疾患解説

健診のALTが30を超えたら?肝炎ウイルス検査との違いを解説

ニュース概要

FNNプライムオンライン(福井テレビ)は2026年7月27日、世界肝炎デーを前に、B型・C型肝炎の早期発見と、脂肪肝など生活習慣に関係する肝疾患の増加を取り上げました。記事では、肝臓病は自覚症状が乏しいまま進むことがあり、血液検査をきっかけに見つけることが大切だと紹介しています。

京都市も2026年7月22日、世界肝炎デーに合わせた啓発活動を発表し、B型・C型肝炎ウイルス検査の受検を呼びかけました。

ここで知っておきたいのは、健康診断で測る「ALTなどの肝機能検査」と「B型・C型肝炎ウイルス検査」は同じものではない、という点です。ALTが正常に近くても肝炎ウイルス感染を否定できず、反対にALTが高いからといってウイルス性肝炎と決まるわけでもありません。

出典

医学的背景

ALTは「肝臓が傷んでいる可能性」を示す手がかり

ALTは主に肝細胞に含まれる酵素です。肝細胞が傷つくと血液中へ漏れ出すため、健康診断では肝臓の状態をみる手がかりとして測定されます。

日本肝臓学会は「奈良宣言2023」で、健診などでALTが30を超えた場合、まずかかりつけ医を受診し、原因を調べることを勧めています。これは「31なら重病」「30以下なら絶対に安心」という境界線ではありません。検査会社の基準値、過去からの変化、AST・γ-GTP・血小板などの値、飲酒量、体重、服薬、既往歴を合わせて考えるための受診の目安です。

ALT上昇の原因には、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD、従来の脂肪肝の一部)、飲酒、B型・C型肝炎、薬剤やサプリメント、自己免疫性肝疾患などがあります。激しい運動や筋肉の病気など、肝臓以外の影響も考慮することがあります。

肝炎ウイルス検査はALTとは別の検査

B型肝炎は主にHBs抗原、C型肝炎はまずHCV抗体などを血液で調べます。健康診断の「肝機能」欄にAST、ALT、γ-GTPが載っていても、それだけでB型・C型肝炎ウイルスを調べたことにはなりません。

厚生労働省は、感染しても自覚症状に乏しく、本人が感染の可能性を判断することが難しいことから、「全ての国民が、少なくとも一回は肝炎ウイルス検査を受検する必要があると考えられます」と案内しています。これは毎年必ず検査するという意味ではなく、まず生涯に少なくとも一度、B型・C型肝炎ウイルス検査を受けたか、その結果を把握しているかを確認するという趣旨です。詳しくは、厚生労働省「肝炎ウイルス検査について」をご確認ください。

過去に検査を受けた記憶がない方、輸血や大きな手術を受けたことがある方、家族にB型・C型肝炎の方がいる方、過去に注射器具の共有や十分な衛生管理が確認できない処置を受けた可能性がある方などは、一度検査歴を確認しましょう。感染経路が思い当たらない方もいるため、「自分には関係ない」と決めつけないことが大切です。

京都市は、要件を満たす市民を対象に協力医療機関でB型・C型肝炎ウイルス検査を実施しています。対象、費用、申込方法は変更されることがあるため、京都市の肝炎対策ページで最新情報をご確認ください。

C型肝炎は治療が大きく進歩しましたが、個別判断が必要です

C型肝炎では、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)という飲み薬を中心とした治療が標準になり、多くの方でウイルス排除を目指せるようになりました。ただし、薬の組み合わせや治療期間は、肝臓の状態、腎機能、過去の治療歴、併用薬などで異なります。「誰でも副作用なく100%治る」と保証できるものではありません。

また、ウイルスが排除された後も、すでに肝線維化や肝硬変が進んでいる方などでは肝がんのリスクが残るため、専門医の指示に沿った定期検査が必要です。詳しい治療の考え方は日本肝臓学会のC型肝炎治療ガイドラインをご参照ください。

脂肪肝は高血圧・糖尿病・脂質異常症とつながっています

近年は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病と関連する脂肪肝が増えています。脂肪肝の多くは急に重い症状を起こすものではありませんが、一部では炎症や線維化が進み、肝硬変や肝がんにつながることがあります。

肝臓だけを見るのではなく、体重、腹囲、血圧、血糖、HbA1c、中性脂肪、LDLコレステロールをまとめて確認することが重要です。これは心筋梗塞や脳卒中を防ぐ生活習慣病管理とも重なります。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 健診結果を前年と比べる
  2. ALTが基準範囲内でも、前年より明らかに上がっている場合は経過を確認しましょう。AST、γ-GTP、血小板、体重、血糖、脂質も一緒に見ます。

  1. ALTが30を超えたら放置せず相談する
  2. 一度の軽い上昇だけで病名は決まりません。再検査や腹部超音波検査、肝炎ウイルス検査などが必要か、かかりつけ医と相談してください。

  1. 肝炎ウイルス検査を受けたことがあるか確認する
  2. 「毎年健診を受けている」ことと「B型・C型肝炎ウイルス検査を受けた」ことは別です。過去の結果にHBs抗原、HCV抗体の記載があるか確認しましょう。

  1. 飲酒量を見直す
  2. 休肝日だけで帳消しになるわけではありません。飲む量と頻度を記録し、肝機能異常がある場合は医師に正直に伝えましょう。

  1. 薬やサプリメントを自己判断で中止しない
  2. 市販薬、漢方薬、健康食品を含め、肝機能に影響するものがあります。一方で、高血圧や糖尿病の薬を急に中断するのも危険です。服用しているものを一覧にして相談してください。

  1. 急激な減量ではなく、続けられる生活改善を選ぶ
  2. 脂肪肝では、食事の量と質、間食、甘い飲み物、運動、睡眠を少しずつ見直します。極端な断食や根拠の乏しい「肝臓デトックス」に頼らないでください。

受診の目安

健診でALTが30を超えた、ASTやγ-GTPも上がっている、以前より数値が悪化した、脂肪肝を指摘された、B型・C型肝炎ウイルス検査を受けたことがない場合は、症状がなくても一般内科へご相談ください。

次の症状がある場合は、早めの受診が必要です。

  • 皮膚や白目が黄色い
  • 尿が濃い褐色になった
  • 強いだるさ、食欲低下、吐き気が続く
  • 右上腹部の痛みがある
  • 足やお腹がむくむ、急にお腹が張る
  • 出血が止まりにくい、意識がぼんやりする

強い意識障害、吐血、黒い便、急速に悪化する黄疸がある場合は、夜間・休日でも救急受診をご検討ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにある一般内科・循環器内科・腎臓内科のクリニックです。

健診で指摘された肝機能異常について、症状、飲酒、体重変化、服薬内容、過去の検査結果を確認し、必要に応じて血液検査や画像検査が必要かを判断します。B型・C型肝炎が疑われる場合や、肝線維化が進んでいる可能性がある場合は、消化器内科・肝臓専門医療機関への紹介を含めて対応します。

当院では、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、不整脈、狭心症、心不全、動悸、息切れ、胸痛など循環器疾患の相談にも対応しています。脂肪肝と生活習慣病を別々にせず、心臓・血管・腎臓のリスクも一緒に見直せることが一般内科・循環器内科で相談する利点です。

阪急桂駅、JR桂川駅、洛西口、桂川エリアからアクセスしやすく、WEB予約に対応し、駐車場もあります。一般内科の診療案内WEB予約アクセスページをご確認ください。

まとめ

健診のALTは、肝臓が傷んでいる可能性に気づくための大切な手がかりです。ALTが30を超えたら、数値だけで自己診断せず、原因を確認しましょう。

一方、B型・C型肝炎ウイルス感染の有無は、ALTとは別の血液検査で調べます。「肝機能が正常だったから肝炎ウイルスもいない」とは限りません。厚生労働省も、全ての国民が少なくとも一回は検査を受ける必要があると案内しています。検査歴を一度確認し、脂肪肝、高血圧、糖尿病、脂質異常症なども含めて、健診結果を総合的に活用することが早期発見につながります。

参考資料


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