研究

心臓・腎臓・代謝は“つながっている”──「CKM症候群」に世界初の診療ガイドライン登場(AHA/ACC 2026)

はじめに

「血圧は内科、腎臓は腎臓内科、血糖は糖尿病内科…」と、体の調子を別々のものとして考えていませんか?実は、心臓・腎臓・代謝(血糖や体重、コレステロールなど)は、おたがいに深く影響しあっています。たとえば腎臓が弱ると血圧が上がりやすくなり、血糖が高い状態が続くと心臓や腎臓の血管が傷ついていきます。

この「つながり」をひとまとめにして捉える考え方が、CKM症候群(心血管腎代謝症候群:Cardiovascular-Kidney-Metabolic syndrome)です。今日は、このCKM症候群について、世界で初めての診療ガイドラインが発表された、というニュースをご紹介します。

今日のニュース

米国心臓協会(AHA)と米国心臓病学会(ACC)は2026年6月9日、米国糖尿病学会(ADA)・米国腎臓学会(ASN)と共同で、CKM症候群の予防・発見・評価・管理に関する史上初の診療ガイドラインを発表しました。AHAの学術誌Circulation誌とACCのJACC誌に同時掲載されています。

米国では、成人の約90%が、肥満・高血圧・脂質異常(コレステロールの異常)・高血糖・腎機能低下といったCKMのリスク因子を少なくとも1つもっているとされています。決して「ごく一部の人の話」ではありません。

CKM症候群の4つのステージ

ガイドラインでは、CKM症候群を4つのステージに分けて、それぞれの段階に合った予防・治療を行うことを勧めています。

  • ステージ1:太りすぎ・肥満、または糖尿病予備群(境界型)があるが、ほかのリスクはまだない段階
  • ステージ2:高血圧・脂質異常・2型糖尿病などのリスク因子や腎臓病があるが、心血管の病気はまだない段階
  • ステージ3:自覚症状はないものの、検査で動脈硬化などの“かくれた”心血管の変化が見つかる段階
  • ステージ4:狭心症・心筋梗塞、心不全、脳卒中、心房細動などの心血管の病気をすでに発症している段階

大切なのは、早い段階で気づけば、進行を遅らせたり、元に戻したりできる可能性があるということです。

患者さんに知っておいてほしいポイント

  • 心臓・腎臓・代謝はチームで働く仲間のようなもの。どれか1つの不調は、ほかの臓器にも波及していきます。だからこそ、血圧・血糖・コレステロール・体重・腎機能をまとめてチェックすることが大切です。
  • 新しいガイドラインは、心血管リスクをより正確に見積もる新しい計算式(PREVENT式)の活用や、より早い段階からのスクリーニング(健診・検査)を勧めています。
  • 治療の土台は、運動・食事・適正体重・血圧・血糖・コレステロール管理・禁煙・十分な睡眠といった生活習慣(AHAの「Life’s Essential 8」)です。
  • そのうえで、適応のある方には、GLP-1関連のお薬やSGLT2阻害薬といった心臓と腎臓を守る働きが示されているお薬、場合によっては肥満外科手術も選択肢として挙げられています。ただし、お薬や手術が合うかどうかは一人ひとり異なり、必ず医師との相談が必要です。
  • これは米国のガイドラインで、日本の診療とは細かな点で異なる場合があります。それでも「心臓・腎臓・代謝をまとめて、早めにケアする」という考え方は、日本の私たちにとっても同じように大切です。

まとめ・当院からのメッセージ

「心臓・腎臓・代謝はつながっている」──このシンプルだけれど大切な考え方が、世界初のガイドラインという形になりました。健診で「血圧が少し高め」「血糖が境界型」「腎機能がやや低下」と言われたことのある方は、それぞれを別々の“小さな異常”と思わず、体からの早めのサインとして受け止めていただければと思います。

当院は内科・循環器のクリニックとして、血圧・血糖・コレステロール・体重・腎機能をまとめて診ながら、お一人おひとりに合った予防と治療を一緒に考えていきます。健診結果が気になる方、ご家族に心臓や腎臓の病気の方がいらっしゃる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

参考・引用元


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