疾患解説

動悸とは?安全な動悸、危ない動悸の違い

当院にも動悸の訴えで受診される患者さんは多くいらっしゃいます。そこで、「動悸」がどのような症状か、そしてそれが危険なものかどうかを見極めるポイントについて、詳しくお話ししたいと思います。動悸は、一時的で安全な場合もあれば、心臓に重大な問題が隠れている場合もあるため、その違いを理解することが大切です。


動悸とは?

動悸とは、自分の心臓の鼓動を強く、速く、または不規則に感じる状態を指します。通常は心拍を意識しないため、動悸を感じた際には不安に感じることもあるでしょう。原因はさまざまで、ストレスやカフェイン、運動といった日常的な要因から、心臓の病気によるものまで幅広く存在します。安全な動悸と危ない動悸を見極めることが重要です。


安全な動悸の例

まずは、安全な動悸の例を紹介します。これらは一時的で、特に心配する必要がないケースです。

  • 運動後の動悸
    激しい運動後に心拍数が上がるのは、体が酸素を必要とし、心臓がその需要を満たそうとしているためです。運動を終えて休息を取れば、心拍は通常に戻るため問題はありません。
  • 感情的な動悸
    ストレスや緊張、不安、驚きなどの感情の高まりによって心拍数が上がることがあります。これも一時的なもので、リラックスすれば動悸は収まります。
  • カフェインやアルコール摂取後の動悸
    コーヒーやエナジードリンク、アルコールが原因で心拍数が上昇することがあります。これらを過剰に摂取しない限り、大きな問題にはなりません。

危ない動悸のサイン

次に、危ない動悸について説明します。これは心臓疾患が原因となることが多く、特に以下のような症状を伴う場合は、早急に医師の診察を受けることが必要です。

1. 意識消失(失神)

動悸と同時に意識を失う(失神)場合、心臓が全身に十分な血液を送り出せていない可能性があり、これは重篤な状態を示しています。特に心室細動や完全房室ブロックといった不整脈が関与していることが多く、緊急治療が必要です。

2. 胸痛

動悸と共に胸痛を感じる場合、心筋梗塞など重大な疾患が疑われます。特に胸が締め付けられるような強い痛みや圧迫感を伴う場合、心筋への血流が遮断されている可能性があり、救急処置が必要です。

3. 息切れやめまい

動悸と同時に息切れめまいを感じる場合も注意が必要です。これらの症状は心不全や心房細動といった心臓疾患の兆候であり、早期の診断と治療が重要です。

4. 不規則な脈拍(不整脈)

動悸があり、脈拍が不規則に感じられる場合は、不整脈の可能性があります。特に心房細動の場合、脈が不規則になりやすく、長時間続くと血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが増します。こうした場合、早めに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。


Apple Watchでの心電図測定

もしApple Watchをお持ちの場合、心電図(ECG)機能を活用して心電図を測定することができます。この機能は、動悸を感じた際に自宅で心臓の状態を記録するのに役立ちます。測定した心電図の波形をプリントアウトするか、デジタルデータとして保存し、診察時にクリニックまで持参していただくと、診断の補助になることがあります。特に不整脈などのリズムの乱れを確認する際に非常に有用ですので、動悸がある方は活用を検討してみてください。


動悸が起こったときの対処法

動悸を感じたときには、必ずしも病院に行く必要がない場合もありますが、適切な対処を知っておくことが安心につながります。

  1. リラックスする
    動悸がストレスや緊張によるものであれば、深呼吸をしてリラックスすることが効果的です。静かな場所で横になり、呼吸を整えましょう。
  2. 脈を測る
    動悸を感じた際に、手首や首で脈拍を確認しましょう。脈が不規則であったり、極端に速いまたは遅い場合には、医師にその状態を伝えると良いでしょう。
  3. カフェインやアルコールを控える
    動悸が頻繁に起こる場合は、カフェインやアルコールを控えることで症状が軽減されることがあります。
  4. 医師に相談する
    動悸が頻繁に続いたり、他の症状を伴う場合は、早めに医師に相談し、原因を確認することが重要です。

まとめ

動悸は、一時的なストレスや生活習慣によって引き起こされる「安全な動悸」と、心房細動や心室細動、心筋梗塞といった重大な心臓疾患による「危ない動悸」に分けられます。特に、意識消失や胸痛、息切れ、不規則な脈拍を伴う場合は、はやめに相談することが必要です。また、Apple Watchの心電図機能を使って心拍のリズムを記録し、診察時にそのデータを持参することで、診断に役立てることができます。当院でも持参いただけましたら拝見いたします。動悸が気になる方は、適切な対処を行い、早期診断・治療を心がけましょう。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。