LDL(悪玉)は“主犯”、中性脂肪は“警報”です
健康診断の結果を見て、
「コレステロールが高いので受診してください」と言われて来院される方はとても多いです。
ただ、診察室でよくあるのが次のパターンです。
- 「中性脂肪が200もあって心配です」
- 「LDLは少し高いけど、前からなので大丈夫ですよね?」
実は、同じ脂質の項目でも LDLコレステロール(LDL-C)と中性脂肪(TG)では意味が違います。
血管への影響も、優先して対策すべき順番も変わります。
この記事では、患者さんが健診結果を正しく読み解けるように、ポイントをやさしく整理します。
1. LDL-C(悪玉コレステロール)は「血管を傷つける主犯」
LDL-Cが重要視される理由はシンプルです。
動脈硬化の“材料そのもの” だからです。
LDL-Cが増えると起こること
- 血管の壁に入り込む
LDL-Cが多いと、血管の壁へ入り込みやすくなります。 - プラーク(コブ)が育つ
入り込んだLDLが変質すると、血管の壁にコブができ、血管が狭く、もろくなります。 - 破裂すると一気に詰まる
コブが破れると血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞につながります。
このため医学では 「LDLは低いほどよい」 という考え方が基本になっています。
LDL-Cを下げるほど、心臓や脳の病気が減ることがはっきり示されているからです。
2. 中性脂肪(TG)は「生活習慣の警報」と「血液の質のサイン」
中性脂肪は、LDLのように直接「材料」になるというより、
生活や体の状態を映す指標として役立ちます。
中性脂肪が高いときに疑うこと
- 食事(糖質の多さ、夜遅い食事)
- 甘い飲み物
- 飲酒
- 運動不足
- 睡眠不足、ストレス
さらに、中性脂肪が高い状態では、LDLが 小さくて入り込みやすいタイプ(スモールデンスLDL) になりやすいと言われます。
- 小さいため血管に入り込みやすい
- 体の中に残りやすい
つまり中性脂肪は、
「血管にとって良くない状態になっていますよ」 という警報として読むのがコツです。
3. なぜ「まずLDL-Cから」治療するのか
「LDLもTGも高いなら、両方まとめて薬で下げたい」と思うのは自然です。
ただ治療の基本は まずLDL-Cを目標まで下げること です。
理由は3つあります。
- 証拠が最も強い
LDL-Cを下げると心筋梗塞が減ることが明確に示されています。 - 血管を守る効率が高い
LDL-Cの管理が、予防の中心になります。 - TGはブレやすい
TGは前日の食事や飲酒、体調でも大きく動きます。LDL-Cは比較的安定した指標です。
もちろん、中性脂肪が非常に高い場合は別の注意も必要ですが、健診でよく見かける範囲では LDL対策が最優先 です。
4. 健診結果の「読み解き方」
LDL-Cは「血管の寿命を左右する本丸」
- 目標値は、年齢や持病(高血圧、糖尿病、喫煙、腎臓病など)や、心筋梗塞・脳梗塞の既往で変わります。
- 医師が提示する目標値に向けて、食事・運動・必要なら薬で確実に管理することが最優先です。
中性脂肪は「今の生活を知らせる警報灯」
- 高ければ、生活習慣を見直すきっかけになります。
- 「LDLがより悪い形になっているかもしれない」というサインとしても重要です。
5. 今日からできる対策
LDL-Cを下げるコツ(血管を守る中心)
- 揚げ物、加工肉、バターや生クリーム系を「毎日」から「時々」にする
- 野菜、海藻、きのこ、豆類を増やす(食物繊維)
- 続けられる運動を習慣にする
- 必要なら薬は「血管を守るための道具」として上手に使う
中性脂肪を下げるコツ(警報を止める)
- 甘い飲み物を減らす
- 夜の炭水化物(麺、丼、パン多め)を見直す
- お酒の量と頻度を調整する
- 体重が少し落ちるだけでも改善しやすい
まとめ
- LDL-C(悪玉):血管を傷つける主犯。まずここを目標値まで下げる
- 中性脂肪(TG):生活習慣と血液の質を知らせる警報。原因を点検する
健診で「コレステロールが高い」と言われたら、最初に確認したいのは
「自分のLDL-Cは、血管を守れる範囲まで下がっているか?」
という点です。
医師からのメッセージ
中性脂肪は、脂質代謝の通信簿のようなものです。
しかし本当に大事なのは、数値の見た目に一喜一憂することではなく、LDL-Cを適切に管理して血管を守ることです。
健診結果を見て不安な方は、「自分のLDL目標値はどれくらいか」「中性脂肪が高い背景は何か」を一緒に整理していきましょう。

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