研究

講演会”呼吸器疾患 update セミナー 〜喘息とCOPDについて考える〜 “で勉強しました


本日診療後に「呼吸器疾患 update セミナー 〜喘息とCOPDについて考える〜」というWEB講演会に参加いたしました。日々の診療に役立つ最新の知見を得ることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。備忘録としてまとめてみます。

第一部では、「喘息症状の原因、気道過敏性とは」というテーマで講演がありました。喘息死亡数は減少傾向にあるものの、重症喘息患者の40%は年に1回以上の増悪を経験しているとのこと。喘息に関係する炎症は主に2型炎症で、インターロイキン(IL)やIgEが関与していることが説明されました。また、上皮サイトカインであるTSLPが炎症の惹起に関与し、喘息患者ではTSLP発現量が増加していることが分かりました。TSLPは気道リモデリングやウイルス感染に対する過剰反応にも関与し、TSLP濃度は喫煙患者や肺機能低下患者で上昇し、ステロイド抵抗性とも関連しているそうです。

新しい生物学的製剤であるテゼスパイア(TSLP抗体)についても紹介がありました。既存治療で喘息症状をコントロールできない重症または難治の気管支喘息の追加治療薬として期待されています。臨床試験では喘息の増悪抑制、ACQ-6スコアとFEV1の改善が確認されており、血中好酸球値に関係なく効果があり、2型炎症が高い患者によく効くとのこと。フェノタイプにとらわれない効果を示し、経口ステロイドの減量が期待されるそうです。

第二部では、COPDの治療について講演がありました。肺炎はCOPDの主要な基礎疾患であり、健康寿命を損なう重大な疾患であることが強調されました。COPD増悪は心血管疾患リスクの上昇と関連し、予防が重要であると説明がありました。感染症、特にウイルス感染症の制御が重要で、ICS/LABA/LAMAが増悪抑制に有効であり、特にビレーズトリの効果が期待されるそうです。一方でICSは容量依存性に肺炎リスクを高めますが、ブデソニドは改善効果があるとのこと。また、COPD患者は530万人いるにも関わらず、治療を受けているのは22万人のみであり、早期発見・治療介入の重要性が指摘されました。

今回の「呼吸器疾患 update セミナー」で得た知識を活かし、重症喘息やCOPDの患者さんにより良い医療を提供できるよう、日々の診療に励んでいきたいと思います。

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