論文解説

家庭血圧測定で血圧を下げる!正確な健康管理には上腕式血圧計がおすすめ

最近の研究で、家庭血圧測定(HBPM)が血圧を効果的に下げることが明らかになりました。特に上腕式血圧計を使用することで、より正確で効果的な管理ができることが確認されています。今回は、家庭血圧測定の重要性と、上腕式血圧計が推奨される理由についてわかりやすく解説します。


家庭血圧測定とは?

家庭血圧測定とは、自宅で血圧を測定する方法です。病院やクリニックでの測定と異なり、リラックスした状態で血圧を測れるのが特徴です。測定値を記録して医師と共有することで、より的確な治療や予防に役立てることができます。

家庭血圧測定は、高血圧を管理する上でとても効果的な方法です。特に、血圧の変化を日々把握することで、治療の成果や生活習慣の改善効果を自分自身で確認することができます。


最近の研究からわかったこと

東北医科薬科大学の研究チームが行ったメタ解析(過去の複数の研究結果を統合した分析)では、家庭血圧測定が血圧を下げる効果が科学的に示されました。この研究では、21,053人が参加した65の研究を分析し、以下の結果が得られました(1):

  • 収縮期血圧(上の血圧):平均3.27mmHg低下
  • 拡張期血圧(下の血圧):平均1.61mmHg低下

特に、遠隔医療や医師・看護師によるサポートを併用することで、さらに大きな効果が得られたとされています。


上腕式血圧計が推奨される理由

研究では、上腕式血圧計を使用した場合に、血圧をより効果的に下げられることが示されています。一方、手首式血圧計では効果がほとんど見られませんでした。その理由は以下の通りです:

1. 心臓に近い部位で測れるから正確

上腕式血圧計は、腕にある上腕動脈を測定対象としています。この動脈は心臓に近く、全身の血圧状態を正確に反映しやすいのが特徴です。一方、手首式血圧計は手首の細い血管を測るため、測定値が不安定になることがあります。

2. 姿勢や環境の影響を受けにくい

上腕式血圧計は、腕を自然な位置に置いたまま測定できるため、正確な測定が可能です。手首式の場合、手首の高さが心臓と異なると、測定値が大きく変化してしまうことがあります。

3. 医療現場での測定方法に近い

診察室で使用される血圧計はほとんどが上腕式です。そのため、家庭で上腕式血圧計を使うことで、診察室の測定値との比較がしやすく、医師が治療方針を決定する際にも役立ちます。


家庭血圧測定の効果を高めるコツ

  1. 測定は毎日同じ時間に行う
    朝起きてすぐや夜寝る前など、毎日同じ時間に測定することで、安定したデータが得られます。
  2. 記録をつける
    測定結果をノートやアプリに記録し、医師に共有しましょう。これにより、降圧薬の調整や生活習慣改善の効果を確認できます。
  3. 正しい姿勢で測る
    上腕式血圧計を使用し、腕を心臓の高さに保ちながらリラックスした状態で測定することが重要です。

まとめ

家庭血圧測定は、血圧を効果的に管理するための便利な方法です。特に、上腕式血圧計を使うことで、より正確な測定が可能になります。遠隔医療や医療従事者のサポートを併用すれば、さらに血圧管理の効果が高まることが期待できます。

家庭血圧測定を習慣にして、健康管理に役立ててみてください!


参考文献

(1) Satoh M, Tatsumi Y, Nakayama S, et al. Self-measurement of blood pressure at home using a cuff device for change in blood pressure levels: systematic review and meta-analysis. Hypertens Res. 2024;48:574–591. DOI: 10.1038/s41440-024-01981-4【5†source】

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