ブルガダ型心電図は、波形だけで危険度が決まるものではありません。失神や心室細動の既往、突然死の家族歴、自然に現れるType 1心電図などを確認し、必要な検査と専門医紹介をご案内します。

ブルガダ症候群とは

ブルガダ症候群は、心電図の右側胸部誘導(V1~V2を中心とする誘導)に特徴的な変化が現れ、まれに心室細動という重い不整脈を起こすことがある病気です。健康診断で偶然「ブルガダ型心電図」と指摘される方も多く、その全員が高い危険性をもつわけではありません。

心電図にはType 1(coved型)とType 2(saddleback型)などがあります。診断にはType 1の所見が重要で、Type 2の波形だけでブルガダ症候群と確定するわけではありません。心電図は発熱、薬剤、飲酒などの影響で変化することもあるため、症状や家族歴を含めた総合評価が必要です。

ブルガダ型心電図の例

健診で指摘されたときの評価

まず健診時の心電図を確認し、12誘導心電図を再検します。必要に応じて右側胸部誘導を通常より1~2肋間高い位置でも記録すると、特徴的な波形が明らかになることがあります。

あわせて次の点を確認します。

  • 心肺停止や心室細動を起こしたことがあるか
  • 原因のはっきりしない失神・意識消失があるか
  • 夜間の苦しそうな呼吸やけいれん様の症状があるか
  • ご家族に若年での突然死やブルガダ症候群があるか
  • 発熱時に心電図変化や症状が出たことがあるか

診察結果に応じて、心臓超音波検査、ホルター心電図などを行います。薬物負荷試験、電気生理学的検査、遺伝学的検査などが必要と判断した場合は、不整脈を専門とする医療機関へご紹介します。すべての方にこれらの検査が必要なわけではありません。

危険度は心電図だけでは決まりません

心肺停止・心室細動から蘇生された方は最も注意が必要です。原因不明の失神、自然に現れるType 1心電図、夜間の異常な呼吸なども重要な所見です。一方、無症状で健診時に初めて指摘された方の多くは、検査結果をもとに定期的な経過観察となります。

植込み型除細動器(ICD)は、心室細動から蘇生された方など、危険性が高い方に検討される治療です。健診で波形を指摘されたという理由だけで、すぐにICDが必要になるわけではありません。

発熱・薬・飲酒について

  • 発熱:発熱によってブルガダ型心電図が明らかになり、不整脈の危険が高まることがあります。早めに解熱と水分補給を行い、高熱が続く場合や動悸・ふらつきがある場合は医療機関へご相談ください。
  • 薬剤:一部の薬は心電図に影響することがあります。新しい薬を処方されるときは、ブルガダ型心電図を指摘されたことを医師・薬剤師へお伝えください。自己判断で処方薬を中止しないでください。
  • 飲酒:過量飲酒は避けましょう。特に短時間の多量飲酒には注意が必要です。

早めの受診・救急要請が必要な症状

原因のはっきりしない失神、夜間の苦しそうな呼吸、持続する強い動悸、けいれん、心肺停止を疑う状態がある場合は、速やかな医療評価が必要です。意識がない、普段どおりの呼吸がない場合は119番へ連絡し、可能であればAEDを使用してください。

受診時には、健診の心電図原本またはコピー、過去の心電図、お薬手帳、症状が起きた状況、ご家族の病歴が分かるものをお持ちください。

当院で受けられる関連検査


  • 心電図検査:ブルガダ型心電図の所見や変化を確認します。
  • ホルター心電図:24時間または最長2週間の記録を、症状の頻度に応じて使い分けます。

健診結果や過去の心電図をお持ちの場合は、診察時にご持参ください。

参考となる公的情報

国立循環器病研究センター:Brugada(ブルガダ)症候群
国立循環器病研究センター:不整脈について
日本循環器学会:不整脈診療ガイドライン(2026年)