土曜日午後の休診時間を利用してそがべ医院の曽我部俊介先生などが中心となっている西京診療研究会に参加してきました。今回は認知症をテーマにした講演を拝聴しました。
講演1は京都桂病院 精神科 副部長 三嶋亮先生、講演2はよしき往診クリニック 院長 貝田航先生のお話でした。勉強した内容を簡単にまとめてみました。
認知症というと「もの忘れ」のイメージが強いですが、実際にはそれだけではありません。
今回の講演では、認知症の方にみられるさまざまな症状への対応や、医療・介護・在宅支援の連携の大切さについて学ぶことができました。
BPSDとは?
認知症では、記憶障害などの中核症状に加えて、不安、イライラ、興奮、落ち込み、妄想、昼夜逆転、介護や内服への拒否などがみられることがあります。
こうした症状はBPSDと呼ばれます。
これは Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia の略で、日本語では認知症の行動・心理症状といいます。
ご本人のつらさにつながるだけでなく、ご家族や介護する方の負担が大きくなる原因にもなります。
そのため、認知症診療では、もの忘れそのものだけでなく、このBPSDにどう対応するかがとても大切になります。
まず大切なのは、薬だけに頼らないこと
今回のお話で印象的だったのは、BPSDがみられたときに、すぐ薬だけで対応するのではなく、まず背景を丁寧に考えることの大切さです。
たとえば、脱水、便秘、痛み、感染症、睡眠不足、環境の変化、周囲の接し方、薬の副作用などが、症状を悪化させていることがあります。
認知症の方の言動の変化は、単なる性格の問題ではなく、身体の不調や不安のサインであることも少なくありません。
まずは環境調整や関わり方の工夫を行い、それでも必要な場合に薬を検討する、という基本がとても大切だと改めて感じました。
地域で支える仕組みの大切さ
今回の講演では、認知症初期集中支援チームのお話もありました。
これは、認知症が疑われてもまだ医療や介護につながっていない方に対して、多職種で訪問しながら支援につなげていく仕組みです。
認知症の方の中には、受診をためらったり、ご家族だけでは対応が難しかったりすることもあります。
そのようなときに、医療だけでなく介護や地域の支援とつながることの大切さを改めて感じました。
医療と介護の連携で大切なこと
病院とクリニック、在宅医療、介護が連携するときには、病名や検査結果だけでなく、
- どのくらい身の回りのことができるか
- 薬の管理ができるか
- ご家族の支えがどのくらいあるか
- どのような生活環境で過ごしているか
といった、日々の生活の情報がとても重要になります。
認知症の診療は、病気だけをみるのではなく、その方の生活全体を支える視点が必要なのだと感じました。
今回の学び
当院は通常の外来診療が中心で、現時点では往診や訪問診療にはほとんど取り組めていません。
そのため、今回の講演では、普段の外来だけでは見えにくい視点や、自分にまだ足りていない視点について多く学ぶことができました。
今後は、外来の時間を調整しながら、往診や訪問診療にも少しずつ取り組んでいきたいと考えています。
また、当院院長も認知症サポート医のメンバーになっています。
「最近もの忘れが増えたかもしれない」「家族の様子が少し気になる」など、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
最後に
認知症は、ご本人だけでなく、ご家族や周囲の方の生活にも大きく関わる病気です。
だからこそ、医療だけで抱え込まず、介護や地域の支援とつながりながら支えていくことが大切だと改めて感じました。いろいろな機会を利用して勉強を続けていきます。

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