健康診断で心電図異常を指摘された方へ

健康診断で「心電図異常」「不整脈の疑い」「ST-T異常」「右脚ブロック」「左室肥大」などを指摘されると、不安に感じる方も多いと思います。心電図異常には、経過観察でよいものから、循環器内科で詳しい確認が必要なものまで幅があります。

当院では、健診結果の内容、症状、既往歴、内服薬、血圧・脂質・血糖などの背景も確認しながら、必要に応じて心電図、心エコー、ホルター心電図、血液検査などを行います。

心電図異常といっても、緊急度は所見によって異なります

心電図は心臓の電気信号を記録する検査です。健診で異常と書かれていても、すぐ治療が必要とは限りません。一方で、胸痛、息切れ、失神、強い動悸を伴う場合や、心筋梗塞・心筋症・危険な不整脈が疑われる所見では、早めの確認が大切です。

早めの受診をおすすめする症状

  • 胸の痛み、胸の圧迫感がある
  • 動悸が続く、脈が飛ぶ感じが強い
  • 息切れ、むくみ、疲れやすさがある
  • めまい、ふらつき、失神したことがある
  • ご家族に若くして突然死された方がいる
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、腎機能低下を指摘されている

健診でよく指摘される心電図異常

健診結果には専門用語が並ぶため、どの程度心配すべきか分かりにくいことがあります。代表的な所見を、患者さん向けに整理します。

ST-T異常・ST低下・陰性T波

心臓の筋肉に負担がかかっている時、狭心症などで血流が不足している時、高血圧による心肥大がある時などに見られることがあります。健診だけでは判断が難しいため、症状やリスクに応じて心エコー、血液検査、必要時には専門的な検査を検討します。

異常Q波・陳旧性心筋梗塞疑い

過去の心筋梗塞のあとを疑う所見として書かれることがあります。ただし、体型や電極の位置などで似た所見になることもあります。胸痛の既往、糖尿病、喫煙歴、脂質異常症などを確認し、必要に応じて心エコーなどで心臓の動きを見ます。

左室肥大

高血圧などにより、心臓の筋肉が厚くなっている可能性を示す所見です。長く続く高血圧は、心不全、脳卒中、腎機能低下にも関わります。家庭血圧の確認や心エコーでの評価が役立ちます。

右脚ブロック

心臓の電気の通り道の一部で伝わり方が遅くなる所見です。症状がなく、ほかの異常を伴わない場合は経過観察となることもあります。一方で、息切れ、胸部症状、心雑音、ほかの心電図異常を伴う場合は確認が必要です。

左脚ブロック

右脚ブロックよりも、心臓の病気との関連を確認した方がよい所見です。狭心症、心筋症、心不全などが隠れていないか、症状や心エコーで評価します。新たに指摘された場合は、放置せず循環器内科で相談してください。

期外収縮(上室性期外収縮・心室性期外収縮)

「脈が飛ぶ」「一瞬ドキッとする」と感じる原因になることがあります。健診で少数見つかるだけなら経過観察の場合もありますが、頻度が多い、動悸が強い、めまいや失神を伴う場合は、ホルター心電図で1日の不整脈の量や種類を確認します。

心房細動・心房粗動

脈が不規則になる不整脈です。症状が軽くても、脳梗塞や心不全のリスク評価が重要です。年齢、高血圧、糖尿病、心不全の有無などを確認し、必要に応じて抗凝固薬や専門治療を検討します。

徐脈・房室ブロック

脈が遅い、または心臓の電気信号が伝わりにくい状態です。スポーツをしている方や睡眠中に目立つ場合など、問題になりにくいこともあります。一方で、めまい、ふらつき、失神、強いだるさがある場合は早めの評価が必要です。

頻脈・発作性上室頻拍疑い

突然脈が速くなり、しばらくして急に治まる発作を起こすことがあります。健診の短い心電図では見つからないこともあるため、症状の出方を確認し、ホルター心電図などを検討します。

QT延長

心臓の電気的な回復に時間がかかっている可能性を示す所見です。薬剤、電解質異常、体質、遺伝的要因などが関係することがあります。失神歴や突然死の家族歴がある場合は、特に慎重な評価が必要です。

WPW症候群

通常とは別の電気の通り道があることで、頻脈発作を起こすことがあります。無症状で見つかることもありますが、突然の動悸、胸部不快感、めまいがある場合は詳しい確認が必要です。

ブルガダ型心電図・ブルガダ症候群

ブルガダ型心電図は、右胸部誘導の特徴的なST上昇として健診で指摘されることがあります。無症状のまま見つかる方もいますが、失神したことがある、夜間や安静時に強い動悸がある、ご家族に若くして突然死された方がいる、発熱時に症状が出るといった場合は、リスク評価が重要です。

当院では、健診心電図の確認、再検心電図、症状や家族歴の確認を行い、必要に応じて不整脈専門医療機関と連携します。すでに「ブルガダ症候群」と言われている方は、健診結果や過去の心電図もお持ちください。

軸偏位・低電位・移行帯異常

心臓の向き、体格、肺の状態、電極の位置などでも見られることがあります。多くは経過観察になることもありますが、息切れ、胸痛、心拡大、心雑音などがある場合は追加検査を検討します。

当院で行う主な確認・検査

  • 健診心電図、過去の心電図、症状の確認
  • 再検心電図
  • 血圧、脂質、血糖、腎機能、電解質などの血液検査
  • 胸部レントゲン
  • 心エコー検査
  • ホルター心電図
  • 必要に応じた専門医療機関への紹介

受診時にお持ちいただきたいもの

  • 健康診断の結果票
  • 心電図の波形コピーがあればその用紙
  • お薬手帳
  • 過去の検査結果、紹介状があればその書類

よくある質問

症状がなくても受診した方がよいですか?

症状がなくても、所見によっては一度確認した方がよい場合があります。特にST-T異常、左脚ブロック、心房細動、QT延長、WPW症候群、ブルガダ型心電図などは、健診結果をお持ちのうえご相談ください。

心電図をもう一度とれば分かりますか?

再検心電図で確認できることもありますが、短時間の心電図だけでは分からない不整脈もあります。症状の出方によってはホルター心電図を行います。

すぐ大きな病院を受診すべきですか?

胸痛、失神、強い息切れ、冷汗を伴う症状がある場合は早めの対応が必要です。症状が落ち着いている場合でも、健診結果を確認し、必要性を判断します。

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