疾患解説

百日咳(ひゃくにちぜき)が流行中!ニュースとあわせて知っておきたいポイントとDeep Researchによる詳細解説

最近、「百日咳が流行している」という話題を耳にすることがあります。先日、Yahoo!ニュースでも報じられていましたが、全国的に見てもこの感染症が再び注目されています。
特に免疫が十分でない赤ちゃんがかかると、重症化するリスクが高いことがわかっています。そこで今回は、百日咳とはどんな病気か、どんな症状が出るのか、そして具体的にどのように予防・対策ができるのかを分かりやすくまとめました。


1. 百日咳ってどんな病気?

  • 原因菌: 百日咳菌という細菌が引き起こす感染症です。
  • 特徴的な症状: とにかく咳が長引くことが大きな特徴で、名前のとおり「百日間(約3か月)続く」と言われるほど。特に初期はかぜ症状に似ていて見分けにくいですが、後期には激しい咳発作や息を吸う際の「ヒュー」という音が出ることがあります。
  • 重症化のリスク: 赤ちゃんや小さなお子さんが百日咳にかかると、呼吸困難や無呼吸発作、肺炎などを起こしやすく、入院が必要になることもあります。

2. 最近の流行状況

Yahoo!ニュースの記事によると、全国の医療機関から「咳が長引く患者さんの相談が増えている」という報告があります。特に以下のようなケースに注意が必要です。

  1. 子どもが集団で過ごす場
    幼稚園や保育所、学校などで感染が広がると、一斉に多くの子どもがかかってしまうことがあります。
  2. 大人から子どもへの感染
    思春期や成人になって一度感染したり、ワクチン効果が薄れていたりする人が、「ただの風邪かな」と思って過ごしてしまい、知らず知らずのうちに周囲の赤ちゃんやお子さんにうつしてしまうこともあります。

3. どんな症状が出たら百日咳を疑う?

  • 2週間以上続く咳
    風邪のはずがなかなか治まらない…そんなときは注意が必要です。
  • 咳が止まらなくなる発作
    連続した咳が続き、息を吸うときにヒューヒューと音がする場合があります。
  • 咳のあとに嘔吐する、息が止まりそうになる
    乳幼児では「無呼吸」や「チアノーゼ(顔色が青紫になる)」を起こすこともあるため、すぐに受診が必要です。

4. 診断と治療

  • 診断方法: 病院では咽頭(のど)のぬぐい液を調べる遺伝子検査(PCRやLAMP法)や、血液検査による抗体価の測定などで確定診断します。
  • 治療の基本: マクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が第一選択です。症状の進行を抑え、周囲への感染も防ぎます。
  • 赤ちゃんの重症化防止: 息苦しさや無呼吸発作がある場合は入院し、酸素投与などの管理が必要になることがあります。早めに受診することが大切です。

5. 予防のためにできること

  1. ワクチン接種を受ける
    乳幼児期から定期接種として行われる「四種混合ワクチン(DPT-IPV)」は、百日咳を含む感染症を予防します。スケジュールどおりに受けるようにしましょう。大人も含め、追加接種の必要性が指摘されています。
  2. 咳エチケット・手洗いの徹底
    咳やくしゃみから菌が飛び散りやすいため、マスクの着用やこまめな手洗いで周囲にうつさない、うつされない工夫をしましょう。
  3. 体調が悪いときは早めの受診
    長引く咳が気になるときは、一度医療機関で相談を。早い段階で治療を開始すれば、周囲への感染拡大も防げます。

6. まとめ

Yahoo!ニュースの記事で取り上げられているように、百日咳の流行が見られる地域が出てきています。

  • 長引く咳激しい咳の発作がある場合は早めに受診を。
  • 乳幼児やその周りの大人は、特に注意が必要です。
  • ワクチン接種咳エチケットで重症化・感染拡大を防ぐことができます。

百日咳は名前のとおり長い間咳が続き、赤ちゃんを中心に重症化しやすい感染症です。でも、正しい知識を持っていれば、大切な家族や周りの人を守ることができます。

さらに追加でDeep Researchにより詳細を調べてもらいました。

7. Deep Researchによる詳細調査

百日咳の診断方法

臨床症状による疑い: 百日咳は典型的には長期間(通常2週間以上)続く激しい咳発作(痙咳発作)を特徴とし、吸気時に笛声様の「ウープ音」や咳後の嘔吐を伴うことがあります ()。特に成人では「2週間以上持続する咳嗽に加え、発作性の咳・吸気時の笛声・咳後嘔吐のいずれかを認め、他に明らかな原因がない」場合に百日咳を強く疑う臨床診断基準とされています ()。一方、乳児では咳発作に伴う無呼吸やチアノーゼ、けいれんなどが見られることもあり、重症化に注意が必要です ()。こうした臨床所見から百日咳を疑った場合、確定診断のため検査による確認が重要です。

検査診断法: 日本では2018年以降、百日咳は全数把握疾患となり(感染症法5類)、医師は原則として検査診断による確定例を届け出ることが求められています (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。利用される主な検査法と特徴は以下の通りです。

  • 遺伝子検査(PCR/LAMP法): 百日咳菌の遺伝子検出は最も感度が高く、発症早期の確定診断に有用です (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。日本ではリアルタイムPCRのほか、ループ介在等温増幅(LAMP)法が開発されており、迅速かつ簡便に診断できる方法として2016年11月から保険適用されています (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。遺伝子検査は特に発症後早期(おおむね2~3週間以内)の患者や、小児より菌量が少ない成人患者で推奨されます () (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。検体は鼻咽頭スワブや吸引液を用い、適切に採取することが重要です。※なお2021年6月からはイムノクロマト法による抗原検出も届出基準に追加され、迅速診断キットで百日咳毒素などの抗原を検出する方法も承認されています (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。
  • 細菌培養: 百日咳菌の分離培養は特異度が高く、培養で陽性になれば確実な診断となります。しかし専用の培地(ボルデ・ジャング培地など)が必要で、検出感度も低い方法です (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。特に発症から時間が経った症例では陽性率が下がり、成人では発症3週後には培養陽性率が数%程度と報告されています ()。そのため培養は発症後2週間以内の早期で行うのが望ましいですが、現実には遺伝子検査の方が感度・迅速性で優れるため、培養単独で診断するケースは減っています ()。
  • 血清学的診断: 患者の血中抗体価の上昇を確認する方法です。百日咳感染後は抗百日咳毒素(PT)IgG抗体や抗線維状赤血球凝集素(FHA)抗体が90%以上の患者で上昇しますが、特にPT-IgG抗体価の上昇が診断上特異度が高い指標となります ()。典型的にはペア血清(急性期と回復期の2検体)で4倍以上の抗体価上昇を確認することで診断しますが、単回測定でもPT-IgG抗体価が基準以上(例えば100 EU/mL以上)であれば最近の百日咳感染を示唆する所見とされています ()。日本では抗体検査として、2016年にIgMおよびIgA抗体を測定するキットも承認され保険適用となりました (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。血清診断は発症後数週間以上経過した例や、乳幼児期にワクチン接種を完了したために典型的症状が乏しい例で有用です。ただし免疫未熟な乳児直近1年以内にワクチン接種を受けた者では抗体検査の解釈に注意が必要で、世界保健機関(WHO)はこうした場合の単独血清による診断は推奨していません (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。

これらの検査法は咳嗽の経過期間に応じて使い分けることが推奨されています。ガイドラインでも、「発症後早期(〜2週間程度)は遺伝子検査や培養、それ以降(約3~4週以降)は血清学的検査を選択する」アルゴリズムが示されています 。適切な検査手段を選ぶことで、百日咳の正確な診断と届出基準の充足につなげることが重要です (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。

百日咳の治療方法

抗菌薬治療: 百日咳に対する第一選択の治療はマクロライド系抗菌薬の投与です (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンといったマクロライド系は百日咳菌に有効で、特に症状初期(カタル期)に投与することで症状の軽減と菌の排出期間短縮が期待できます (百日咳と診断された方が増えています | 山形県)。早期治療により患者本人の重症化予防だけでなく、学校や家庭内など周囲への感染拡大防止にもつながるため、百日咳が疑われたら速やかな治療開始が推奨されています (百日咳と診断された方が増えています | 山形県)。マクロライド系が使用できない場合や耐性菌が疑われる場合には、ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)の14日間投与が代替療法として推奨されます (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。実際、近年報告されているマクロライド耐性百日咳菌(MRBP)に対してはST合剤が有効とされ、日本でもMRBPが初めて確認された2018年以降、この代替療法が検討されています (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県) (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。なおテトラサイクリン系抗菌薬(ミノサイクリンなど)も成人患者では選択肢となりますが、小児には使用できないため注意が必要です (百日咳と診断された方が増えています | 山形県)。いずれの抗菌薬でも適切な期間内服することが重要で、例えばクラリスロマイシンの場合7日間の内服が標準的です (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。抗菌薬を開始して5日程度経過すれば感染力は大きく低下するとされ ()、学校保健安全法上も「適切な抗菌薬治療開始後5日を経過するまで」出席停止とする規定があります(治療しない場合は咳が消失するまで最大3週間の出席停止)。

対症療法と管理: 抗菌薬による治療を行っても、特に痙咳期に入った患者では咳発作自体はしばらく続くことがあります(百日咳毒素による影響が残るためとされています) ([PDF] 静岡薬剤耐性菌制御チーム 通報 27 百日咳からこども達を守るために)。そのため症状緩和のための対症療法も併用されます。激しい咳に対しては鎮咳薬(咳止め)や去痰薬の投与、気道粘膜の保湿などが用いられます (百日咳と診断された方が増えています | 山形県)。乳幼児では咳発作により無呼吸やチアノーゼを起こす危険があるため、入院の上で酸素投与や吸引・気道確保などの呼吸管理を行うことがあります ()。痙攣を伴う場合には抗けいれん薬の使用が検討され、重症例では集中治療室(ICU)での管理や人工呼吸管理が必要となることもあります (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。また、百日咳と診断された患者の周囲の家族や密接接触者に対しても、発症予防目的でマクロライド系抗菌薬の予防投与を行う場合があります。特に乳児がいる家庭では、家族内の感染連鎖を断つために積極的な介入が推奨されます。適切な治療介入により、多くの患者は合併症を防ぎつつ回復しますが、乳幼児では肺炎やけいれん、脳症など重篤な合併症のおそれがあるため治療中も慎重な経過観察が必要です 。

日本における百日咳の流行状況

近年の発生動向: 日本では定期予防接種(DPT-IPVワクチンの4回接種)により百日咳の発生はかつてに比べ大幅に減少しました。しかしワクチンによる免疫は接種後3~4年で低下することが知られており、そのため小学校高学年~中学生くらいの年齢で再び罹患するケースが多くなります (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。事実、全数報告が開始された2018年以降のデータでは、患者の中央値年齢は10歳で、小児~青年期の患者が大半を占めました (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。2018年~2020年の累計報告数は31,909例で、2018年は12,116例、2019年は16,846例と大きな流行が発生し、学童期の集団感染事例も多く報告されています (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。届け出患者の約5%は1歳未満の乳児でしたが、逆に5~14歳が全体の約6割を占め、ワクチン未接種の乳児だけでなくワクチン接種歴のある学童での流行が目立ちました (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。実際、2018~2020年の患者のうち57%は4回の百日咳含有ワクチン接種を完了しており、特に5~15歳では患者の80%が接種歴ありでした (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。このことから、**思春期・成人への追加免疫(ブースター接種)**の欠如や、従来の無細胞ワクチンによる免疫減衰が流行の一因と考えられています (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021) (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。海外ではティーンエイジャーや妊婦へのTdapブースター接種が推奨されていますが、日本ではTdapワクチンは未承認であり、任意でDPTワクチンを追加接種する以外に定期的なブースター策は講じられていません (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。

COVID-19流行の影響: 2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴うマスク着用や人の移動自粛などの対策が取られると、百日咳を含む他の呼吸器感染症も大幅に減少しました。2020年の百日咳報告数は2,947例と前年度から激減し (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)、以降も低い水準が続きます。2021年は年間707例程度と5類全数報告となって以来過去最少を記録し (感染症発生動向調査年別一覧(全数把握 五類)-2021-)、2022年も499例(2023年1月現在集計)と非常に抑えられた状況でした (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。このように直近数年間(2020~2022年)は、コロナ対策による偶発的な百日咳予防効果が現れた時期といえます。一方で2023年以降は徐々に行動制限が緩和されており、百日咳の再流行が懸念されています。実際、地域によっては2023年後半~2024年前半にかけて百日咳患者の増加傾向が報告されています。例えば山形県庄内地域では2024年に入り百日咳と診断される人が増えており (百日咳と診断された方が増えています | 山形県)、沖縄県でも2024年に乳児の重症例(マクロライド耐性菌感染例)が確認されました (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。全国レベルの公式集計では2023年の年間患者数は数百例程度と推定されますが、今後数年で流行が再燃する可能性も指摘されています。なお死亡例について見ると、現在では百日咳による死亡はほぼ生後4か月未満の乳児から報告されるのみで、年間の致死率は全体で0.2%前後(生後6か月以内では約0.6%)と推計されています () (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。最も脆弱な新生児期の感染を防ぐため、妊婦や周囲の大人へのワクチン接種戦略や早期診断・治療体制の充実が今後の課題となっています。

日本国内の診療ガイドライン

感染症法に基づく届出基準: 百日咳は2018年より感染症法に基づく五類全数把握疾患となり、医師は診断した全ての百日咳患者(疑い例含む)を所轄保健所に届け出る義務があります (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021)。届出の際の基準(診療ガイドラインに相当するもの)は厚生労働省から示されており、その内容は「臨床的に百日咳を疑う所見」を満たし、かつ「実施した検査で百日咳と確定診断された場合」に届け出るというものです (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。具体的には、臨床的特徴として長引く咳や痙咳発作、白血球増多、肺炎の合併、痙攣や脳症の出現などが百日咳を示唆する場合にまず疑い (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)、検査所見として鼻咽頭からの百日咳菌分離培養、遺伝子検出(LAMP法等)、血清抗体価の有意な上昇(ペア血清での4倍以上上昇など)または高値、あるいは迅速抗原検出が陽性であること――のいずれかをもって確定診断と定義しています (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。このガイドラインでは原則「全例で検査診断を行う」ことが求められており、単に症状から疑うだけでなく検査で裏付けを取ることが強調されています (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。先述のように、2021年6月には届出基準にイムノクロマト法による抗原検出が追加される改訂が行われました (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。厚労省と国立感染症研究所からは医師向けに「百日咳届出ガイドライン(第二版)」が公開されており、適切な届出の手順や検体採取のタイミングなどが詳述されています (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)。

日本呼吸器学会のガイドライン: 百日咳の診療そのものに関する国内学会のガイダンスとしては、日本呼吸器学会が作成した「咳嗽に関する診療ガイドライン2019」に百日咳の診断基準やフローチャートが示されています (百日咳診断基準フローチャート公開(咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019)  – 教育・研究|一般社団法人日本呼吸器学会)。この中では、成人の慢性咳嗽の鑑別診断として百日咳を念頭に置く条件を定義しており、先に述べたCDC準拠の臨床基準(2週間以上の咳+特徴的症状)が紹介されています ()。さらに実地臨床での診断アルゴリズムも提示されており、咳嗽持続期間に応じた検査選択(発症後2~3週以内ならLAMP法など遺伝子検査の活用、それ以上経過した場合は血清抗体検査の活用など)が図表で示されています ()。このフローチャートは保険請求上も参照されており、例えば「関連学会が定めるガイドラインの基準を満たす患者に対してLAMP法を行った場合に検査費用を算定できる」旨が通知されています (百日咳診断基準フローチャート公開(咳嗽喀痰の診療ガイドライン2019)  – 教育・研究|一般社団法人日本呼吸器学会)。つまり、臨床現場ではガイドラインに沿って「百日咳が疑われる症例」を適切に選別し、エビデンスに基づく検査と診断を行うことが推奨されています。

治療に関する指針: 百日咳の治療ガイドラインとして単独のものはありませんが、各種標準的な治療指針は前述のとおりマクロライド系薬の早期投与が基本です (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。日本化学療法学会や小児科学会なども、乳幼児を中心に百日咳患者が増加している状況に鑑み、迅速な診断と適切な抗菌薬治療・感染対策の重要性を啓発しています。院内感染対策の観点では、患者の隔離や医療従事者のマスク着用、患者周囲のハイリスク者への監視などが推奨されており、例えば北海道大学病院のマニュアルでは発症早期の抗菌薬投与と就業制限(内服開始後5〜7日間の出勤停止)など具体的な対応策が示されています ()。また学校や保育所での集団感染防止のため、学校医や保健所と連携して早期発見・早期治療・経過観察を行うことも大切です。総じて、日本国内の診療ガイドラインや指針は「百日咳を見逃さずに診断し、適切な治療と公衆衛生介入によって重症例と流行を防ぐ」ことに主眼を置いており、医療従事者向けの情報提供や患者への注意喚起が継続して行われています (百日咳と診断された方が増えています | 山形県) (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。

参考文献: 百日咳の疫学動向や診断・治療に関する最新知見は国立感染症研究所の感染症発生動向調査やIASR報告 (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021) (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)、厚生労働省の感染症情報 ()、および各種学会資料 ()に詳しくまとめられています。これらの情報源によれば、直近5年間で百日咳の流行状況は大きく変化し、診断技術の進歩(LAMP法や抗原キットの導入)や耐性菌の出現なども踏まえて、今後の対策が検討されています (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021) (集中治療を必要としたマクロライド耐性百日咳菌感染症の2乳児例―沖縄県)。上記の内容はそれら公表資料に基づいており、信頼できるデータと専門家の見解を反映しています。今後も最新のガイドラインやサーベイランス情報を参照しつつ、百日咳の的確な診断・治療・予防に努めることが重要です。 (IASR 42(6), 2021〖THE TOPIC OF THIS MONTH〗Pertussis in Japan, as at January 2021) (全数報告サーベイランスによる国内の百日咳報告患者の疫学(更新情報) -2022年疫学週第1週~第52週-)

Claude 3.7 SonnetにDeep Resarchによる詳細調査をスライド形式でまとめてもらいます。

百日咳(ひゃくにちぜき)の診断方法 臨床症状による疑い 1 成人の特徴的症状 乳児の特徴的症状 2週間以上持続する咳 発作性の咳 吸気時の笛声(ウープ音) 咳後の嘔吐 咳発作に伴う無呼吸 チアノーゼ(皮膚の青紫色化) けいれん 重症化リスクが高い 検査診断法 2 2018年以降、百日咳は5類全数把握疾患となり、検査による確定診断が求められています 遺伝子検査 PCR/LAMP法 最も感度が高い 発症早期(~2-3週間) 2016年から保険適用 細菌培養 特異度が高い 検出感度は低い 発症後2週間以内が望ましい 血清学的診断 抗体価の上昇を確認 抗PT-IgG抗体が重要 発症後3-4週以降に有用 抗原検出 迅速診断キット イムノクロマト法 2021年から届出基準に追加 参考文献: 国立感染症研究所IASR、日本呼吸器学会ガイドライン、厚生労働省資料(2024年) 百日咳(ひゃくにちぜき)の治療方法 抗菌薬治療 1 第一選択の治療は「マクロライド系抗菌薬」の投与 第一選択薬 エリスロマイシン クラリスロマイシン アジスロマイシン 一般的に7日間の内服が標準的 代替療法(耐性菌の場合) ST合剤 (スルファメトキサゾール・ トリメトプリム) 14日間投与が推奨 成人の代替薬 テトラサイクリン系 抗菌薬 (ミノサイクリンなど) ※小児には使用不可 早期治療のメリット: 症状の軽減 重症化予防 菌の排出期間短縮(感染力は5日程度で低下) 周囲への感染拡大防止 対症療法と管理 2 鎮咳薬・去痰薬: 咳症状の緩和 気道粘膜の保湿: 症状緩和 呼吸管理: 乳幼児では入院が必要な場合も 周囲の接触者: 予防投与を検討 注意: 特に乳幼児では肺炎やけいれん、脳症など重篤な合併症のリスクがあり、慎重な経過観察が必要です。 百日咳(ひゃくにちぜき)の流行状況 近年の発生動向 1 2018年より感染症法に基づく五類全数把握疾患となり、より詳細な動向が把握可能になりました ワクチン接種者でも罹患する例が多数報告されています 患者の特徴 中央値年齢は10歳 5~14歳が全体の約6割 患者の57%は4回の百日咳含有 ワクチン接種を完了 百日咳報告数の推移(2018-2022年) 12,116 2018 16,846 2019 2,947 2020 707 2021 COVID-19流行の影響 2 2020年以降のCOVID-19対策により、 百日咳を含む呼吸器感染症が大幅に減少 2022年は499例と過去最少水準 注意: 2023年以降は行動制限の緩和に伴い、百日咳の再流行が懸念されています 地域によっては2023年後半~2024年前半にかけて患者増加の報告があります 百日咳(ひゃくにちぜき)の診療ガイドライン 感染症法に基づく届出基準 1 2018年より五類全数把握疾患となり、医師は診断した全ての百日咳患者を所轄保健所に届け出る義務があります 臨床的特徴 長引く咳 痙咳発作 白血球増多 肺炎合併 けいれん 脳症 検査所見 培養陽性 遺伝子検出陽性(PCR/LAMP法) 抗体価上昇(ペア血清で4倍以上) 抗原検出陽性(2021年6月追加) 日本呼吸器学会のガイドライン 2 「咳嗽に関する診療ガイドライン2019」に百日咳の診断基準とフローチャートが掲載されています 診断アルゴリズム 臨床基準: CDC準拠(2週間以上の咳 +特徴的症状) 咳嗽持続期間に応じた検査選択 検査時期の目安 発症後早期(~2週間): 遺伝子検査や培養 発症後3~4週以降: 血清学的検査 公衆衛生対応: 「適切な抗菌薬治療開始後5日を経過するまで」出席停止(未治療は最大3週間)

スライド形式ですとわかりやすいですね。咳の患者さんも増えておりますがより良い診療ができるように頑張ります。

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