今日は少し専門的なお話になりますが、当院で取り組んだ「インターネット回線のバックアップ」についてご紹介します。当院はクラウド型電子カルテを利用しています。ネットが止まると診療も止まってしまうため、以前からバックアップ回線の必要性を感じていました。
スマホのテザリングも検討しましたが、これでは院内LANから切り離されてしまい、プリンタや会計システム、PACSと連携できません。
そこで「院内LANを保持したまま外部接続を切り替える方法」を構築しました。下図のようなイメージで通常の経路(フレッツ光+OCN)がダウンした時に自動でモバイルに切り替わる仕組みです。
[Internet]
| |
(FLET'S) (b-mobile)
| |
[ONU] [USBドングル]
| |
(LAN2) (USB)
+---------+
| RTX830 |
+---------+
|(LAN1)
|
院内LAN機器
(電子カルテ・PACS・会計・プリンタ)
使用機器
- ルーター:YAMAHA RTX830(以前からこのルーターを使用しています)
- USBドングル:UX302NC(メルカリで購入、1980円でした)
- 回線:b-mobile データ専用プラン(利用しなければ月119円、年間約1,500円)
設定手順
1. 設定ファイルのバックアップ
作業前にRTX830の設定を保存しておきます。(復旧用)
2. モバイル回線の設定(GUIから可能)
RTX830に:UX302NCを差し込んだ後で新規プロバイダー接続を追加し、下記を入力します。RTX 830のダッシュボードからGUIで設定可能です。
名前:任意(例:Nihon Tsushin)
APN:dm.jplat.net
ユーザー名:******
パスワード:****
CID:1
ここまででモバイルからインターネットに接続可能になります。ただし手動で切り替える必要があるので通常の回線がダウンした時に自動で切り替わる設定を追加していきます。
3. バックアップ回線の自動切替(コマンド)
下記のコマンドをダッシュボード、あるいはtelnet接続して入力します。
pp select 1
pp backup pp 2
4. 切替速度を改善(コマンド)
上記の設定で切り替わるのですがデフォルトでは回線ダウンの判定を
pp keepalive interval 30 retry-interval=30 count=12
で行っており
interval 30 30秒ごとに接続監視を実施
retry-interval 30 応答がなかった場合、次の再試行も 30秒後
count 12 12回連続で失敗したら「リンクダウン」と判定pp select 1
となっていますので最長で 30秒 × 12回 = 約6分間 応答がないときに、初めて「ダウン」と見なされる。
クリニックの診療では6分間というのは待ち時間としては長すぎですので変更します。
pp select 1
pp keepalive interval 10 retry-interval=5 count=3
pp select 2
pp keepalive interval 10 retry-interval=5 count=3
これにより、メイン回線がダウンするとモバイル接続への切替が 20〜30秒程度 で完了します。
バックアップ回線の通信速度は5-40Mbpsと通常時の10%程度ですが緊急用の通信と考えれば許容範囲内です。

実際の動作
- メイン回線が切断されると、自動でモバイル回線に切替
- 復旧すると、自動で元の回線に戻る
- バックアップ回線は速度面で常用には不向きだが、緊急での診療継続には十分
まとめ
- クラウドカルテ利用のクリニックではネット停止=診療停止
- スマホのテザリングではLANが維持できない
- RTX830+USBドングルで「LANを保持したまま自動切替」が可能
- 切替時間を短縮するコマンドを入れるのがポイント
今回の取り組みで、当院は「止まらない診療」へ一歩近づけたと思います。不明点があればご連絡ください。
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