2025年5月、ロックバンドFLOWのメンバーであるGOT’Sさんが、シンガポールへのツアー中に胸部大動脈解離のため緊急手術を受け、約3ヶ月間の休養に入ることが発表されました。現在は安定した状態で回復に努めており、本人からは「体の回復に努めています」とファンへのコメントが寄せられています。この休養期間中、FLOWの活動は他のメンバーがサポートしながら継続する予定です。
胸部大動脈解離とは?
胸部大動脈解離は、心臓から全身へ血液を送る大動脈の壁が裂け、血液が壁の中に入り込むことで、血管内に偽の通路(偽腔)が形成される疾患です。特に胸部で発生する場合、生命に関わる緊急性の高い状態となります。
主な原因
胸部大動脈解離の発症には以下の要因が関与しています:
- 高血圧:大動脈壁に過度な圧力がかかり、内膜が裂けやすくなります。
- 動脈硬化:血管の柔軟性が失われ、損傷を受けやすくなります。
- 遺伝性疾患:マルファン症候群などの結合組織異常がリスクを高めます。
- その他:喫煙、ストレス、糖尿病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群なども関与します。
症状
典型的な症状は、突然の激しい胸や背中の痛みで、「引き裂かれるような痛み」と表現されることがあります。痛みは胸から背中、腹部、脚へと移動することもあります。その他の症状には:
- 意識障害や失神
- 呼吸困難や心不全の兆候
- 脳梗塞や下肢の血流障害による麻痺や冷感
が含まれます。
診断と治療
診断:
胸部大動脈解離が疑われる場合、以下の検査が行われます:
- CT検査:大動脈の裂け目や偽腔の確認に有効です。
- 心臓超音波検査(心エコー):心臓周囲の液体貯留や弁の異常を評価します。
- MRI:詳細な血管構造の評価に用いられます。
治療:
治療法は解離の部位や重症度により異なります:
- Stanford A型(上行大動脈の解離):緊急の外科手術が必要です。
- Stanford B型(下行大動脈の解離):血圧管理や痛みのコントロールを中心とした内科的治療が行われますが、症状の進行や合併症がある場合は手術が検討されます。
予後と注意点
特にStanford A型の急性大動脈解離では、発症後1時間ごとに死亡率が約1%ずつ増加するとされており、迅速な対応が求められます。慢性期には偽腔が拡大し、大動脈瘤へ進展する可能性があるため、定期的なフォローアップが重要です。
まとめ
- 胸部大動脈解離は突然発症し、激しい痛みを伴う緊急疾患です。
- 高血圧や動脈硬化、遺伝性疾患が主なリスク因子です。
- 早期の診断と適切な治療が生存率を大きく左右します。
胸や背中に激しい痛みを感じた場合は、直ちに医療機関を受診するようにしましょう。また日常から血圧、コレステロールなどを管理し動脈硬化を進展させないことが重要です。
GOT’Sさんの一日も早い回復を心より願っております。
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