圧やコレステロールなど、早めに見つけて管理できる要素が多いことを改めて示すニュースです。

医学的背景

虚血性心疾患は症状がないまま進むことがあります

冠動脈の動脈硬化は、多くの場合、長い年月をかけて進みます。初期には自覚症状がないことも珍しくありません。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、慢性腎臓病などが重なると、血管への負担が積み重なります。

血管がある程度狭くなると、階段や坂道、重い物を持ったときなど、心臓が多くの酸素を必要とする場面で胸の圧迫感や息切れが出ることがあります。血栓などで冠動脈が急に詰まると心筋梗塞となり、安静にしても続く胸痛、冷や汗、吐き気、強い息苦しさなどを起こすことがあります。

「修正可能」は「自己責任」という意味ではありません

医学研究でいう修正可能な危険因子とは、検査、生活上の工夫、禁煙支援、薬物治療などによって改善を目指せる要素を指します。本人の努力だけですべてが決まるという意味ではありません。

たとえば、同じ食生活でも体質や家族歴によってLDLコレステロールが大きく上がる方がいます。高血圧にも遺伝、加齢、睡眠時無呼吸、腎臓やホルモンの病気などが関係します。必要なときは、生活習慣の見直しと医療の支援を組み合わせることが大切です。

一つの数字だけで判断しません

血圧、LDLコレステロール、血糖、体重は、いずれも大切な手がかりです。ただし、薬を始めるか、どの目標値を目指すかは、年齢、既往歴、喫煙、腎機能、糖尿病の有無、家族歴などを合わせて判断します。

特に、すでに狭心症や心筋梗塞を経験した方は、再発予防のためにより厳格な管理が必要になることがあります。健診結果の数字だけを見て自己判断で薬を始めたり、中止したりしないようにしましょう。

日常生活で気をつけたいポイント

1.まず「今の数字」を知る

家庭血圧を測り、健診や採血でLDLコレステロール、血糖、腎機能などを確認しましょう。血圧はその日の体調や測定条件で変動するため、1回の値に一喜一憂せず、同じ条件で記録を続けることが役立ちます。家庭血圧の測り方は、日本高血圧学会の一般向け資料も参考になります。

2.食事は「一つの食品」より全体を整える

塩分を控え、野菜、豆類、魚、未精製の穀類などを取り入れ、肉の脂身、加工食品、甘い飲料のとり過ぎを減らすことが基本です。特定の食品やサプリメントだけで動脈硬化を防げるとは限りません。持病や服薬によって食事上の注意が変わる方は、医師や管理栄養士に相談してください。

3.無理なく体を動かす

座っている時間を減らし、歩行など続けやすい活動から始めましょう。運動習慣がない方は、短い時間を積み重ねても構いません。ただし、運動中の胸痛、強い息切れ、めまいがある場合や、心臓病の治療中の場合は、運動量を増やす前に医療機関へ相談してください。

4.喫煙は本数を減らすだけでなく禁煙を目標に

喫煙は冠動脈疾患の重要な危険因子です。自力で難しい場合は、禁煙支援を利用する方法があります。受動喫煙を避けることも大切です。

5.処方薬を自己判断で中断しない

血圧やLDLコレステロールの値が良くなったのは、薬が効いているためかもしれません。副作用が心配なときや、飲み忘れが続くときは、自己中断ではなく処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

受診の目安

次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

  • 階段や坂道で胸が締め付けられる、圧迫される感じがある
  • 以前より少ない動作で息切れする、動悸が続く
  • 健診で高血圧、LDLコレステロール高値、血糖高値、腎機能低下を指摘された
  • 家庭血圧の高い状態が繰り返し続く
  • 若い年齢で心筋梗塞になった家族がいる

安静にしても治まらない強い胸痛、冷や汗、吐き気、強い息苦しさ、意識が遠のく感じがある場合は、心筋梗塞などの緊急疾患の可能性があります。自分で運転せず、ためらわず119番へ連絡してください。高齢者や糖尿病のある方では、典型的な胸痛が目立たず、息苦しさや強いだるさだけのこともあります。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにある一般内科・循環器内科・腎臓内科のクリニックです。

高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病に加え、狭心症、心不全、不整脈、動悸、息切れ、胸痛などの循環器疾患についてご相談いただけます。健診結果や家庭血圧の記録をお持ちいただくと、現在の状態と今後の管理方針を一緒に整理しやすくなります。

阪急桂駅、JR桂川駅、洛西口、桂川エリアからアクセスしやすく、駐車場もあります。受診前にWEB予約ページアクセスページをご確認ください。

まとめ

虚血性心疾患による死亡率が長期的に低下したことは、予防と治療の積み重ねが大切であることを示す明るいニュースです。一方で、高血圧、食事、高LDLコレステロール、血糖、喫煙など、見直せる危険因子は今も大きな課題です。

大切なのは、数字を怖がって消そうとすることではなく、正しく測って記録し、自分の背景に合った方法で管理することです。京都市西京区、桂川、桂、洛西口周辺で、健診結果や家庭血圧、胸の症状が気になる方は、一般内科・循環器内科へご相談ください。

出典

  • 出典:STAT(2026年7月15日)「Deaths from coronary artery disease have fallen, but more progress is within reach」ニュース記事を読む
  • 原著論文:JAMA Cardiology(2026年7月15日)「Modifiable Risk Factors and Attributable Ischemic Heart Disease Mortality in US States, 1990-2023」原著論文を読む
  • 参考資料:日本動脈硬化学会「健康診断で異常を言われたら?」一般向け解説を読む

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の診断や治療の代わりになるものではありません。症状や検査結果については医療機関へご相談ください。


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