学校心臓健診で異常を指摘されたら
現在の日本では学校保健安全法に基づいて小学校、中学校、高等学校の各1年生では学校心臓検診を実施するよう義務付けられています。これは世界でも類をみないシステムであり、心臓突然死の予防に大きな役割を果たしています。学校での一次検査で何らかの異常を疑われた場合に精密検査が必要になります。”心臓の精密検査”と聞くと本人も保護者の方も心配されると思いますがほとんどの場合は経過観察のみで運動や生活に特別な制限が必要ありません。
よく指摘される心電図の異常には心室期外収縮、心房期外収縮、Brugada症候群(ブルガダ症候群)の疑い、WPW症候群、房室ブロック、洞不整脈などがあります。当院では胸部レントゲン、心臓超音波検査、ホルター心電図(24時間心電図)、運動負荷心電図などを施行して二次検査の判定を行っています。心臓MRIなど追加検査が必要な場合は専門医療機関へ紹介を行っています。
二次健診で必要な検査は日本循環器学会、小児循環器学会の作る学校健診のガイドラインに沿って進めていきます。例えば心室期外収縮という不整脈が指摘された場合は12 誘導心電図,運動負荷心電図,ホルター心電図を施行することが推奨されています。その検査結果に応じて学校生活管理指導表に記載されている部活動の可否や運動制限の必要性を判定します。
当院でも5月、6月には多くの中高生が来院されて二次健診を行っていますが大きな異常が実際に見つかって運動制限などが必要になる方は非常に稀です。検査も心電図、心臓超音波検査、運動負荷心電図など痛みや侵襲性を伴わないものがほとんどですので気軽にご相談ください。
”心臓の異常”と言われると不安に思われるでしょうが多くの場合は運動制限不要、という結果になることが多いです。