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【お知らせ】プラセンタ注射を受けた方の「献血できない」がなくなります──厚生労働省が制限撤廃の方針を公表

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニック 副院長

ニュース概要

こんにちは。副院長です。プラセンタ注射を受けておられる患者さんに、大切なお知らせがあります。

厚生労働省は令和8年(2026年)2月、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤の使用歴がある方に対する献血制限を撤廃する方針を公表しました。あわせて、欧州等の滞在歴に基づく献血制限も撤廃されます。

これまでプラセンタ注射剤については、平成18年(2006年)10月10日以降、「過去に使用された方すべてを対象とし、特に期間による定めを設けない」——つまり、一度でも使用すれば生涯にわたって献血をご遠慮いただく、という措置が続いてきました。

実は、私自身も週に1〜2回プラセンタ注射を続けており、この制限の対象者です。ですので、患者さんから「もう献血できないんですよね」と寂しそうに言われるたび、同じ立場として複雑な気持ちでおりました。

今回、令和7年度第2回 薬事審議会 血液事業部会 安全技術調査会(令和8年1月14日開催)での審議結果を踏まえて撤廃の方針が決定され、令和8年1月15日付の医薬局長通知で関係通知が廃止されました。

ただし、実際に制限が撤廃されるのは「令和8年秋頃」の予定です。採血事業者である日本赤十字社の問診システム改修などの体制整備と、関係者への周知に半年〜1年程度を要するためで、本記事公開時点(令和8年7月)ではまだ現行のルールが適用されます

さらに、撤廃後もプラセンタ注射剤は完全に無条件となるわけではなく、日本赤十字社における「特定生物由来製品」に対する献血制限の取り扱いに準じ、「投与後3か月延期」となります。

京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアにお住まいで、当院をはじめ医療機関でプラセンタ注射を受けておられる方、また「献血ができなくなるから」と治療を迷っておられた方にとっては、直接関わりのあるお知らせです。

医学的背景

なぜ献血制限が設けられていたのか

この制限は、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)という病気を防ぐためのものでした。

vCJDは、抑うつ・不安などの精神症状に始まり、発症から数年で亡くなる難病です。原因は、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる「狂牛病」)に由来する感染性を有する異常プリオン蛋白と考えられており、感染経路としてはBSEの牛の経口摂取や、潜伏期間にあるvCJD感染者の血液の輸血などが想定されていました。

日本の献血制限の経緯は次のとおりです。

時期 内容
平成11年(1999年)9月 血液事業部会安全技術調査会での議論を踏まえ、1980〜1996年に英国へ長期(6か月以上)滞在した方を対象に制限を開始
その後 欧州でのBSE発生状況を踏まえ、対象範囲が段階的に拡大
平成17年(2005年)2月4日 国内初のvCJD症例を確認。英国滞在期間の短縮に加え、プラセンタ注射剤の使用歴が対象に追加されるなど、さらに強化
平成18年(2006年)10月10日〜 プラセンタ注射剤について、期間の定めなく献血を見合わせる措置

プラセンタ注射剤はヒトの胎盤を原料とするため、「万が一」を考慮した予防的な措置として制限の対象に加えられた、という経緯です。医療者の立場から見れば、当時の判断としては妥当だったと思います。分からないことがあるとき、まず安全側に倒す——血液事業ではそれが正しい姿勢です。

なぜ、いま撤廃されるのか

厚生労働科学研究(令和5〜6年度「安全な血液製剤の安定供給に資する適切な採血事業体制の構築のための研究」、代表:関西医科大学 大隈和 教授)により、BSE流行に伴うvCJD発生リスクが高かった1980年から1996年までの17年間に、1か月以上英国に滞在した日本人の献血を起点としたvCJD感染リスクが推計されました。

最大リスクを想定した条件下を含む複数のシナリオで評価が行われた結果、時間の経過とともにvCJD感染リスクが低減していくことも併せて考えると、現行の英国滞在歴に基づく献血制限を撤廃した場合であっても、これによってvCJD患者が増加することはないと結論づけられました。

実際の発生状況も、これを裏づけています。

  • 国内のvCJD症例は、平成17年(2005年)に確認された1例のみ。以後、新たな発生は報告されていません
  • 英国でも、輸血によるvCJD感染は平成18年(2006年)が最後
  • 輸血以外のvCJDの発症も、英国では平成28年(2016年)を最後に確認されていません

これらに加え、国内外のvCJD発生状況、諸外国における献血制限の状況等を総合的に勘案した結果、今回の撤廃の判断に至っています。

約20年にわたって実際のデータを積み上げたうえでの見直しです。念のために設けた措置を、20年かけて検証し、根拠にもとづいて外す。地味な作業ですが、こういう仕事こそが医療の信頼を支えていると私は思っています。

プラセンタ注射剤について(事実関係)

国内で製造販売されているプラセンタ注射剤は2製剤です。

  • メルスモン(メルスモン製薬)……「更年期障害、乳汁分泌不全」に保険適応
  • ラエンネック(日本生物製剤)……「慢性肝疾患における肝機能の改善」に保険適応

これら以外の目的で使用する場合は、自費診療となります。

【副院長より】私自身が続けていて感じていること

せっかくですので、ひとつ正直に書いておきます。

私自身、週に1〜2回プラセンタ注射を続けています。 続けているうちに、睡眠がよくなったり、疲れがとれやすくなったり、肌や髪の調子が良くなったりと、自分でも「不思議だな」と感じる変化がありました。診療の合間に患者さんから「先生ご自身はどうなんですか?」と聞かれることがよくあるので、その答えとしてお伝えしておきます。

これはあくまで私個人の感想であり、医学的な効果を証明するものではありません。 感じ方には個人差がありますし、効果を保証するものでもありません。「副院長が言うなら効くはず」と受け取っていただくのは、私の本意ではないのです。

そのうえで、「打っている側の人間として、聞かれたことには正直に答える」——それくらいの温度感で受け取っていただければと思います。合う・合わないを含め、実際に適しているかどうかは、診察のうえで一緒に考えさせてください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. 令和8年秋頃までは、現行のルールが続きます:方針は決まりましたが、実施はこれからです。現時点ではまだ献血はできません。 かく言う私も、先走らないよう気をつけています。
  2. 撤廃後は「最後の注射から3か月」が目安になります:「生涯できない」から「投与後3か月延期」へ。私のように週1〜2回のペースで続けている場合、献血しようと思えば3か月お休みする必要があり、正直そこは悩ましいところです。同じように迷われる方は、一緒に考えましょう。
  3. 最新情報は必ず日本赤十字社でご確認を:献血制限の運用は日本赤十字社が行っています。時期や細かい取り扱いが変わる可能性もあるため、献血ルームへ行かれる前にホームページでご確認ください。
  4. 欧州等の滞在歴がある方も対象です:こちらも撤廃されますが、海外からの帰国後4週間の献血制限は継続されます。
  5. 治療歴を把握しておきましょう:献血の受付時には問診があります。いつ、どの製剤を、最後にいつ使用したかを答えられるようにしておくとスムーズです。
  6. 自己判断で治療を中断しないでください:更年期障害などの治療として継続されている方は、献血のためにお休みするかどうかを含め、必ず主治医とご相談のうえお決めください。

受診の目安

献血制限そのものは病気ではありませんので、「受診の目安」というよりご相談の目安としてご案内します。

診察時にご相談いただきたい方

  • プラセンタ注射を受けているが、献血を再開したい(注射のスケジュール調整をご相談ください)
  • 献血ができなくなるから」という理由で、これまでプラセンタ治療を迷っていた
  • 自分が制限の対象になるのか分からない(過去の使用歴があいまいな方も含みます)
  • 更年期の症状でお困りだが、治療の選択肢がよく分からない

別の医療機関・窓口へお問い合わせいただきたいこと

  • 献血できるかどうかの最終的な可否判断 → 日本赤十字社(献血ルーム・献血バスの受付時に判断されます)
  • 制限撤廃の正確な実施日 → 日本赤十字社および厚生労働省の最新の公表をご確認ください

まとめ

長らく「一度受けたら、生涯にわたって献血ができない」とされてきたプラセンタ注射の献血制限が、令和8年秋頃に撤廃される方針となりました。撤廃後は「最後の注射から3か月」という、他の特定生物由来製品と同じ扱いになる見込みです。

長く献血に協力されてきた方にとっても、これから治療を検討される方にとっても、選択肢が広がる前向きなお知らせです。同じ制限を受けてきた一人として、私も率直にうれしく思っています。

一方で、実施は令和8年秋頃の予定であり、それまでは現行のルールが続く点にはご注意ください。

※本記事は厚生労働省の公表内容にもとづく一般的な情報提供であり、個別の診断・治療を示すものではありません。献血の可否についての最終的な判断は、献血の受付時に日本赤十字社が行います。 

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックでは、更年期障害などに対するプラセンタ注射(メルスモン)による治療を行っています。

プラセンタのご相談は「水曜日」がおすすめです

プラセンタ注射について詳しく聞いてみたい方、これから始めるか迷っておられる方は、私(副院長)が外来を担当している水曜日にお越しいただくのがおすすめです。 じっくりお話しできますし、私自身が打っている側の人間ですので、実感も含めて正直にお答えできます。女性医師に相談したい、という方もどうぞご遠慮なく。

もちろん、水曜日以外の曜日でもまったく問題ありません。 継続中の注射や、献血に向けたスケジュールのご相談も、他の曜日で承れます。ご都合の良い日にお越しください。

WEB予約はこちら(24時間受付)

「献血のスケジュールを調整したい」「制限の対象になるか分からない」「そもそもプラセンタ治療について聞いてみたい」——診察の際にお気軽にお尋ねください。私も打っている側の人間ですので、遠慮なくどうぞ。

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引用文献・参考サイト


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