開院して間もなく1か月ですが帯状疱疹の患者さんがパラパラといらっしゃいます。前職は大学病院で循環器内科をメインで診療しており帯状疱疹の患者さんを見る機会は少なかったのですが、開院してから身内でも帯状疱疹を発症したりと何となく増えている印象もあります。クリニックの先生方に聞くと同じような印象を持っている先生方も多いようです。
文献を調べると大きな研究はないのですがいくつかの症例報告、ケースシリーズがコロナワクチンと帯状疱疹の関係を報告しています。そのうちの1つの要約を紹介します。
抄録:
COVID-19は様々な症状を呈するが、主には肺疾患として発症する(Marzano, 2020)。その中で水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化を含む皮膚症状も報告されている(Marzano, 2020)。今回我々は、トジナメラン(ファイザー・バイオンテック社のCOVID-19 mRNAワクチン)を接種した後に帯状疱疹を発症した成人2名について報告する。この反応の原因として考えられるのは、ワクチン接種後に発生する一過性のリンパ球減少症-(これはCOVID-19に罹患した場合も同様)-である(Mulligan, 2020; Wang, 2020; Qin, 2020; Brabilla, 2020; Wang, 2020; Wei, 2017)。高齢者、または免疫力の低い成人にワクチンを接種するということを考えるときに、今回の研究の結果は、COVID-19、COVIDワクチン、および帯状疱疹の間に考えられる関係をさらに評価するための出発点となるであろう。
ワクチン接種によるリンパ球の減少が帯状疱疹を誘発する一因と考えられています。コロナワクチンと帯状疱疹という一見あまり関連なさそうな事象も調べてみると研究報告も多く実は両者の間になんらかの因果関係があるのかもしれません。
当院では帯状疱疹の迅速診断キットを導入しており、帯状疱疹患者さんの早期診断に役立てています。
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