「はしかは子どもの病気」と思われがちですが、実際には大人も感染します。2026年は国内で麻しんの報告が増えており、国立健康危機管理研究機構の速報では、第1週から第15週までの累計報告数が299例となり、2025年1年間の265例をすでに上回っています。第15週だけでも56例が報告されており、今後の広がりにも注意が必要です(1)。
はしか(麻しん)とは?
はしかは、麻しんウイルスによる感染症です。感染経路は空気感染、飛まつ感染、接触感染で、感染力が非常に強いことが特徴です。免疫を持っていない方が感染すると、高い確率で発症するとされています(2)。
症状は、感染してから約10日後に発熱、せき、鼻水、目の充血など、かぜのような症状から始まります。その後、2〜3日熱が続いたあとに、39℃以上の高熱と全身の発疹が出てきます。肺炎や中耳炎を合併しやすく、まれに脳炎や死亡につながることもあるため、「ただの発疹の病気」と考えないことが大切です(2)。
マスクや手洗いだけでは防ぎきれません
はしかは空気感染するため、手洗いやマスクだけで完全に予防することは難しい感染症です。厚生労働省も、最も有効な予防法は麻しん含有ワクチンの接種であるとしています(2)。
また、発疹が出る前から感染力があるため、「かぜかな」と思って普段通りに移動している間に、周囲へ広がってしまうことがあります。発熱、せき、鼻水、目の充血に加えて、発疹がある場合や、はしか患者さんとの接触、海外渡航歴がある場合は、医療機関へ直接来院せず、まず電話で相談してください。
MRワクチンは2回接種が基本です
現在の定期接種では、MRワクチンを合計2回接種します。第1期は1歳の1年間、第2期は5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間です。MRワクチンを1回接種すると多くの方が免疫を獲得するとされ、2回接種により、より確実な免疫をつけることが期待されます(3)。
特に確認していただきたいのは、「接種したつもり」ではなく「記録があるか」です。母子健康手帳、予防接種済証、自治体の記録などで、麻しん含有ワクチンを2回受けているか確認しましょう。接種歴が0回、1回、不明の方、海外渡航予定の方、医療・保育・教育関係の方は、医師に相談することが勧められます(3,4)。
妊娠中の方は接種できません
MRワクチンは生ワクチンのため、妊娠中の方は接種できません。また、接種後は一定期間、妊娠を避ける必要があります。妊娠中の方ご本人が接種できない場合は、同居家族や周囲の方が接種歴を確認しておくことが重要です(3)。
はしかが疑われるときの受診方法
次のような場合は、医療機関へ行く前に必ず電話で相談してください。
- 発熱、せき、鼻水、目の充血、発疹がある
- はしか患者さんと接触した可能性がある
- 海外渡航後、体調不良がある
- ワクチン接種歴が不明で、はしかが心配
厚生労働省は、海外渡航後に発熱や発疹などがある場合、受診前に医療機関へ渡航歴や麻しんの可能性を伝え、可能な限り公共交通機関を使わず受診するよう呼びかけています(4)。
まとめ:今できること
はしかは感染力が非常に強く、重症化することもある感染症です。一方で、ワクチン接種歴を確認し、必要に応じて医師へ相談することで、発症や重症化、周囲への感染拡大を減らすことができます。
まずはご自身とご家族の母子健康手帳や予防接種記録を確認しましょう。発熱や発疹がある場合は、直接来院せず、事前に医療機関へご連絡ください。
桂川さいとう内科循環器内科では、地域の皆さまが安心して相談できるよう、感染症に関する情報もわかりやすくお伝えしていきます。
引用
(1) 国立健康危機管理研究機構. 麻疹 発生動向調査 2026年第15週(2026年4月15日現在). 2026.
(2) 厚生労働省. 麻しん(はしか). 2026.
(3) 厚生労働省. MRワクチン. 2025.
(4) 厚生労働省. 麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起について(協力依頼). 2026.
(5) 国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所. 麻しんの発生に関するリスクアセスメント(2026年第一版). 2026.
(6) Strebel PM, Orenstein WA. Measles. N Engl J Med. 2019;381(4):349-357. doi:10.1056/NEJMcp1905181.

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