研究

第14回抄読会 “The Meat of the Matter”

毎月1回近隣の先生方と論文の抄読会をしています。題材となる論文はいつものようにThe New England Journal of MedicineのClinical Problem Solvingの論文からです。今回は“The Meat of the Matter”というタイトルでした。論文の内容をChat GPT 4oを利用して解説してみます。


症例の要約

32歳の女性が10日間続く呼吸困難、発熱、咳嗽を訴えて救急外来を受診。咽頭痛と筋肉痛も訴えたが、胸痛はなかった。5日間のアジスロマイシン治療では症状は改善せず。旅行歴や病人との接触歴、ペット飼育歴はなく、日常的にマルチビタミンを摂取する以外の薬物使用はなし。喫煙、アルコール、違法薬物使用歴もなかった。

最終診断名とそれに至る検査の過程

最終診断は急性肺トキソプラズマ症

診断に至る過程:

  1. 初診時に呼吸不全と血小板減少を認め、入院。
  2. 初期治療はセフトリアキソン投与も反応なし。
  3. 症状悪化により抗菌薬の範囲を広げ、バンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタム追加。
  4. Bronchoscopy with transbronchial biopsyを検討するも実施せず。
  5. 血液検査、血液培養、胸部CT撮影、下肢の静脈ドップラー超音波検査、腹部および骨盤のCT検査を実施。
  6. 鹿肉を調理して食べたエピソードを友人から聞き出し、ズーノーシスを疑い検査を実施。
  7. T. gondii IgMおよびIgGの血清学的検査で陽性。PCR検査、肝臓生検でトキソプラズマ抗原を検出。

患者の受けた治療と最終経過

治療は以下の通り:

  1. 入院初期にセフトリアキソン投与も効果なし。
  2. バンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタムを追加。
  3. ズーノーシスの疑いでドキシサイクリン投与開始。
  4. トキソプラズマ症が確認された後、トリメトプリム-サルファメトキサゾール静注に変更。
  5. 患者の状態が悪化し、気管挿管と機械換気を実施。
  6. 入院9日目に挿管を解除、ピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸に治療を変更。

患者が亡くなっている場合の救命可能性について

患者は生存しており、早期診断ができた場合にはより早い治療が可能だったと考えられますが、診断が難しい症例であったために適切な治療に至るまで時間がかかりました。

最終診断の疾患について要約

急性肺トキソプラズマ症は、通常免疫抑制状態の患者に見られるが、免疫正常の患者でも重篤な症状を引き起こすことがある。主に汚染された食物や水、土壌を介して感染する。今回の症例では鹿肉の摂取が原因とされた。

最終診断の疾患についてガイドラインを解説

急性トキソプラズマ症の治療には、通常ピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸が用いられるが、利用できない場合はトリメトプリム-サルファメトキサゾールが代替薬として使用される。ガイドラインは、症状が重篤な場合、迅速な診断と治療が重要であると強調している。

論文の中のFigureの解説

  1. Figure 1: 入院時の胸部X線写真。右側に少量の胸水を認めるが、浸潤やコンソリデーションは見られない。
  2. Figure 2: 入院2日目の胸部CT。両側基底部に依存性のコンソリデーション、気管支周囲の結節性、そして中隔の肥厚を示す。
  3. Figure 3: 入院3日目の胸部X線写真。両肺におけるコンソリデーションの悪化を示す。
  4. Figure 4: 肝生検の所見。免疫組織化学分析によりトキソプラズマ抗原を認める。

論文のタイトルの意味

「The Meat of the Matter」は、鹿肉を介したトキソプラズマ感染が原因であったことを示唆し、症例の核心に迫る診断と治療過程を表現しています。


いつものようにバーチャル症例検討会をしてもらいます。研修医のハナコ先生、指導医のサトシ先生、そしてタケシ教授に論文について議論をしてもらいます。

今回の症例は32歳の女性です。患者さんは10日間続く呼吸困難、発熱、咳嗽を訴えて救急外来を受診されました。初期治療としてアジスロマイシンが処方されましたが、症状は改善しませんでした。患者さんには旅行歴、病人との接触歴、ペット飼育歴がなく、喫煙、アルコール、違法薬物使用歴もありませんでした。
診察時のバイタルサインは血圧117/82 mmHg、心拍数106拍/分、体温39.3°C、酸素飽和度85%でした。身体所見では、肺底部にクラックルを聴取し、両側の腓腹筋が腫脹していました。
血液検査では、白血球数が低下し、血小板数も低下していました。肝機能検査値やフェリチン値も上昇していました。胸部X線では少量の胸水が認められましたが、明らかな浸潤は見られませんでした。

この患者さんはアジスロマイシンで改善しなかったため、セフトリアキソンを開始しましたが、効果が見られず、バンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタムに変更されました。しかし、呼吸状態は悪化し続けました。そこで、鹿肉の摂取歴が判明し、ズーノーシスを疑って検査を進めたところ、トキソプラズマ抗体が陽性であり、急性肺トキソプラズマ症と診断されました。

はい、はな子先生のまとめた通りですね。急性肺トキソプラズマ症は、免疫正常の患者においても稀に重篤な症状を引き起こします。この患者さんでは、鹿肉を介したトキソプラズマ感染が疑われました。トキソプラズマ症の治療として、最初はトリメトプリム-サルファメトキサゾールを使用しましたが、後にピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸に変更しました。

トキソプラズマ症は通常免疫抑制状態の患者に見られることが多いとされていますが、なぜこの患者さんのような免疫正常の人でも重篤な症状が出たのでしょうか?

良い質問です。この患者さんの場合、考えられる理由としては、摂取したトキソプラズマの菌量が多かったことや、摂取した株が特に病原性の高い株であった可能性があります。また、患者さんが実際には免疫学的に何らかの問題を抱えていた可能性もありますが、現時点では明らかな免疫不全は認められていません。

前回の議論で、トキソプラズマ症の診断が確定し、適切な治療が行われたことで患者さんが回復したことが確認できました。このような症例において、特に重要なポイントはどのようなものがあるのでしょうか?

この症例では、いくつかの重要なポイントがあります。まず、詳細な病歴聴取が診断の鍵となりました。患者さんが鹿肉を摂取したエピソードを聞き出したことが、診断に大きく貢献しました。また、免疫正常の患者においても、トキソプラズマ症が重篤な症状を引き起こす可能性があることを念頭に置く必要があります。

確かに、詳細な病歴聴取が重要ですね。トキソプラズマ症の診断にはどのような検査が必要ですか?

トキソプラズマ症の診断には、血清学的検査がまず行われます。具体的には、IgMおよびIgG抗体の測定が重要です。今回の症例では、PCR検査や肝臓生検も行われ、確定診断に至りました。また、患者の血液中のT. gondiiのDNA量を測定することで、診断をサポートすることもできます。

治療に関してですが、初期治療としてセフトリアキソンが投与されましたが効果がありませんでした。その後、バンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタムに変更されましたが、それでも効果が見られませんでした。最終的にはトリメトプリム-サルファメトキサゾールが使用され、後にピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸に変更されました。この治療の流れについてもう少し詳しく教えていただけますか?

最初にセフトリアキソンが使用されたのは、一般的な市中肺炎の病原菌に対応するためです。しかし、効果が見られなかったため、広範囲なカバーを持つバンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタムに変更されました。最終的にトキソプラズマ症が疑われた段階で、トリメトプリム-サルファメトキサゾールに変更されました。この薬剤はトキソプラズマに対して有効です。その後、ピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸が使用されましたが、これはトキソプラズマ症の標準治療薬です。

ありがとうございます。今回の症例を通じて、トキソプラズマ症の診断と治療の重要性がよく理解できました。

はな子先生とサトシ先生の議論をまとめると、32歳の女性患者さんは、急性肺トキソプラズマ症という非常に稀な疾患を発症しました。この疾患は通常、免疫抑制状態の患者に見られますが、今回の患者さんのように免疫正常の人でも、摂取したトキソプラズマの量や株の病原性によって重篤な症状を引き起こすことがあります。
この症例では、鹿肉の摂取が感染の原因であり、適切な検査と治療により診断が確定しました。治療としては、最初にトリメトプリム-サルファメトキサゾールを使用し、その後ピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸に変更しました。患者さんは無事に回復しましたが、早期の診断と治療が重要であることが再確認されました。

Take Home Messageです。
急性肺トキソプラズマ症は稀な疾患ですが、免疫正常の患者においても重篤な症状を引き起こす可能性があります。詳細な病歴聴取と適切な検査が診断の鍵となります。早期の診断と適切な治療が重要であり、特に食歴に注意を払うことが必要です。


またマインドマップも作成してもらいます、下記のコードを出力しましたのでそれをもとにPlantUMLでマインドマップを作成してみます。

@startmindmap
* 症例報告
** 患者情報
*** 32歳女性
*** 呼吸困難、発熱、咳嗽
*** アジスロマイシン効果なし
*** 旅行歴なし
*** ペットなし
*** 喫煙、アルコール、違法薬物使用なし
** 初期診察
*** バイタルサイン
**** 血圧117/82 mmHg
**** 心拍数106拍/分
**** 体温39.3°C
**** 酸素飽和度85%
*** 身体所見
**** 肺底部クラックル
**** 腓腹筋の腫脹
** 検査
*** 血液検査
**** 白血球数低下
**** 血小板数低下
**** 肝機能検査値上昇
**** フェリチン値上昇
*** 画像検査
**** 胸部X線: 少量の胸水、浸潤なし
**** 胸部CT: 基底部コンソリデーション、気管支周囲の結節性、中隔肥厚
*** 血清学的検査
**** T. gondii IgM/IgG陽性
**** PCR検査
**** 肝臓生検: トキソプラズマ抗原検出
** 治療
*** セフトリアキソン
*** バンコマイシン、ピペラシリン・タゾバクタム
*** ドキシサイクリン
*** トリメトプリム-サルファメトキサゾール
*** ピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸
** 診断
*** 急性肺トキソプラズマ症
**** 鹿肉摂取歴
**** ズーノーシス
** 最終経過
*** 挿管解除
*** 回復
@endmindmap

関連文献を調べてもらいます。

以下に関連する報告を3つ要約します。

関連報告1: Severe Toxoplasmosis in Immunocompetent Patients

概要:
1985年から2022年にかけて、免疫正常な患者における重症トキソプラズマ症の報告を系統的にレビューした結果、117例のうち48例が急性肺トキソプラズマ症であった。特にガイアナやアマゾン地域での報告が多く、米国では非常に稀である。これらの症例は大部分が重篤な感染症で、従来の治療法に反応しない場合に詳細な病歴聴取と検査が重要であることが示された【4:0†source】。

関連報告2: Toxoplasmosis Outbreak Linked to Contaminated Venison

概要:
2017年のウィスコンシン州での鹿肉に関連するトキソプラズマ症のアウトブレイクが報告されている。12名が感染し、主な症状は発熱、悪寒、発汗、頭痛、肝炎、リンパ球減少、血小板減少であったが、肺炎を発症した者はいなかった。この報告は、感染源としての鹿肉のリスクを強調している【4:10†source】。

関連報告3: Clinical Spectrum and Outcomes of Severe Toxoplasmosis

概要:
免疫正常なホストにおける重症トキソプラズマ症の臨床スペクトラムと放射線学的所見、アウトカムについての系統的レビュー。このレビューは、重症トキソプラズマ症の多様な症状と診断の困難さを示し、特に重症肺炎を引き起こすことがあることを強調している。治療にはピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸が使用されることが一般的である【4:9†source】。

引用文献リスト (バンクーバースタイル)

  1. Layton J, Theiopoulou D-C, Rutenberg D, et al. Clinical spectrum, radiological findings, and outcomes of severe toxoplasmosis in immunocompetent hosts: a systematic review. Pathogens 2023; 12: 543.
  2. Schumacher AC, Elbadawi LI, DeSalvo T, et al. Toxoplasmosis outbreak associated with Toxoplasma gondii-contaminated venison — high attack rate, unusual clinical presentation, and atypical genotype. Clin Infect Dis 2021; 72: 1557-65.
  3. NEJM. Severe acute pneumonic toxoplasmosis in an immunocompetent patient. N Engl J Med 2024; 390: 1612-1618.

新しい試みとして論文をもとに主治医の視点、患者の視点で日記形式でまとめてもらいました。

主治医の日記

2024年5月1日

今日の救急外来は忙しい。患者の数が多く、診療の合間に一息つく暇もない。しかし、32歳の女性が呼吸困難と発熱を訴えてやってきたとき、何か異常を感じた。彼女の名前はさくら。まるで花のような美しい名前だ。さくらは10日間も苦しんでいるとのこと。アジスロマイシンを服用しても症状は改善しなかったという。

彼女のバイタルサインは良くない。血圧117/82 mmHg、心拍数106拍/分、体温39.3°C、酸素飽和度85%。彼女は明らかに苦しんでいた。肺底部にクラックルを聴取し、両側の腓腹筋が腫れている。これは普通の風邪やインフルエンザではない。何かもっと深刻な病気が隠れているはずだ。

2024年5月2日

今日の血液検査結果が戻ってきた。白血球数が低く、血小板数も減少している。さらに、肝機能検査値やフェリチン値も異常に高い。これは普通ではない。胸部X線では少量の胸水が見られたが、浸潤はなかった。私は彼女を入院させ、セフトリアキソンを開始することにした。しかし、何かが引っかかる。もっと深く掘り下げる必要がある。

2024年5月4日

セフトリアキソンが効果を示さない。彼女の状態は悪化するばかりだ。私は抗菌薬の範囲を広げることに決め、バンコマイシンとピペラシリン・タゾバクタムを追加した。しかし、彼女の呼吸状態はさらに悪化し、彼女はベッドで苦しんでいる。私は彼女にBronchoscopy with transbronchial biopsyを検討したが、酸素需要が増えているため実施を見送った。何か見落としているのかもしれない。

2024年5月6日

今日は一筋の光が見えた。さくらの友人が病室に来て、彼女が最近鹿肉を調理して食べたことを思い出させてくれた。私はズーノーシスを疑い、彼女にドキシサイクリンを投与することにした。また、C. burnetii、Brucella melitensis、T. gondiiの血清学的検査を実施した。何かが見つかるはずだ。

2024年5月9日

検査結果が返ってきた。C. burnetiiとBrucella melitensisの検査は陰性だったが、T. gondii IgMおよびIgGは陽性だった。私は彼女にトリメトプリム-サルファメトキサゾールを投与し始めた。しかし、彼女の状態は急速に悪化し、気管挿管が必要となった。

2024年5月10日

さくらの呼吸状態はさらに悪化し、私は気管挿管と機械換気を行った。Bronchoscopy with alveolar lavageを実施し、肝臓生検も行った。その結果、肝臓にトキソプラズマ抗原が検出された。私は確信を持ってトキソプラズマ症の治療を継続した。

2024年5月12日

彼女は4日間の治療を受け、状態は改善してきた。今日は彼女の挿管を解除し、彼女は自発呼吸に戻った。治療薬をピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸に変更し、彼女の完全な回復を目指した。

2024年5月14日

さくらの状態は安定し、徐々に回復してきた。彼女の笑顔が戻ってきたのを見て、私は心から安心した。私たちの努力が実を結び、彼女は退院の準備を始めた。今回の経験から学んだことは、詳細な病歴聴取と適切な検査の重要性だ。鹿肉の摂取歴がなければ、彼女の診断と治療はさらに遅れていたかもしれない。

2024年5月20日

今日は特別な日だ。さくらが無事に退院する日だ。彼女の回復を見届けることができ、私は大きな達成感を感じている。病院の廊下で彼女が私に感謝の言葉を述べてくれたとき、私は涙が出そうになった。これからも多くの患者を救うために、経験を積み、知識を深めていきたい。


患者の日記

2024年4月21日

今日、突然体が重く感じ始めた。朝起きると、全身がだるくて、頭がぼんやりしている。仕事に行くのも億劫で、体が熱っぽい。でも、これぐらいならただの風邪だろうと思い、無理して出勤した。午前中はなんとか仕事をこなしたが、午後になるとさらに調子が悪くなり、早退することにした。帰宅後すぐにベッドに倒れ込み、ぐっすりと眠った。

2024年4月23日

二日経っても症状は一向に良くならない。むしろ、呼吸が苦しくなってきた。咳も止まらないし、体温も高いままだ。熱を測ると39度もあった。これはただの風邪ではない。そこで、近くのクリニックを受診することにした。医師はアジスロマイシンを処方してくれた。これで良くなるといいんだけど。

2024年4月28日

アジスロマイシンを5日間飲み続けたが、全く効果がない。呼吸はますます苦しくなり、夜も眠れない。咳もひどくなり、食事もほとんど取れない。これは本当に深刻な病気かもしれない。友人が救急外来に行くように勧めてくれたので、行くことにした。

2024年5月1日

救急外来で待たされること数時間。ようやく診察室に呼ばれ、医師に症状を説明した。医師はすぐに私の状態を確認し、血液検査やX線検査を行った。結果、入院することになった。初めての入院に不安が募るが、なんとか治療を受けて元気になりたい。

2024年5月2日

入院初日。検査結果が戻ってきた。白血球が少ないとか、肝機能が悪いとか言われたけど、正直よくわからない。ただ、セフトリアキソンという薬を点滴で投与されることになった。看護師さんたちは優しくて、少し安心した。でも、呼吸は相変わらず苦しい。

2024年5月4日

薬が効かない。むしろ症状は悪化している感じがする。医師たちはバンコマイシンやピペラシリン・タゾバクタムという新しい薬を試すことにしたらしい。でも、私はどんどん体力を失っていく。酸素マスクもつけられ、息をするのが本当に辛い。

2024年5月6日

友人が訪ねてきてくれた。彼女が、私が最近鹿肉を調理して食べたことを思い出させてくれた。医師たちはその情報に驚き、何かを疑い始めたようだ。ドキシサイクリンという薬が新たに処方された。何か進展があるといいんだけど。

2024年5月9日

検査の結果、トキソプラズマ症の疑いがあると言われた。新しい薬、トリメトプリム-サルファメトキサゾールが投与されることになった。でも、呼吸はますます苦しくなり、ついに気管挿管が必要になった。管を通して息をするのは恐ろしいけど、これが最後の希望かもしれない。

2024年5月10日

今日、さらに詳しい検査が行われた。Bronchoscopyという検査で肺の内部を調べたり、肝臓の生検も行った。医師たちは私が急性肺トキソプラズマ症だと確信し、治療を続けている。希望を捨てずに頑張ろう。

2024年5月12日

やっと、やっと呼吸が楽になった。挿管を解除され、自分で息を吸えるようになった。医師たちが喜びながら私に知らせてくれた。薬が効いている証拠だ。これからはピリメタミン、サルファジアジン、フォリン酸という薬を使うらしい。

2024年5月14日

体力が少しずつ戻ってきた。医師や看護師たちの支えで、ようやく元気を取り戻しつつある。入院生活は大変だったけど、もうすぐ退院できる。家に帰って普通の生活に戻るのが楽しみだ。

2024年5月20日

今日、退院の日だ。医師たちに感謝の気持ちを伝え、病院を後にした。これからは健康に気をつけて生活しよう。今回の経験は、私にとって人生の大きな教訓となった。普通の生活がどれほど大切で、どれほどありがたいかを改めて実感した。


最後にガイドラインについてもまとめてもらいました。

トキソプラズマ症についてのガイドラインのまとめ

概要

トキソプラズマ症は、寄生虫トキソプラズマ・ゴンディイ (Toxoplasma gondii) によって引き起こされる感染症です。主に猫の糞便を介して感染し、汚染された食物や水を摂取することで感染します。免疫正常者では通常無症状または軽度の症状で済むことが多いですが、免疫抑制状態の患者や妊婦では重篤な症状を引き起こす可能性があります。

感染経路

  1. 食物を介しての感染: 生肉や加熱不十分な肉、特に豚肉、羊肉、鹿肉を食べることで感染します。
  2. 猫の糞便を介しての感染: 土壌や水の汚染、猫の糞便に触れることで感染します。
  3. 母子感染: 妊婦が感染すると胎児に垂直感染し、先天性トキソプラズマ症を引き起こすことがあります。

症状

  1. 免疫正常者: 軽度の発熱、リンパ節の腫れ、筋肉痛、疲労感など。多くの場合無症状。
  2. 免疫抑制者: 重篤な肺炎、脳炎、心筋炎、網膜脈絡膜炎など。
  3. 先天性トキソプラズマ症: 流産、死産、神経障害、視覚障害、精神遅滞など。

診断

  1. 血清学的検査: IgM抗体およびIgG抗体の測定が標準的です。IgM抗体の陽性は急性感染を示し、IgG抗体の上昇は既感染または慢性感染を示します。
  2. PCR検査: 血液、羊水、脳脊髄液などのサンプルからトキソプラズマDNAを検出する。
  3. 画像診断: 脳や眼の病変を確認するためにCTやMRIが使用されます。
  4. 組織学的検査: 組織生検によるトキソプラズマの検出。

治療

  1. 免疫正常者: 軽症の場合、特に治療は必要ありません。症状が重い場合は、ピリメタミンとスルファジアジン、フォリン酸が使用されます。
  2. 免疫抑制者: 重症例には、ピリメタミン、スルファジアジン、フォリン酸が第一選択薬となります。トリメトプリム-サルファメトキサゾールも代替治療薬として使用されます。
  3. 妊婦: スパイラマイシンが使用されますが、胎児感染が確認された場合はピリメタミンとスルファジアジンを使用することがあります。

予防

  1. 食品安全: 肉類は十分に加熱して摂取する。生肉に触れた後は手を洗う。
  2. 猫の管理: 猫の糞便処理を徹底し、ガーデニングや土いじりを行う際は手袋を使用する。
  3. 妊婦の注意: 妊娠中は生肉や未加熱の食材を避け、猫の糞便に触れないようにする。

ガイドラインの参照

  • アメリカ疾病予防管理センター (CDC): トキソプラズマ症の疫学、診断、治療、予防に関する詳細な情報を提供しています。
  • 世界保健機関 (WHO): トキソプラズマ症のグローバルなガイドラインを提供し、特に妊婦および免疫抑制患者の予防に重点を置いています。
  • 日本感染症学会: 国内におけるトキソプラズマ症の診断と治療に関するガイドラインを提供しています。

参考文献

  • Centers for Disease Control and Prevention. Toxoplasmosis. https://www.cdc.gov/parasites/toxoplasmosis/index.html
  • World Health Organization. Toxoplasmosis. https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/toxoplasmosis
  • 日本感染症学会. トキソプラズマ症診療ガイドライン. https://www.kansensho.or.jp/guidelines/

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