本日、Yahoo!ニュースをみていると元「アイビーカラー」のベーシスト碩奈緒さんが罹患された「劇症型心筋炎」のニュースがありました。劇症型心筋炎は初期症状が軽いため、診断が難しく、急激に重症化する恐ろしい疾患です。ニュースを見て、私自身の勤務医時代を思い出しました。大学病院や救急病院ですと1年に2-3回、劇症型心筋炎の患者さんが入院されます。この病気の治療には、医療チーム全体の総力戦が求められます。
劇症型心筋炎とは?
劇症型心筋炎は、心臓の筋肉に急激な炎症が生じ、心臓の働きが急速に低下する病気です。
発症後の進行が速く、迅速な治療が命を救う鍵となります。死亡率は20~60%と高く、適切な治療を受けても予後が厳しいケースがあるため、早期の診断と対応が非常に重要です。
碩奈緒さんの体験:命の危機を乗り越えて
Yahoo!ニュースによると、元「アイビーカラー」の碩奈緒さんは、10月8日に高熱が出て病院を受診されましたが、新型コロナウイルスは陰性と診断されました。翌日には嘔吐の症状も現れ、再度受診したところ、救急搬送される事態に。搬送中に心停止に陥るなど命の危機を迎えられました。
その後、大学病院で3度の手術を受け、ICUで治療を受けながら意識を失った状態が続いたといいます。意識を取り戻した後も、誤嚥対策のために水を飲むことすらできず、リハビリを重ねながら少しずつ回復されているそうです。
碩さんは「もし2日連続で病院に行っていなければ、自宅で亡くなっていたかもしれない」と振り返り、異変を感じたらすぐに病院を受診する大切さを訴えています(1)。
診断の難しさと医療現場の実態
風邪のような初期症状
劇症型心筋炎の初期症状は、風邪や胃腸炎のように見えることが多いです。高熱や倦怠感、嘔吐などが主な症状であり、初期段階では心臓の病気だと判断するのが難しいのが実情です。
しかし、この病気は急速に進行し、数時間から数日でショック状態や心停止に至ることもあります。早期に診断し、迅速に治療を開始することが命を救う鍵となります。
早期受診が命を救う
碩奈緒さんの体験からも分かるように、体調に異変を感じたら、早めに病院を受診することが何より重要です。特に以下のような症状が見られた場合には、すぐに専門医を受診してください。
- 高熱が続く
- 倦怠感がひどい
- 嘔吐や胸痛、息切れがある
- 不整脈など心臓に関連する症状が現れる
また、医療機関を受診する際は、症状の経過を具体的に伝えることも診断に役立ちます。
まとめ
劇症型心筋炎は、初期症状が軽く見えがちですが、突然重症化する命に関わる病気です。Yahoo!ニュースを通じて、碩奈緒さんが異変を見逃さず受診されたことが命を救った重要な要因だったと分かりました。私たちも体調に異変を感じたら無理せず病院を受診し、早期診断のきっかけをつかむことが大切です。
桂川さいとう内科循環器内科では、心臓や血管に関するご相談を随時受け付けています。不安を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【参考文献】
- Yahoo!ニュース. 人気バンドの元ベーシスト 発熱で病院受診もまさか 死亡率60%の病気と判明、救急搬送され入院していた. 2024年11月10日.
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f7906834274b8b9fddb0fcdc8ede2a240fe104d
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