疾患解説

熱中症警戒アラートと暑さ指数(WBGT)を味方に ── 高齢者・持病のある方の夏の備え

ニュース概要

NHKの「熱中症情報・警戒アラート」ページでは、全国の暑さ指数や警戒アラートの状況をひと目で確認できます。京都を含む近畿地方でも、連日「危険な暑さ」を示す熱中症警戒アラートが発表されており、いつも通りの外出や屋外活動に注意が必要な日が続いています。

環境省と気象庁は2026年7月上旬、これから8月にかけて気温がもっとも高い時期を迎え熱中症のリスクが高まるとして、早めの予防行動を全国に呼びかけました。7月8日以降は北日本から西日本にかけて平年より高温の日が続く見込みで、7月10日には東北から九州・沖縄の広い範囲で熱中症警戒アラートが発表されています。

熱中症警戒アラートは、その地域の日最高暑さ指数(WBGT)が33に達すると予想されるときに発表され、「外出をできるだけ控える」「屋外やエアコンのない屋内での運動は原則中止」などが推奨されます。環境省の「熱中症予防情報サイト」では、全国841地点の暑さ指数の予測・実況が10月まで毎日公開されています。

京都市西京区・桂川・桂・洛西口エリアも例外ではありません。買い物や畑仕事、散歩の前に暑さ指数とアラートを確認する習慣が、この夏の安全につながります。

医学的背景

「暑さ指数(WBGT)」は、気温だけでなく湿度と日ざしなどの輻射熱も合わせて熱中症の危険度を表した指標です。同じ気温でも湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温が下がりにくいため危険度は上がります。

高齢の方は、加齢によりのどの渇きを感じにくく、体の水分が減っていても気づきにくい傾向があります。また、高血圧・心不全・腎臓病などの持病や、利尿薬・一部の降圧薬などのお薬は、体の水分・塩分バランスや体温調節に影響することがあります。ただし、暑いからといって自己判断でお薬を減らしたり中止したりしないことが大切です。水分・塩分のとり方に不安があるときは、主治医に相談してください(とくに心不全・腎臓病で水分制限を受けている方は要相談)。

循環器専門医の視点:暑さは心臓発作・心不全の引き金にもなる

暑さの影響は「熱中症」だけにとどまりません。循環器領域の大規模研究では、猛暑が心筋梗塞・心不全・不整脈の引き金にもなりうることが示されています。2025年に米国心臓病学会誌『JACC』へ発表された約239万人の解析では、熱波(とくに昼夜を通して暑さが続く複合熱波)で心臓が原因の死亡が増え、突然の心停止・急性心筋梗塞・心不全がとくに影響を受けやすいと報告されました。米国心臓協会(AHA)が2025年にまとめた科学的声明でも、熱波の際に心血管死が1割前後増え、そのリスクは65歳以上でより大きいと整理されています。

仕組みとしては、発汗による脱水で血液が濃くなり血栓ができやすくなること、体温を下げるために皮膚の血管が広がって心臓の負担が増えること、暑さによる交感神経の活性化・血圧や心拍の変動・血管内皮の機能低下などが重なることが挙げられます。つまり、こまめな水分・塩分補給と涼しい環境づくりは、心臓・血管を守る予防策でもあるのです。とくに高血圧・心不全・不整脈で治療中の方は、暑さ対策を心臓のケアと捉えてください。

日常生活で気をつけたいポイント

  1. のどの渇きを待たずにこまめに水分を:起床時・食事ごと・入浴前後・就寝前など、時間を決めて少しずつ。
  2. 暑い日はエアコンを我慢しない:熱中症は室内でも起こります。「もったいない」より「命を守る」を優先しましょう。
  3. アルコール・カフェインは水分補給の代わりにしない:尿量を増やし、かえって脱水を招くことがあります。
  4. 汗を多くかいたら塩分も一緒に:水だけでなく、経口補水液や塩分の補給も意識しましょう。
  5. 暑さ指数とアラートを毎朝チェック:外出・運動・農作業の前に確認し、危険な日は無理をしない。

受診の目安

  • めまい・立ちくらみ・こむら返り・大量の汗・頭痛・吐き気などの熱疲労のサインがある
  • 水分をとっても体調が戻らない、ぐったりする
  • 救急)体温が高いのに汗が出ない、意識がもうろうとする、呼びかけへの反応がおかしい場合は、ためらわず119番へ
  • 高血圧・心不全・腎臓病などで治療中で、この暑さでの水分・塩分やお薬の調整に迷う

まとめ

熱中症は、正しく備えれば防げる病気です。暑さ指数(WBGT)と熱中症警戒アラートという公的な“ものさし”を味方につけ、危険な日は無理をしない。高齢の方や持病のある方は、のどの渇きを待たずにこまめな水分補給を心がけ、冷房を上手に使いましょう。

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。水分・塩分制限やお薬については、必ず主治医にご相談ください。

当院で相談できること

医療法人グロース 桂川さいとう内科循環器クリニックは、京都府京都市西京区下津林南大般若町37番地 リペアス下津林2Fにあり、阪急桂駅・JR桂川駅・洛西口・桂川エリアからご来院いただけます。高血圧や心臓・腎臓の持病のある方が夏を安全に過ごせるよう、水分のとり方やお薬との付き合い方についてもご相談をお受けしています。「この暑さでお薬はこのままで大丈夫?」と気になる方も、どうぞお気軽にお声かけください。

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引用文献・参考サイト


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