疾患解説

院内検査機器の活用~風邪症状に抗菌薬が必要かを迅速に判断するために~

当院では、新しい院内検査機器を導入しました。
この機器により、白血球数(WBC)CRP(C反応性タンパク)という2つの値を、短時間で測定できるようになりました。

この検査を導入した目的は、風邪症状で来院された患者さんに、抗菌薬(抗生物質)が本当に必要かどうかをできるだけ早く、正確に判断するためです。


風邪に抗菌薬が必要な場合、必要ない場合

風邪の症状(咳、のどの痛み、鼻水、熱など)の原因には、大きく分けてウイルス細菌があります。

  • ウイルスが原因の場合:抗菌薬は効きません。
  • 細菌が原因の場合:抗菌薬が必要になることがあります。

しかし、見た目の症状だけでウイルスか細菌かを判別するのは、とても難しいのです。

そこで、WBC(白血球数)CRPという体の中の炎症のサインを見ることで、ウイルスか細菌かを推測できるようになります。


WBCとCRPってなに?

検査項目説明風邪のタイプとの関係
WBC(白血球数)体内で感染と戦う細胞の数細菌感染では増える、ウイルス感染ではあまり増えない
CRP(C反応性タンパク)体内の炎症の強さを示すたんぱく質細菌感染では高くなる、ウイルス感染では低いことが多い

どんなふうに判断するの?

検査結果をもとに、以下のように考えます。

  • WBC >10,000/μLかつCRP >40 mg/L
    → 細菌感染の可能性が高く、抗菌薬を使ったほうがいいかもしれません。
  • WBC <10,000/μLかつCRP <20 mg/L
    → ウイルス感染の可能性が高く、抗菌薬は必要ないと考えられます。
  • その中間の場合は、症状や年齢、持病などを総合的に判断します。

抗菌薬は万能ではありません

抗菌薬は、細菌をやっつけるために必要な薬ですが、ウイルスには効きません
また、不必要に抗菌薬を使うと、体にとって必要な菌まで殺してしまったり、耐性菌(薬が効かない菌)が増えてしまうこともあります。

だからこそ、必要なときに、必要な人にだけ、正しく使うことがとても大切です。


まとめ

当院では、みなさまが安心して治療を受けられるよう、最新の検査機器を使いながら、不要な抗菌薬は使わず、本当に必要なときに適切な治療を行うことを心がけています。風邪症状でご不安な方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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