〜安心して冬を過ごすために知っておきたい血圧管理のポイント〜
寒い季節、特に高齢者にとって冬の朝と入浴時は思わぬリスクが潜んでいます。それが「モーニングサージ」と「ヒートショック」。どちらも血圧の急激な変動を引き起こし、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気につながることがあります。この記事では、それぞれの現象のしくみと、今日からできる予防対策を解説してみます。
【モーニングサージ】冬の朝、布団から出た瞬間に血圧が急上昇!
● そもそもモーニングサージって?
モーニングサージとは、朝目覚めて起き上がるときに血圧が急に上昇する現象です。通常、夜間には血圧が低くなり、朝に向けて自然に上がりますが、冬場は室温と布団内の温度差が大きく、身体が急な冷気にさらされることで一気に血圧が上がってしまいます。
● 誰がなりやすい?
特に注意が必要なのは、65歳以上の高齢者や高血圧、動脈硬化がある方です。意外かもしれませんが、普段は血圧が正常でも、朝だけ血圧が高くなる「早朝高血圧」の人も多く、そうした方は脳卒中や心筋梗塞のリスクが2.47倍にもなると報告されています。
【ヒートショック】脱衣所と浴室の寒暖差にご用心!
● 急な温度変化が命取りに
「ヒートショック」は、暖かい部屋から寒い脱衣所に移動して服を脱ぎ、熱いお風呂に入るという温度差によって血圧が乱高下する現象です。その結果、めまいや失神、最悪の場合は溺死にまで至ることがあります。
実際に、2023年の入浴中の高齢者の溺死者数は6,541人と、交通事故による死亡者の約3倍にも及びます。ある推計では、年間約1万7千人が入浴中に急死しているとも言われています。
【朝のモーニングサージを防ぐ方法】
- 寝室の温度を20〜22℃にキープ
- 室温が18℃を下回ると血圧が上がりやすくなります。タイマー付き暖房を活用しましょう。
- 急に布団から出ない
- 布団の中で手足を動かし、ストレッチしてからゆっくり起き上がるのがコツ。
- 靴下を履いて寝る
- 寒暖差をやわらげるため、特に足元を冷やさない工夫が重要です。
- 朝一番に血圧測定を習慣化
- 自分の血圧の傾向を知ることが、リスク回避の第一歩です。
【ヒートショックを防ぐ入浴方法】
- 脱衣所と浴室をあらかじめ暖める
- 暖房機器や浴槽のフタを開けて湯気で温めましょう。
- お湯の温度は40〜41℃まで、入浴は10分以内
- 長湯や高温はリスク増!「ぬるめ短時間」が鉄則です。
- かけ湯からスタート、段階的な入浴を
- 手足→胸→肩と徐々にお湯に慣らすことで血圧の急変を防ぎます。
- 入浴前後の水分補給を忘れずに
- 脱水状態は血圧変動の元凶。コップ1杯の水を!
- 家族に一声かける習慣を
- 「今から入るね」と声かけすることで見守りにもつながります。
【まとめ】家族みんなで冬の血圧管理を意識しましょう
寒さが厳しい冬だからこそ、朝とお風呂にひと工夫を加えるだけで大切な命が守れます。「自分は大丈夫」と思わず、家族や周囲と声を掛け合いながら、安全で温かい冬を過ごしましょう。
引用文献
(1) 総務省・厚生労働省統計、京都市消防局、関西テレビ報道特集ほか。
(2) 「これから冬本番…『ヒートショック』に注意」FNNプライムオンライン. https://www.fnn.jp/articles/-/623149
(3) 「寒暖差が命取り?モーニングサージから身を守る冬の朝の対策法」関西テレビ. https://www.ktv.jp/news/feature/251204-morningserge

*急激な温度変化に注意しましょう
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