研究

三菱京都病院の勉強会に参加しました

昨日は三菱京都病院の勉強会”心臓内科X腎臓内科Conference”に参加しました、私自身の勉強のため内容をまとめてみました。


松井敏先生の発表:CKDと心血管リスク

松井先生は、CKD(慢性腎臓病)患者における心血管疾患リスク増加とその治療法を紹介されました。特にSGLT2阻害薬を用いた治療で、タンパク尿改善やGFR低下の速度抑制に成功しています。患者一人ひとりに合わせた個別化治療と、心血管疾患や糖尿病、BMIを考慮した治療薬選択が重要であると述べられました。また、多職種によるCKD教育プログラムを導入し、患者の生活の質向上に取り組んでいます。


横松先生の発表:カテーテル治療・血管内治療

横松先生は、三菱京都病院で心臓内科の責任者として年間約270例のインターベンション治療を担当しています。特に高齢患者の比率が高く、緊急症例の対応にも力を入れています。新しい治療技術として、薬剤溶着ステント、ドラッグコーティングバルーン、血管内破砕術(IBL)を導入しており、特に透析患者の石灰化病変に効果を上げています。症例として、75歳女性にIBLを用いた石灰化破砕治療を提示して頂きました。


川治先生の発表:ウォッチマンデバイスと心房細動治療

川治先生は、心房細動患者に対する最新の治療法としてウォッチマンデバイスを紹介されました。

心房細動は腎不全患者に多く、脳梗塞リスクと出血リスクがともに高くなる特徴があります。ウォッチマンデバイスは左心耳を閉鎖し、血栓形成を防ぐことで抗凝固薬の必要性を減らすことができます。

第3世代のウォッチマンはメッシュ構造やコーティング技術が改善され、血栓防止能力が向上しています。植込みは通常、約30分以内で完了し、CTや超音波エコーを用いて正確な位置にデバイスを配置します。術後は抗凝固薬を中止または減量でき、脳梗塞リスクと出血リスクがともに低下するという利点があります。

川治先生は68歳の透析患者の症例を提示され、ウォッチマンデバイスの配置によって抗凝固薬を減薬しつつ、良好な経過を得たことを報告しました。特に透析患者や転倒リスクの高い高齢者に対して、非常に有効な治療選択であると強調されました。

質疑応答では、デバイス導入時の感染リスクや長期安全性に関する議論があり、各症例の慎重な評価と患者ごとのリスクバランスの考慮が重要であることが指摘されました。


研究会の感想_特にウォッチマンデバイスについて

私自身は開業以来カテーテル治療から離れていますが、ウォッチマンデバイスの臨床成績が非常に良く、塞栓症予防効果や合併症発現率も低いことに感銘を受けました。潜在的に必要とされる患者さんが多く存在し、今後の臨床研究結果次第では、出血リスクの高い患者さんだけでなく、一般的な患者さんにも適応が広がる可能性があると感じました。

ウオッチマンデバイスについては下記の動画も参照ください

いろいろな機会を利用して勉強を続けて診療の質をあげていきたいと考えています。

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