当院では発熱外来も行っており、「熱が続く」「首のリンパ節が腫れて痛い」といった症状で受診される方も少なくありません。多くは風邪などの感染症に伴う一時的なリンパ節の腫れですが、その中で まれに認める病気 として 菊池病(菊池・藤本病) があります。今回は、患者さん向けに分かりやすく解説します。
菊池病とは?
菊池病は、正式には 「組織球性壊死性リンパ節炎」 と呼ばれる病気で、主に 首のリンパ節の腫れ と 発熱 を特徴とします。原因ははっきり一つに定まっていませんが、ウイルス感染などをきっかけに免疫反応が強く起こり、リンパ節に炎症が起こる と考えられています。
大切なポイントは、悪性リンパ腫などの“がん”とは別の病気で、多くは自然に良くなる という点です。
どんな症状が出る?
代表的な症状は次のとおりです。
- 首のリンパ節の腫れ(しばしば片側)
- 押すと痛いリンパ節の痛み
- 発熱(数日〜数週間続くこともあります)
- 倦怠感、のどの痛み、頭痛 など
リンパ節の腫れは「しこり」として触れるため、「何か悪い病気では?」と不安になって受診される方が多い症状です。
どんな人に多い?
比較的 若い方(10〜30代) に多いとされ、女性にやや多い傾向があります。ただし年齢は幅があり、誰にでも起こり得ます。
風邪のリンパ節の腫れと何が違う?
風邪でもリンパ節は腫れます。菊池病を疑うきっかけとしては、
- 発熱が長引く
- リンパ節の痛みが強い
- 腫れがはっきり残る
- 血液検査で 白血球が少なめ になったり、炎症所見がみられたりする
などがあります。ただし、症状だけで決めつけることはできず、他の病気を除外しながら判断する ことが重要です。
似た症状の病気があるため「確認」が大切です
リンパ節が腫れる原因は幅広く、次のような病気が鑑別に挙がります。
- かぜ、インフルエンザ、新型コロナなどの 感染症
- EBウイルス(伝染性単核球症)など
- 細菌感染(扁桃炎、歯の感染など)
- 結核 などの慢性感染症
- 悪性リンパ腫 など腫瘍性疾患
- 膠原病(SLE:全身性エリテマトーデスなど)
菊池病は多くが良好な経過をたどりますが、似た症状の中には 見逃したくない病気も含まれる ため、必要に応じた検査で丁寧に判断します。
どんな検査をするの?
症状や診察所見に応じて、次のような検査を組み合わせます。
- 血液検査(炎症の程度、白血球数、肝機能など)
- 超音波(エコー):リンパ節の大きさ・形・内部の様子を確認
- 状況により CT検査
腫れが強い・長引く・悪性が否定できない場合には、
リンパ節生検(組織を取って調べる検査) で確定診断に進むことがあります。
また、菊池病はまれに 膠原病(自己免疫の病気) と関連することがあるため、症状や経過によっては 合併の可能性を確認する目的で膠原病の検査(自己抗体など) を行うこともあります。
治療はどうするの?
多くの場合、菊池病は 自然に軽快 します。治療の中心は 対症療法 です。
- 解熱鎮痛薬(熱・痛みをやわらげる)
- 安静、十分な水分、睡眠
症状が強い場合や長引く場合には、医師の判断で ステロイド薬 を使用することがあります。
※菊池病そのものに抗生物質は通常効果がありません(細菌感染が疑われる場合を除きます)。
経過は?再発はある?
多くは 数週間〜2〜3か月程度 で改善します。再発はまれですが、ゼロではありません。大切なのは、経過を見ながら 本当に菊池病でよいか、他の病気が隠れていないか を確認していくことです。
受診の目安(こんなときは早めにご相談ください)
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- リンパ節の腫れが 2週間以上 続く
- 高熱が続く、夜間に悪化する
- 体重減少、寝汗が続く
- リンパ節がどんどん大きくなる/複数箇所に増える
- 強いだるさ、発疹、関節痛など他の症状を伴う
まとめ
- 菊池病は、首のリンパ節の腫れと発熱を起こす まれなリンパ節炎 です
- 多くは 自然に良くなる 一方、似た病気の除外が大切です
- 症状や経過により、画像検査や必要な血液検査に加えて、膠原病の合併を確認する検査 を行うこともあります
「リンパ節が腫れた」「熱が続く」など不安な症状がある場合は、自己判断せずにご相談ください。当院では発熱外来として、感染症の評価も含めて適切に診察・検査を行います。

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