はじめに
「お腹のまわりの脂肪が体に悪い」というお話はよく耳にされると思います。では、心臓のまわりにも脂肪がついていることをご存じでしょうか。今回は、その「心臓まわりの脂肪」が、将来の心筋梗塞や脳梗塞などの起こりやすさと関係しているとする、Mayo Clinic(米国の大病院)の最新研究をご紹介します。
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約12,000人を16年追跡 ― 心臓まわりの脂肪が独立した危険因子に
Mayo Clinicの研究チームは、過去16年分のCT検査画像(冠動脈の石灰化=動脈硬化を見るための検査)を、AI(人工知能)を使って改めて解析しました。対象は約12,000人。AIに、画像の中から心臓のまわりにある脂肪(心外膜脂肪・しんがいまくしぼう)の体積を自動で測定してもらい、その後の心筋梗塞や脳卒中の発症との関係を調べた、というスタディです。
その結果、
- 心臓まわりの脂肪が多い人ほど、将来の心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中など)が起こりやすい
- この傾向は、年齢・血圧・コレステロール・糖尿病・喫煙・冠動脈の石灰化スコアといった従来のリスク評価では説明しきれない、独立した関連だった
- 特に「これまでの計算式ではリスクが中等度くらい」と判定されてきた患者さんで、予測精度が大きく上がった
ということが報告されました。
ポイントは、新しい検査を追加しなくても、すでに撮られたCT画像からAIで読み取れる点です。患者さんの追加負担なく「もう一段細かいリスク評価」ができる可能性があり、研究はアメリカ心臓病学会(ACC)2026で発表され、American Journal of Preventive Cardiologyに同時掲載されました。
患者さんへのポイント:
- 「脂肪」は皮下や内臓だけでなく、心臓のまわりにもつき、心臓の血管に悪影響を与えることがあります。
- 数値(血圧・コレステロール・血糖)だけでは見えなかった「隠れたリスク」を補ってくれる検査として注目されています。
- ただしこれは「すぐに新しい検査を受けてください」という話ではなく、まずは生活習慣で減らせる脂肪を減らしておくことが大前提となります。
心臓まわりの脂肪を減らすために、今日からできること
心外膜脂肪は、内臓脂肪と同じように生活習慣で増減します。皮下脂肪より代謝の影響を受けやすく、減量の効果が比較的出やすい脂肪と言われています。
- 腹八分目とゆっくり食べる工夫:早食いは内臓脂肪を増やします。一口30回噛むだけで違ってきます。
- 甘い飲み物・お菓子を控える:果糖を多く含むジュースは内臓脂肪・心外膜脂肪を増やしやすい食品です。
- 週150分以上の中等度の運動:早歩き・自転車・水中ウォーキングなど、息が少し弾む程度を目標に。
- 筋トレを週2回ほど:太ももや背中など大きな筋肉を動かすと、基礎代謝が上がり脂肪が減りやすくなります。
- 質のよい睡眠を6〜7時間:睡眠不足は食欲ホルモンを乱し、内臓脂肪が増える要因になります。
「体重そのもの」よりも、お腹まわり(へそ周り)の変化を月1回測ることをおすすめします。男性は85cm、女性は90cm未満を目安に、ご自分の数値の動きを追ってみましょう。
まとめ・当院からのメッセージ
血圧やコレステロールの数値が一見良くても、心臓まわりに脂肪が溜まっている方は少なくありません。最近は健診のCTやエコーでも、おおまかな心外膜脂肪の様子を見ることができます。「健診でひっかかったわけではないけれど、お腹が出てきたのが気になる」「家系的に心臓病が心配」という方は、一度ご相談ください。当院では、生活背景や採血結果、画像所見をもとに、お一人おひとりに合った形で心臓まわりの脂肪を減らす作戦をご一緒に考えています。
参考・引用元

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